男性陣の会話と帰還した兄妹
「ふぁぁ…おはよう三人とも」
「「おはよう《ございます、である》ランド」」
シシリア達「ランドの婚約者グループ」が、「女子会」をする為にと飯店から追い出され、ランドの家を頼ったウード、イゾウ、ジャックスの三人は、翌朝起きてきたランドに揃ってそう挨拶をする。
「昨日は突然来て悪かったなランド」
「流石に某達でもあの気配の、シシリア嬢達の気迫には敵わなくての…」
「本当にすいませんランドさん、あとウードさんとイゾウさんも…ウチの妹が本当に…」
「「ジャックスは悪くねぇよ《ないのである》」」
そんな会話をする三人に、ランドも「別に気にしてないから大丈夫だぞ」と返す。
「偶には男だけでダラダラするのも悪くないしな、それにあの後ちょっと買い出しに行って…ジャックスが作ってくれた肴を摘みながら飲むのも楽しかったよ♪」
「「そう言ってもらえると助かるぜ《である、ります》」」
ランドの言葉に三人はそう返しながら、一先ずは簡単な朝食を四人で食べ始める。
そんな朝食の合間にウードが、ふと思い立ったように「そういやよ…」と口を開く。
「ランド、今日はお前は何か予定あるのか?」
ランドはウードにそう質問されると「予定?」と返しながら首を傾げる。
「ほら、お前は最近婚約者になったシシリア達と順番に過ごしてただろ。今日はどうすんのかなと思ってよ…」
ウードの言葉にランドは「今日は…」と思案してから返事を返す。
「今日は誰とも約束はないな、リル達は来るとしても早くて今日の夜あたりだろうし」
「あの魔族の嬢ちゃんか、追い出される前にガーネットに聞いたが、なんか魔大陸の方で野暮用ができて来るのがズレたらしいな」
「そうそう、フェアルターさんが消滅させたあの魔族の爺の…魔大陸で潜伏していた場所を見つけたとかでな。危険な物が放置されていないかを調査してから来ることにしたとかで、コチラに来るのが遅れるって事らしい」
「成る程、それは確かに放置はできぬな。あのガルヴ殿の弟という「黒竜」とまではいかなくとも、妙な存在が放置されていれば危険極まりない…」
「確かリルちゃんのお父様も、一度あの男に改造されたとか言ってましたものね。それにランドさんやサトラさん、ガレリアさんやラジさんが対峙したという「合成獣」とかも…」
三人の言葉にランドは「そうだよな…」と頷きながらウードに声をかける。
「とゆーことで別に急ぎの用事は無いが、何かあるのか?」
ランドがウードにそう質問を返すと、ウードは「いやな…」と少し言いにくそうにしながら言葉を続ける。
「ランドも知ってるだろうけど、俺はダラス帝国の方で半ば「ならず者」って感じの傭兵団をしてただろ。それでちょっと故郷の方には帰り辛くてよ、冒険者になると村を出てから一回も帰ったことがねぇんだよ…」
ウードの話を聞いてランドは「それはまた、両親も心配してるんじゃないか?」と口にする。
イゾウもランドに続いて「そういえば先日、お主は言っておったよな…」と言葉にする。
「確かベヒーモスの討伐に失敗して大怪我をして、それで魔物と戦う事に心に傷を負ったとか言っておったな」
「私のような凡人からしたら、魔物と戦うだけでもすごいと思いますけどねぇ…」
三人の言葉にウードは「まぁな…」と返してから言葉を続ける。
「それでよ、ランドと知り合ってなんだかんだあった結果…俺は今こうしてグラン王国の方で冒険者として活動を再開したわけだ。今後どうなるかはまだ分からねぇが、一度故郷に手紙でも書こうかと思ってよ。親父やお袋が今どうしてるかは知らねぇんだけど…せめて俺が今も生きてることくらい言っとくべきかなってよ…///」ポリポリ…
バツが悪そうにそう言葉にするウードに、ランド達は「良いんじゃないか?」と言葉にする。
「便りがないのは元気な証拠なんて言葉もあるらしいが、やはり親としては子供の状況は知りたいだろう」
「ランドの言うとおりである、某は既に両親とは死別しているが…やはり時には墓を参ろうという気持ちも起きるのである」
「私とシャオも両親はもう居ませんが、やはり親との繋がりは大切だと思いますよ」
三人の言葉にウードは「そ…そうだよな」と頷く。
「やっぱりちょっとくらい現状の報告はした方がいいよな」
ウードの言葉にランド達が「だと思うぞ」と口にすると、ウードは「よ…よし…じゃあ手紙を書こうと思うぜ」と宣言する。
そんなウードにランド達が「そうしろそうしろ♪」と促すと、ウードは「おぅ♪」と返してからランドに言葉を続ける。
「で…さっきの話に戻るわけだけどよランド、折角手紙を書くなら何か土産というか…手紙と一緒になんか送れる物がねぇかと思ってよ。時間があるなら、それをお前にも一緒に考えてくれねぇかなと思ったんだよ」
ウードの相談にランドは「あぁそういう…」と納得した。
「要はご両親への報告の手紙を書くから…それに添える贈り物を一緒に街で選んでほしいと?」
「まぁ…そういうことだ。あとジャックスやイゾウにも他の視点からアドバイスを貰えると助かるんだけどよ///」ポリポリ…
照れくさいのかウードが視線を反らしながらそう口にすると、ランドは「勿論構わないぞ」と返答する。
「それじゃあ今日は四人で、ウードのご家族への贈り物をどれにするか、祭を見て回りながら考えるとするか。イゾウやジャックスは用事とか大丈夫か?」
ランドの言葉にイゾウとジャックスは「大丈夫である《ですよ》」と返事をする。
「某も今日は特に急ぎの用事は無いからな♪」
「私も今日はお店を開けるのは夕方からですからね、最後までとはいきませんがお付き合いしますよ♪」
ウードは自分の都合に快く付き合ってくれるという三人に「ありがとよ…」と礼を述べる。
「「気にするな《しないでください》♪」」
三人にそう返事を返されたウードは、そんな三人を見ながら照れくさそうに「へ…へへ…」と笑いながら鼻を掻く。
「なんだかおかしいよな、ほんの少し前俺はジャックスの店に恐喝紛いの事をしてたのによ。それがランドと知り合って、ダラス帝国の陰謀にちょいと関わる事になっちまって、その後帝国を出てグラン王国に来たかと思ったら…世界が滅ぶかもしれねぇって戦いの渦中に立っていて、それが解決した今じゃこうして…過去に自分が恐喝した相手やボコられた相手に自分の事で笑いながら相談してるなんてよ♪」
ウードの言葉にランドとジャックスが「確かに…」と同意する。
「そうやって言葉にしてみると、ウードも中々ここ数ヶ月で色々とあったな。「俺が最強なんだ!」と叫んでいたウードがな♪」
「私もまさか自分を恐喝に来たウードさんと、今この様な間柄になるとは思ってませんでしたね♪」
二人の言葉にウードは「やめてくれよ///」と抗議する。
「あの時の俺はまだ世界を知らなかったんだよ、もうそんな身の程を弁えねぇ態度なんでとらねぇって♪」
そう言ってウードが笑うと、ランドとジャックスも「ハハハハ♪」と続いて笑う。
するとそんな三人を見ていたイゾウが「ふむ、しかしそうなると…」と口にする。
「なんだか某だけウードとは特に大きな関わりが無いであるな、某はウードとは武術大会でも戦っておらぬし。少し疎外感を感じるのである…」
「「は?」」
イゾウの言葉にウード達が反応してそう口にすると、イゾウは少し思案するような素振りを見せてから「よし!」と口にする。
「ウード、今から某と勝負である。某とももっと交流しようではないか♪」スラッ…!
そう言って太刀を抜くイゾウに、ウードは呆れた顔をして「やらねぇよバカ!」と言葉を返す。
「イゾウ、お前俺の話を聞いてたのかよ。俺はお前達に「親への連絡どうするか」を相談してんだよ、久しぶりの連絡を「俺の死亡通知」にするつもりか!?」
「冗談である♪」スッ…
「笑えねぇって…」
そんなイゾウとウードのやり取りを見ていたランドとジャックスは…
「「仲いいな♪」」
と笑顔で二人の様子を眺めつつ…
「じゃあ朝食片付けたら祭を周るとするか、ウードの故郷へと何を添えるかを考えながら」
そう話を戻したランドの言葉に、三人は「そうだな《であるな、ですね》」と返すと、朝食を終えてから街へと繰り出すのだった。
…
………
……………
そうしてランド達は、四人で祭を色々と見て周り…
「うーん、何がいいんだろな?」
「距離もあるでしょうし、食べ物なら日持ちする物がいいですかねぇ…」
「こうして考えてみると中々難しいであるな…」
「どうするかな…」
四人はウードの家族への手紙に添えるものを、何にしようかと考えていた。
「ウード、お前のご両親は何か好きなものとか無いのか?」
ランドがウードにそう尋ねると、ウードは「そうだなぁ…」と考える。
「親父もお袋もごく普通の庶民だからな、あんまり豪華な物とかは困るとは思うけど…」
「とすればちょっとだけ質のよい紅茶とかはどうでしょう?」
「紅茶か、某は緑茶の方が好みであるが良いかもせんな♪」
ウードの言葉にジャックスがそう提案し、イゾウもそれに賛同する。
「紅茶か、いいかもしれねぇな。だがそれだけだと少し寂しいから何か他に…「そこの四人の兄さん方、ちょっとウチの商品見てかないかい♪」…ん?」
ウードが二人の言葉にそう口にしている途中で、露店の店員がそう四人に声をかけてくる。
ランド達がその店員の声に反応して顔を向けると、そこではなにやら小さな箱の様な物を手にした男が居た。
「今俺達に声をかけたのはアンタか?」
ランドが男にそう声をかけると、男は「ええその通りです♪」と頷く。
「失礼ながら皆さんの話が少し聞こえてまいりまして、そちらの大きな方が…遠方のご家族への贈り物を考えてらっしゃると…」
男の言葉にウードが「だとしたらなんだ?」と口にする。
すると男は「実はウチの商品はですね…」とランド達に自身の扱う「商品」について簡単に説明した。
説明を聞いたランド達は「へぇ、そんな魔導具が…」と感心するような声を出す。
「そういった物があるのは聞いたことがあるが、直に見るのは初めてだな」
「俺もだ」
「某もである」
「便利なものもあるんですねぇ…」
ランド達が男の説明にそんな感想を述べると、男は「そうなんですよ♪」と笑顔で口にする。
「それでどうですか、ご家族様もそういった物があれば喜ぶと思うのですが♪」
男の売り込みにウードは「そうだなぁ…」と少し考えると…
「良いかもしれねぇな、親父やお袋もそれを見たら安心してくれるかもしれねぇ。じゃあそれを一つお願いできるか、ランド達も構わねぇか?」
ウードの問いかけにランド達は「勿論構わない」と笑顔で応じる。
ウードはランド達の言葉に「へへ…ありがとよ♪」と言いながらその男の方を向いて声をかける。
「じゃあお前さんの商品を頼むことにするぜ♪」
「ありがとう御座います、数は幾つでしょうか♪」
「五つだ♪」
「五つであるな♪」
「五つだな♪」
「五つですね♪」
男の質問にランド達は揃ってそう答えた。
「五つですね畏まりました、それではこちらの方に…♪」
そう言って男が案内する先に、ランド達はぞろぞろとついていくのだった。
それから少しして、ランド達はその男の商品をそれぞれ手にすると…主目的が完了したのでその後は、四人で祭をぶらつきながらのんびりとした一日を過ごしたのだった。
― ― ―
ここで場所は変わって、ランド達がそんな風に過ごしていた頃…
「ただいま〜、お祖父ちゃん帰ったよ〜。あっおじさんおばさんも来てたのね♪」
「只今戻りましたお祖父様、おじさんおばさんもご機嫌よう♪」
ターニャとナダーギの兄妹が故郷の村へと帰還し、祖父のシロウと丁度彼と一緒にお茶をしていたリディアのご両親に挨拶していた。
「帰ったかターニャ、無事でなによりだ。ナダーギもご苦労だったな」
「おかえりターニャちゃん、ウチの娘のことで手間を掛けてしまってごめんね」
「ナダーギ君もありがとねぇ」
シロウとリディアの両親がそう口にすると、兄妹は「気にしないで♪」と返事を返す。
「久しぶりにリディアにあえて私も楽しかったし♪」
「俺も心友が出来てとても良い経験となりました♪」
兄妹がそう口にすると、リディアの両親は「そ…それでなんだけど…」とターニャに尋ねる。
「ターニャちゃん、娘の婚約者という男性は…どんな人だったの?」
「ウチの娘が騙されてるとかは無かった?」
リディアの両親の質問にターニャは…
「大丈夫でしたよ二人とも、相手の男性はとても人間の出来た人だったわ。こう言っちゃお二人に失礼かもだけど、なんでリディアがあんな凄い人と婚約できたのか不思議なくらいよ」
そう言ってターニャは王国で会ったリディアの現状と、婚約者であるランドの事を簡単に説明した。
「「凄くイケメンで性格も良い完璧な人間だった!?」」
ターニャの説明にリディアの両親は驚きの声を上げる。
「そうなんですよ〜♪」
「「な…なんでそんな人がウチの娘なんかと?」」
「なんでもリディアが彼と知り合って、その過程で自分が魔物に殺されそうなった時に彼に命を救われて、リディアの方から「妻にしてくれ!!」って迫りまくった結果彼が折れたようです」
「「………っ〜……」」
ターニャからの説明を聞いたリディアの両親は、娘の暴走ぶりに頭を抱えて俯いた。
「心配した私が馬鹿だった…」
「寧ろこちらがそのランドさんに謝らないと…」
二人がそんな言葉を口にする中、シロウはターニャとナダーギに「ところで二人とも…」と声をかける。
「そのランドという男の戦士としての実力を、二人はどう見た?」
シロウの言葉にターニャは「そりゃあ凄いわよ…」と答える。
「私も普段冒険者ギルドで働いてるけどさ、あれほどの人は見たことがないわ」
「ほほぉ…ナダーギよお前はどう見た?」
ターニャの言葉を聞いたシロウが次にナダーギに尋ねると、ナダーギは「はい」と答える。
「自分は彼と少し手合わせをしましたが、全く歯が立ちませんでした。自分では彼の武器を抜かせることすらままならず制圧されてしまいました…」
ナダーギの言葉にシロウは「ほぉ…」と呟き、リディアの両親は「Sランク冒険者のナダーギ君が負けたのかい!!」と驚く。
そんなリディアの両親にターニャは…
「後に聞いたんですが、リディアの婚約者の方…今年の帝国武術大会の優勝者「鷹の剣士ランド」でした」
「「鷹の剣士ランド!?」」
ターニャからの追加説明にリディアの両親はさらに驚く。
「チラッと噂は聞いていたけど…」
「まさかそんな凄い人と婚約するなんて…」
リディアの両親は娘の状況にかなり驚きはしたが…
「まぁそれ程の方なら心配ないか…」
「そうね、人格もターニャちゃんが見て大丈夫と言うなら…」
「「逆にウチの娘なんかでいいのか不安だけど…」」
一先ずは娘が騙されたりしてるわけでは無かったことに、二人は安堵するのだった。
〜閑話〜
シロウ「時にナダーギよ…」
ナダーギ「はい?」
シロウ「お前は何故リディアちゃんの婚約者と手合わせをする事になったのだ?」
ナダーギ「(ギクッ)い…いや…それは剣士としての好奇心が…「そうだお祖父ちゃん聞いてよ、兄さんったらよりにもよってランドにね…」い…妹よそれはっ…!!」
シロウ「……何があった…?」
ナダーギ「え…え〜と…実は……」
…
………
シロウ「ほぉ、私情で相手に絡んで返り討ちにあい…あまつさえその相手に庇われた事に感謝して心友となったと…更にその後も共用浴場で再度私情が暴走して手間を掛けさせたと…」
ナダーギ「は…はい………」
シロウ「たわけが、貴様はどうしてそう妹の事となるとアホなのだ!!」
ナダーギ「こ…これも妹を思うが故の…「やかましい!」…はいっ!!」
シロウ「ちょっと道場に来い、芯から叩き直してやるわ!!」ズルズル…
ナダーギ「い…妹よ助けてくれ…お祖父様がマジギレしてる…コレは俺が死んでしまう…あぁ間違いない…確実に俺は死んでしまうぞ…今まさに俺は引き摺られながら命を零している…あぁ間違いない!!」ズルズル…
ターニャ「あっおじさんおばさん、コレ王国のお土産です。王国でちょうどお祭りしてたので♪」←ガン無視
リディア父「そんな、こっちが頼み事をしたのに気を遣ってもらって」←下手に口出しすまいと判断した
リディア母「ターニャちゃんは良い子だねぇ♪」←上に同じ
ナダーギ「妹よーーーー!!」ズルズル…
リン「結局ウードは何を用意したの?」
作者「それはいずれ書く予定の「ウードの番外編」にて」




