ネタ ビリー無双 屈辱に濡れる参謀本部背後から一突き
「「何で死んでくれないんだよ!!!!!」
時は1918年、ドイツ陸軍参謀本部に悲鳴にも似た怒号が響いていた。軍隊に持ちたる国ドイツ第二帝国の実質的な支配者たちは何故叫んでいるのだろうか?少しだけ時間を巻き戻して説明しよう。
ビリーと言う男がいる。勿論ビリーは愛称?で本名がフリードリヒ・ヴィルヘルム・ヴィクトル・アルベルト・フォン・プロイセン。ドイツ第二帝国で皇帝ある。
このビリーであるが、軍帝の持ちたる国ドイツ第二帝国では、正確に言えば後に第一次大戦と呼ばれる事になる、人類史上類を見ない凄惨な殺し合いの主役で、シェリーフェンプランの推進者たちに取って目の上のタンコブの様な存在であった。
サラエボで一発の銃声が大戦の火蓋を切ったあの日、彼らの皇帝は変わってしまった。何とこの馬鹿は事前の計画に乗っ取り動員を進めようとする陸軍を掣肘しようし、あまつさえ軍に無断でラジオから臣民に向かい冷静さを呼び掛け、挙句の果てに外務省の頭越しに親戚相手に皇族外交をしようとまでしたのだ。
幸いラジオ演説以外は止められたが、この自身への裏切りとも言える行動を、モルトケ参謀総長始めドイツ陸軍参謀本部はあらゆる手段を持って止めるべく奔走をさせられた。
皇帝で無ければ銃殺している所だ。このバカ殿の思い付きのせいで、英仏に「ドイツ参謀本部は主君の平和の思いを蔑ろにし。皇帝を傀儡にする不忠者の集まり」等とプロパガンダを打たれている。
これがどれだけ国内の士気を下げるかあのバカは分かってないのだ。いや、分かってやっている。これまでずっと軍に好意的であり、軍の実務の方には口を出さなかった(出させなかった)皇帝は戦争が始まってからと言う物、反軍的な行動を取り続けている。
「そのプランと言うのは何時完遂できるんですかねぇ?このまま海まで塹壕繋げる気?」
「君らの杜撰な兵站計画なぁ、あれ駄目やわ。早晩国内が干上がるんちゃう?誰やブタ全部殺せなんて馬鹿言った奴?」
「(アメリカ参戦の報告を受け)終わりやね。サッサと白旗振りぃな。エドワードには何とか許して貰えるように話すさかい強情張らんと。なぁ?最悪ワイがギロチンに掛けてもろうて、フランスの留飲を下げたらええんや」
「(文民との秘密会談の盗聴記録)アカの穏健派と話つけてや。帝国は御仕舞です。共和国でも連邦でもなんでもええから、戦後の混乱だけは防がんとあかん。亡命?そんな真似せんわ。ワイが最後まで残って責任取らんと国民が納得せんやろ。ユンカー崩れのアホ共は道ずれにしたるさかいに、君らが気張ってくれんと困るで」
上記は一例でしかない。であるが重ね重ね許しては置けない背信行為である。将兵が血を流していると言うのに最高指揮官である皇帝が敗北主義に捕らわれ、軍を後ろから刺す真似をしているのだ。
だから死んで貰う事にした。
皇帝の裏切りをこれ以上参謀本部は許容できない。
なのに…なのに…
「「「皇帝パリ籠城ってなんだよ!!!!!!!!!!何でお前其処にいるんだよぉ!!!!」
1918年春季攻勢。通称カイザーシュラハト(皇帝の戦い)
1918年3月21日に発動したドイツ軍最後の大規模攻勢。この先頭にヴィルヘルム二世は居た。何故最高指揮官が最前線に居るのか?
史実に於いても疲弊する全軍の士気を上げる為、皇帝に最前線で死んで貰うと言う参謀本部からの頭の狂った案は存在した。それがこの世界に置いて実現してしまったのは、度重なる皇帝のサボタージュ行為と国民人気があったからである。
皇帝ヴィルヘルム二世は大戦が始まってより、帝室財産を殆ど売り払い、兵士の慰問と国内慰撫に奔走していた。大戦前半では臆病者と罵られる事はあったが、銃後の生活が苦しくなってからは、国民と苦難を共にしヨレヨレの軍服を着て「苦しいですが頑張って下さい。貴方方が頼りです」と孤児院から場末の工場、最前線付近まで訪れ、勤労動員された女将さんや手足を失った兵士たちの手を握って感謝する皇帝は一定の求心力を得ていたのだ。
政府の受けも悪くない。アカさえもだ。戦争を終わらせたい。自分はどうなっても良いと皇帝は放言していた。それが余計に参謀本部の憎しみを煽る。自分達とて必死なのだ。過労死寸前で勝つ為に奔走してているのに何故、兵士達は自分たちを無能呼ばわりし、本当に無能で泣きながら兵士の手を握る事しかできない男に同情を寄せるのか理解に苦しむ。
「そこまで戦争を終わらせたいのであれば、全軍の先頭に立って突撃して頂きたい。陛下が戦死して下さる事によって兵士たちは奮い立ち、乾坤一擲の大攻勢を成功させられます」
陸軍参謀本部次長エーリヒ・ルーデンドルフがヒンデンブルグが止めるのも聞かず、目をガンギマリにさせて迫ったのは理由があるのだ。
「良ぇで。吐いた唾飲み込むなや」
そして、その言葉を受けた皇帝は莞爾として受け入れてしまった。故にドイツ第二帝国皇帝はアミアンの地、砲撃の嵐を受け、土と鉄と人と馬の混交物に穿たれた塹壕の中に居たのだ。そして攻勢は発動され。最後の通信は「ワレ全軍ノ先頭ニ有リ、兵士諸君、我ニ続ケ」であり、後の証言によれば皇帝自身の突撃時の発言は
「玉取ったらぁ!!!ワイを殺す奴は居らんのか!名前上げて見んかい!!!」
であったとされる。
ここまであれば通常、皇帝は土に返り、コンスタンティノープルで行方不明になった先輩と同じ道を辿って何時か帰る王の伝説になっただろう。さて、ここまで読んで頂けた読者にはお分かりであるかと思うが、皇帝は転生者である。勿論チートアリの。
ハッと気づいたら、大馬鹿がサラエボで皇太子をハジいていたので、彼は省がなく如何にか穏便に戦争を終わらせようと努力していた。
だが悲しいかなビリーの本来の能力と彼の持っていたチート能力ではかみ合わせが悪く。そもこの時点で皇帝がどう行動しようと歴史は変わらない。
なので出来る事。ちょび髭と不愉快な仲間達の大暴れを防ぐ為、最後まで踏みとどまりドイツに殉じようとああ言う行動を取っていたのである。なのだが無理解で石頭でムカつくインテリ共が死ねと言って来たので好き放題にする事にした。
もう我慢はしない。歴史をチートで塗り替える傲慢を自分は行う。自分と融合した本来の意識もそうだそうだやっちまえと言っている。
ここで彼の持ち合わせるチートを少し紹介しよう。
「天翔ける大迷惑」
主に戦場での能力値とカリスマをアレク君にする。周囲の兵士にはバフが入り狂奔する。数値は累積する。
「欧州の大迷惑」
主に戦場での能力値と弁舌をコルシカ出身砲兵大尉にする。周囲の兵士は老親衛隊バフが入る。数値は累積する
「先生あの街を下さい」
主に戦場での能力値と指揮統制を趣味園芸の人にする。周囲の兵士に全盛期イエニチェリバフが入る。数値は累積する
「劉邦じゃなきゃ死ぬ」
戦場での能力値と個人暴力値で中華を覆える。周囲の兵士は囲まれる程理不尽な戦闘力を発揮。数値は累積する
「騎行好き?僕は大好き」
フランスかぁテンションあがるなぁ。周囲の兵士は素早く酷い事できる様になる。孫子曰く、故智將務食敵。食敵一鍾、當吾二十鍾 。
「ペチコートは三枚も要らない」
幸運がビリーのご先祖様レベルになる。なんであそこで帰っちゃうの?数値は累積する
「我蒼き狼ぞ?」
デデドン。周囲の兵士は狗になり馬になる地の果てまで。数値は累積する。
他にも細々としたチートが与えられているが、世界を滅ぼす為にしか使えないクソチートの集まりである。以上を持ってヴィルヘルム二世事、ビリー君はマスタードガスたなびく戦場に突撃した。
非常重大な時で有ります。皇帝陛下万歳万歳。では、立ちはだかる者皆死ぬが良い。
なのでドイツ陸軍参謀本部の中の人たちは絶叫しているのだ。皇帝陛下は壮烈な戦死を遂げたと発表したのであるが
「我、意気軒高。突撃を継続ス」
「敵師団本部二突入。戦果大ナリ」
「敵後方ニ浸透ス。目標パリ」
等と言う報告が続々と敵陣から上がり始め、確かに皇帝が存在した戦線の敵は謎の混乱を着きたしている上、味方は本国からの指示を無視して狂乱した様に針の穴の様に開いた戦線の隙間に突入をし始めたのだ。
これを始め国民には秘匿していた軍であるが、連合国側より
「ビリー、哀れにも無謀なる突撃を強制される。戦死確定」
「ドイツの狼生存?戦線に何が?」
「悪霊、混乱する戦場に現る」
「人食い鬼、戦線を打通!阻止部隊派遣される」
「悪魔皇帝、コンピエーニュの森に跳梁」
「盗賊騎士団の騎行止めらず!パリまで50マイル!」
「ビリー、進撃継続もパリ突入は不可能と連合国総司令部明言」
「皇帝、パリに明日突入か?混乱続く市内」
「市街戦勃発!ドイツ皇帝ヴィルヘルム二世を止める者は居ないのか!?」
等と言う一連の報道が国民の耳に入ってしまった為、非難の矢面に立たされる羽目になっていた。
「なぜ軍は孤軍奮闘する陛下を助けないのですか」弾薬工場勤務主婦
「今までお前らナニやってたの?陛下パリにいるよ?軍大学で学んだのはナイフとフォークの使いか方だけか?」伍長待遇上等兵
「突撃しろ!突撃しろ!突撃しろ!」第64軍団司令部付き参謀
「皇帝が命を賭けるなら俺らも反乱計画止めます!皇帝に続け!」キール軍港水兵
「憎むべきブルジョアではあるが、皇帝は責任を取っている!それに比べてベルリンに居る高級軍人共は何をしているのだ!」一労働者
主義主張はバラバラではあるが、欠乏に喘ぐ各階層からの非難が軍を襲っているのだ。これまで皇帝が帝政廃止をしても構わないと、破格の条件を出して協力工作を続けていた穏健左派たちもこれに乗って即時停戦を叫び、左右の勢力が軍をナニをしていると叫んで回り、議会も不穏な動きを開始し始めた。
1918年6月11日。結局、ドイツを動かしている筈の参謀本部は最後までナニも出来ずに終わった。遂に連合国最高司令部にまで殴り込んだ皇帝は其処で自身の降伏を条件に停戦を強要したのだ。
大戦はこうして終わった。ヴィルヘルム二世は、平和を願いながらも軍の理不尽により開戦に踏み切らざるを得ず、最後は自身の手でドイツの名誉を守りながら戦争を終結させたと言う神話を手に入れたのだ。
クソの様な展開で休戦を強要された連合国は手綱の離れたビリーのチート外交により、皇帝が全責任を取りフランスで軍事裁判に掛けられるので、その見返りとして軍の解体と縮小、帝政廃止、植民地放棄、ある程度の賠償て済ますと言う条件で手打ちにする事しか出来なかった。
幾らフランス世論が殺せと言っても処刑等出来る筈もない皇帝に代わり、徹底的に恨みをぶつけられ悪魔化されたドイツ参謀本部の声望は地に落ちた。
プロイセン以来ドイツを支えていた軍国主義は崩壊したのだ。混乱するドイツ政界、グダグダになる経済、国民は依るべを失い英雄を切望して行く。
そして…
「チョビ髭く~ん、連立政権成立やね。コレで君らも与党やおめでとう!…先に言っとくんやが、ワイは死なんで?好き放題できると思わんことや」
「は…ははっ…何をおっしゃいます陛下。吾輩は開く迄忠義の士で…」
「こらぁ陛下じゃないやろ?」
「失礼。大統領閣下」
「そうそう。ワイは君に期待してるで?ソ連は必ず仕掛けて来る。それまでに~」
「帝政復帰ですな…」
「そうや。でも立憲制やで?ワイが親戚筋と話付けたるさかいにあんじょうやってや?クソみそになったドイツを治めるにはこれしか手はないんやからな」
「吾輩にお任せ下さい」
真ビリー無双に続く。




