月夜に輝く宝石
作者「お待たせガーネットさん」
ガーネット「は?」
トラッシュの両親に見送られたランドとガーネットは、そのまま馬を走らせて帰路へとつき…ゼスタを素通りして少しした辺りの、雑木林にてその日は野営することにした。
「さて、明日の昼頃までにはガンドラに戻れるかな。ガーネットは疲れたりはしてないか、疲れがあるなら出立を遅らせても問題ないぞ?」
起こしている焚き火の前に座っているランドが、対面する位置に座るガーネットにそう声をかけると、ガーネットはそれに「大丈夫だ」と答える。
「疲れたというほどの疲労は無いからな、道中で野盗だの魔物だのに遭遇することも無かったし…」
「……そうか…ならいいけど…」
ランドはガーネットの言葉にそう返すが、内心ではガーネットの心情を考えて思案する。
(肉体的に疲労は無くとも、信頼していた部下の訃報を家族に伝えた後だからな。気持ち的には万全とはいかないだろう…せめてもの救いは…かのトラッシュとやらの騎士のご両親があの様に振る舞ってくれたことかな。……………だがあの二人……)
ランドがそんな事を思案していると、不意にガーネットが「なぁランド…」と声をかけてくる。
「ん、どうしたガーネット?」
ランドがガーネットの声に反応すると、ガーネットは「そのな…」と少し言い淀んでから言葉を口にする。
「と…隣に座ってもいいか///」
「ん…そりゃあ構わないぞ?」
「うん///」スタスタ…ストン…
ガーネットの言葉にランドが了承すると、ガーネットは立ち上がりランドの向かいから隣へと移動して、ランドの肩が触れるほどの距離に腰を下ろす。
そうして二人が並んで焚き火を眺めていると、再びガーネットがランドに声をかける。
「ランド、今日私達と話した彼の…トラッシュのご両親を見てどう思った?」
「どう思ったって…」
ランドはガーネットの言葉を反芻しながら、自身の思った風に口にする。
「よくできたご両親だなと思ったよ、王子のせいで息子さんが死んだというのに、それに対して実際に手に掛けたガーネットや、事の発端の計画を台無しにした俺には何も恨みを抱かずに「お門違いだ」と理解してくださっていたしな…」
そう答えるランドにガーネットは「ランド…」と少し声を大きくして言葉を返す。
「そういう「見たまま」の事を聞いてるんじゃないという事は、ランドもわかっているんだろ…?」
「……どういう意味かな?」
ガーネットの言葉にランドが惚ける様にそう返すと、ガーネットは真剣な顔をしてランドに言葉を投げる。
「これでも私は帝国近衛騎士団長だったんだぞ、ランド程ではないかもしれないが…私だって他人の殺気や対峙した相手の雰囲気くらい少しは読める。そう言った気配を含めての、彼の両親の様子について聞いてるんだ…」
ランドはガーネットの言葉に暫し「……」と無言になるが、やがて観念したように語り始める。
「……凄く、強くて立派な心を持たれた人達だと思ったよ。俺達に対してあんなに気丈に明るく振る舞っていたのも、言葉にされていた通りに、ガーネットが息子さんの事でこれからの人生で気に病んて欲しくなかったんだろう。本当に…本当に立派なご両親だった…」
「そうか…そうだよな…」
ランドの言葉にガーネットも同意するように頷く。
ランドもガーネットも戦闘についてはかなりの実力者だ、その結果先程ガーネットが言ったように、二人は相手の気配…特に殺気や心の乱れは敏感に感じ取る事が出来た。
だからこそ二人はトラッシュの両親に彼の訃報を伝えた際、言葉では明るく振る舞っていても二人が心を乱している事は何となく察知していた。
そうして自分達に気を遣ってくれている相手に、自分達から「無理に気持ちを抑えないでください」等と言えるはずがない。
二人のその心情も理解できたからこそ、ガーネットもランドも無理をしていると思われるあの二人には…自分達から必要以上に言葉を投げず、村の人達との交流もソコソコに引き上げたのだ。
おそらくあの二人は自分達が村を去った後に泣き崩れたに違いない。最愛の息子を突然失った悲しみは、子供がいないランドやガーネットにはとても計り知れなかった。
「ランド…ランドは自分の子供がもし何かに巻き込まれたりしたら、あの二人の様に気持ちを抑えられるか?」
ガーネットの質問にランドは「どうだろうな…」と返す。
「言葉では「そういう経緯なら仕方ない」と言うのは簡単だが、実際に直面するとどこまで冷静でいられるか分からないな。まぁ結局のところは「たられば」の枠を出ない話になるけど…」
ランドはそう前置いてから「だけど…」と言葉を続ける。
「自分に子供が出来たとしたら、やはり幸せな人生を歩んでほしいとは思うな。過保護とまではいかないにしても、一人の人間として立派に生きていけるようになるまではしっかりと守ってやりたい。贅沢かもしれないが、自分も相手も大切に思っていけるような人間に育って欲しい。勿論全てにおいて完璧なんて人間になるのは無理かもしれないがな…」
「そうか…」ポフッ…
ガーネットはランドの言葉にそう呟きながら、ランドにもたれるように自身の頭をランドの肩に乗せた。
「ランド…今回は私の横にいてくれてありがとう。私だけであの二人に会って話をしていたら、私は罪悪感に押し潰されていたかもしれない。仮に私でなく近衛騎士の誰かが報告したとしても、その者はやるせなさに苦しんだだだろう。ランドがそばにいてくれたから、私は恐れることなく現実に向き合うことが出来た…」
「行こうと提案したのは俺だしな、それに約束しただろ…」
ガーネットの言葉にランドはそう返しながら、自身の肩に乗るガーネットの頭を優しく撫でながら声をかける。
「ガーネットの事は俺が支えてやるってな、シシリア達もだけど俺は俺を想ってくれている人は、俺に出来る限りの事をして守り支えてやるさ」
「……うん、ありがとうランド///」
ガーネットはランドの言葉にそう言って感謝すると、ランドの方に視線を向けるて静かに目を閉じる。
ガーネットのその仕草にランドは、彼女が自分に今何を求めてるかを察すると…それに応えるようにガーネットの頬に手を添えてゆっくりと唇を重ねた。
「ん////」
そして数秒後…重ねた唇をランドがそっとガーネットから離すと、ガーネットは「ふふ…」と小さく笑う。
「近衛騎士団長まで務めた私が、これ程無防備に相手の接近を許すとはな♪」
「婚約者なのに近付くと斬られる可能性があるのか、だとすると近付くのは今回で最後にするかな♪」
ランドがガーネットの言葉にそう返すと、ガーネットは慌てて言葉を発した。
「じょ…冗談、冗談だぞランド。私はランドの事を警戒などしてないからな!」
「わかってるよ、守りたい対象の側にいないなんて矛盾はしないさ♪」
ランドがそう返すとガーネットは「むぅ…」と少し頬を膨らませる。
「あの時教会で私に優しく微笑んでくれた鷹の剣士は、実は鷹でなくとても意地悪な鴉だったのか?」
ガーネットがそう言うとランドは「鴉か…言い得て妙と言うやつかもな♪」と笑った。
「え?」
ガーネットはランドが自分の発した言葉にそう返してきたので、目を点にしてキョトンとする。
そんなガーネットにランドは「だってそうだろう♪」と呟くと、ガーネットの頬に触れながらに囁きかける。
「鴉は光るものを好んで集める習性がある、だからこそ今俺はこうして……輝かしい宝石を手に入れたのだから♪」
「んなっ/////」かぁぁぁぁぁぁ……!!
ランドの言葉にガーネットは顔を真っ赤にする。
「おや、顔が真っ赤だな。ガーネットではなくルビーだったか?」
「ラ…ランド…よ…よくもまぁそんな事を恥ずかしげもなく言えるな///」
「………スマン……言ってて俺も少し恥ずかしいと思った///」
「……」
「……」
「「………ふ…」」
「「アハハハハ!!」」
ランドとガーネットは少しの間を置いてから、互いを見ながら笑い合う。
「あの夫婦が私達にあぁして気を遣ってくださったんだ。それに私達が気付いたとしても、私達が引き摺ることを二人は望まないか…」
「そうだな、だからこそガーネット…俺達は彼の分まで幸せに生きていくべきだ」
「そうだなランド、これからも宜しく頼むぞ♪」
「こちらこそだ♪」
そう言って二人が笑い合った後、少ししてガーネットが「なぁランド…」と声を発する。
「ん?」
ランドが反応するとガーネットは「そ…そのだな…///」とモジモジしながらランドに語りかける。
「さっきランドは、私の事を宝石だと言ってくれたよな///」
「あ…あぁ言ったけど///」
「ほ…宝石というのは、そのままでもそれなりに輝くが…職人が手を加えることで更に輝きを増すのは知ってるよな///」
「そりゃまぁ…俺は冒険者という仕事柄あまり身にはつけないけど、加工することでより輝くことは知ってるぞ」
「だ…だったら///」モジモジ…
ランドの言葉にガーネットはそう口にすると、意を決したようにランドに言葉を発した。
「ランドが私を宝石と言うなら、私はランドの手によって…もっと自分らしく輝いてみたい///」モジモジ…
ランドはガーネットが、自分に何を望んでいるのかを察すると「こ…ここでか///」と確認する。
「だめ…かな…///」
そう言ってガーネットがランドを見つめると、ランドは少し思案してから…
「……わかった、ガーネットがそうしたいなら応えるよ。だけど無理はするなよ///」
「…うん///」コクリ…
ガーネットがランドの言葉に頷くと、ランドはガーネットの頬に再度手を添え「ガーネット///」と囁きかける。
そんなランドにガーネットも「ランド///」と言葉を返したあと…二人は改めて唇を重ねた。
そうしてガーネットは月明かりの下で、ランドという職人による「加工作業(意味深)」によって更に美しく輝いたのだった。
…
………
………………
「ガーネット、寒くないか?」
「大丈夫だランド、今私はとても暖かい気持ちだよ///」
「加工作業(意味深)」の後、二人は焚き火の前で一つの毛布に二人でくるまりながら会話をする。
「にしても、やはりランドは鴉なのか鷹なのか…あんな風に色々されるとは…///」
「色んな輝きを見せてくれて綺麗だったぞ」
「ば…ばか…そんな事を言うな///」
ガーネットはそう恥じらいながらも、ランドの身体に自身の身体を寄せると…
「ランド…幸せになろうな…ランドが私を支えてくれるなら、私もランドを支えていくから///」
「あぁ…そうだなガーネット///」
ランドもガーネットにそう返すと、そっとガーネットを抱きしめる。
「それじゃあ寝るとするかガーネット、明日にはガンドラに戻らないとな」
「うん、おやすみランド///」
「おやすみ…ガーネット///」
そう言ってランドとガーネットの二人は、互いに寄り添いながら目を閉じた。
…
………
……………
そして翌朝…
「ちょ…ちょっと予定より遅くなりそうだ!!」ドドドドドド…!
「規則正しく生きてきた近衛騎士たる私が…まさか寝坊するとは!!」ドドドドドド…!
「ガーネットらしくないな!」ドドドドドド…!
「ラ…ランドがあんなに激しくしたから、自分が思ってたより疲れてたんだ///」ドドドドドド…!
「そ…それはすまん///…ま…まぁ本来ならば往復4日のところを3日だから、計画より早いし大丈夫か///」ドドドドドド…!
「ラ…ランド…すまないが少し速度を抑えていいか?」ドドドドドド…!
「そりゃいいけどなんでだ?」ドドドドドド…!
「そ…その…昨日の余韻なのか腰への振動が///」ドドドドドド…!
「そ…そういう事は早く言ってくれ///…ここからはゆっくり行こう////」ドドド…ピタッ…
「す…すまん///」ピタッ…
結局二人がガンドラに戻ったのは、昼を少し回った頃だった。
リン「訓練された騎士が疲れるほどとか、どんな作業したのやら…」
作者「宝石って硬いですからね、そりゃ丁寧に手間暇かけて♪」
ガーネット「さ…作者…タイトル見るにこれって私とランドは…」
作者「青◯ですね♪」
リン「青◯ね♪」
ガーネット「は…初めてが青◯なのか///」
作者「まぁラジさんも似たようなもんですし気にしない気にしない♪」
ガーネット「そ…それに…近衛騎士として鍛えられた私が寝坊するとは…一体どんな…///」
作者「まぁその辺はもう一つの方の作品に構想でき次第描きますので♪」




