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マイペースな冒険者は今日も受付嬢に怒られる  作者: のんびり生きていきたいおっさん


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報告と親子の会話

「そ…そうですか…ランドさんはそれ程の実力者でしたか。しかもまさか最下層には言い伝えとして語られている「守護獣様」が実在していたとは…」


玄関でのやり取りの後、ランから話を聞いたツバキは「神託の祠」でのランドの目茶苦茶な様子に…驚愕とそして少し引きつつそう口にする。(因みに今は屋敷の中なのでランドは鎧を脱いで仮面だけの状態である)


「いやホンマにランドはん凄かったで、ウチなんかもう途中からイブキと煎餅とか芋けんぴ食べながら見てるだけやったもん」


「そ…そうなのですかイブキ?」


「はい…私が戦闘したのは途中の小さな魔物を撃ち落としたくらいで、道中の戦闘は殆どランドさんが一人で処理していました。尤もランドさんの戦いの様子も…戦闘というよりは片手間の作業といった感じで、ランドさんは全く苦戦などしてませんでしたが…」


「さ…作業ですか…」


ツバキはイブキの言葉に苦笑いしながらそう返すとランドの方に視線を向ける。


「セーラが頼むくらいですし、サイガも認めるほどですから腕は立つと思ってましたがまさかそれ程の実力をお持ちとは。ランドさんは本当に凄い方なのですね…」


ツバキの言葉にランドは「いえいえ…」と手を振りながら言葉を返す。


「俺はセーラ様やツバキさんに頼まれたことを…自分なりに全力でこなそうとしただけですから」


「ランドさんはマイペースなのですねぇ…」


ツバキはランドの言葉に驚き半分呆れ半分といった顔をしてそう口にする。


「まぁ…どうあれ今回は本当にお疲れ様でした、ランが帰ってきたことは祠を管理しているサキモリから街の上層部へと報告がいくでしょう。そして今回の「洗礼の儀」の各挑戦者の到達階層については…早ければ明後日にでも祭場にて「発表式」が行われることになります。二人とも疲れてるでしょうからそれまではゆっくりと休んでください」


ツバキの言葉にランは「そうさせてもらうわ」と返す。


「まぁ…そう言うても殆ど疲れとらんけどね」


「まぁ…私達はランドさんの後ろをついて行っただけですからね…」


「それはそうでしょうけど…」


「イブキよ、お館様の言葉に変なツッコミを入れるでないぞ…」


四人の言葉にランドは「はは…」と小さく笑った。


そんなランドにツバキは視線を向けると、改めて頭を下げてお礼を口にする。


「ランドさん、改めまして今回は本当にありがとうございます。ランドさんのお陰でこうしてランは無事に使命を果たして帰ってこれました」


「いえ、ランを危ない目に合わせないために俺がいたのですから気にしないでください」


「だとしても娘を守ってくださった事には変わりありません。…因みにですがその為にランドさんが怪我をされたりはしませんでしたか?」


ツバキの質問にランドは「大丈夫です、俺も特に怪我とかはしてませんから」と返す。


「なら良いのですが…」


ランドの返事にツバキがそう口にしたとき、ランが楽しそうに「いやいや、ランドはん途中で怪我してたやんか♪」と口にする。


「は?」


ランの言葉にランドがそんな反応をすると、ツバキが「本当ですか?」と目を見開いた。


「どういうことですかラン、ランドさんが怪我をしたというのは?」


ツバキがそう言うとランは笑いながら「そうなんよ、ランドはん途中で一回吐血したんや。あの時は焦ったわ、しかもそれは間接的にはウチのせいやし」と答える。


「あぁ、確かにラン様の行動でランドさんが怪我をした時がありましたね」


イブキはランがなにを言ってるのか理解して頷いた。


「なんのことだ?」


当のランドは二人がなにを言ってるのか解らず首を傾げる。


「ほらランドはん思い出してや、途中でウチがランドはんにあることをさしたらランドはん吐血したやんか♪」


「吐血……あぁ、アレか」


「思い出した?」


「あぁ、だけどあれは別にランのせいじゃ…「ラン!」…?」


ランドが言葉を口にしてる途中でツバキが声を荒げる。


「自分のせいでランドさんに怪我をさしといてなんで笑ってるんや!」


そう言ってランを叱責するツバキに、ランドは「いやツバキさん、落ち着いてください」と宥める。


「ランドさんは黙っててください、親として他人に怪我を追わせて笑うような娘に育ててしまったことは…「芋けんぴですから」…はい?」


「「芋けんぴ」ですよ、道中でランに「ランドはんも食べる?」って「芋けんぴ」を勧められましてその破片が俺の歯茎に刺さって出血しただけです」


「……」


ランドからの説明を聞いたツバキは無言になる。


そんなツバキの様子に、ランはニヤニヤしながらツバキに声をかける。


「嫌やなぁお母はん、もっと娘を信用しぃや。ウチが人様の怪我を笑うような人間に…あいたぁ!」ゴツン…!


「紛らわしい事言う時点で同じや!」


ランの冗談にツバキは拳骨を落とした。


ランが頭を抑えて蹲ってると、ツバキは「コホン…」と咳払いしてから口を開く。


「ま…まぁとにかくお疲れ様でした。ランドさんも今日のところはゆっくりと休んでください。後ほど部屋の方へと食事を運ばせますので」


「は…はぁ…ではお言葉に甘えて、俺は失礼します」


ランドはツバキにそう返すと、立ち上がって一人で現在あてがわれている部屋へと戻っていった。


ランドを見送ったツバキ、ラン、サイガ、イブキは…ランドがいなくなるとそれぞれ口を開く。


「全く…変な冗談を言うもんやないでラン」


「悪かったて、さっきも簡単に説明したけど…魔物相手にも無傷やったランドはんがまさかの「芋けんぴ」で怪我したもんやからつい…」


「ラン様の気持ちも解らなくは無いですけどね…」


「あれ程の気配を持ってると思えば、ただのお菓子で負傷する…本当にあらゆる意味で底のしれぬ男じゃのぅ…」


そんな感想を口にしながら、四人はランドという男の「不思議な雰囲気」を「だが悪い気配はしない」と思うのだった。


それからサイガが、イブキに「あの男の戦いぶりを儂の部屋で聞かせてくれ」と口にし…イブキも「わかりました」と答え二人で部屋をあとにする。


そうして部屋に居るのがツバキとランだけになると、ツバキが「ところでラン…」と娘に声をかける。


「なんやお母はん?」


ランが反応するとツバキは「ランドさんのことですが…」と話し始める。


「先程の祠の中での経緯で、ランドさんの素顔を見たと言ってましたね?」


「それがどないしたん?」


母の言葉にランはそう聞き返す。


「正直どうでしたか、ランドさんの素顔を見て貴女は彼を意識したりしましたか?」


「なっ///」


ツバキの質問にランは思わず赤面する。


「ななな…なにを言うとるんやお母はん、ウチがランドはんの事を意識するやなんてそんな…///」


ランのわかりやすい反応にツバキは「はぁ…やはりセーラの考えることは凄いわね」と溜め息をつく。


「なんなんよ、お母はんの友達のセーラさんとやらがなんやっていうんや?」


ランが尋ねるとツバキは答える。


「多分セーラがランドさんに仮面をつけろと言ったのはね、ランドさんにセーラが言った「身バレ防止」もあったんでしょうけど…他にも意味があったってことよ」


「他の意味って?」


ランが更に尋ねるとツバキは答える。


「考えてもみなさい、これから「洗礼の儀」を受ける為に集中しないといけない年頃の女性が…ランドさんのような顔つきをしている男性と暫く一緒にいて集中出来ますか?」


「そ…それは…///」


ツバキの言葉にランは返答に詰まる。


「ほらご覧なさい、だからセーラはランドさんに仮面をつけるように言ったのよ。貴女の気分が乱れないようにね、実際貴女今顔赤いし」


「そ…そんな事言うたかて、まさかランドはんが強いだけじゃなくてあんなにイケメンとは思わんかったんやもん。しかも祠の中にいる間も気を遣ってくれてすごい優しかったし///」モジモジ…


ツバキの言葉にランはモジモジしながらそう口にする。


「まぁ…貴女も年頃ですから気持ちもわからないでもないですがね。とりあえずランドさんに対してどうこう考えるのは「洗礼の儀」が完全に終わってから考えや?」


「わ…わかっとるよ…///」


ランがそう答えるとツバキは「わかってるならええけど…」と返した。


「まぁランドさんの素顔は確かにかっこいいですからね。私も若い時に彼の様な人に会ってたらどうなったやら…」


「せやろ、ランドはんってホンマにええ男やんな………ってあれ?」


ツバキの言葉に同意していたランは、そこでふとある違和感に気付く。


「どうしましたラン?」


ツバキがランの様子にそう声にすると、ランは「なぁお母はん、ちょっとききたいんやけど…?」と口にする。


「なんですか?」


「なんでさっきからお母はん…ランドはんの素顔知ってるような口ぶりなんや。ウチ祠の中でランドはんの素顔見たことは言ったけどどんな顔かは説明しとらんで?」


「えっ…」ギクッ


ツバキはランの指摘にギクリとする。


「あ…いやそれは…」


「なんでランドはんの素顔がイケメンって知ってるんや、よぉ考えたらさっきのセーラさんとやらの考えについても…ランドはんの素顔知ってる事前提のように言うてたな?」


娘からの指摘にツバキは「え…えっと…実はね…」とランドが街の散策に行った前日…それらしい理由をつけてランドの素顔を見たことを白状した。


「なんやそれ…そんなズルい事してたんかいな?」


「だ…だって…あの日の朝に貴女とあんな話して、気になったし。それに私は一緒に行くわけじゃないから良いかな〜なんて…テヘッ♪」


「ええ年して「テヘッ♪」とか言わといて!」


「と…年は関係あらへんやろ!」


「やかましわ!」


<ギャーギャー…


親子がそんなくだらない言い争いをしてる中…


「…お館様達はなにを騒いでいるのでしょうか?」


「さてのぅ…ところでイブキ、ランド殿がその巨人に対して駆使した「合気道」の腕はどうであった?」


「えぇ…まさか実践であのように「合気道」を使うとは…」


サイガとイブキは祠内でのランドの戦闘の様子に意見を交換したり…


「そういえば…もうラン達にもツバキさん達にも顔見せてるけど、まだ付けといたほうが良いのかな。まぁ万が一もあるから「洗礼の儀」とやらが完全に終わるまでは付けておくか…」


ランドはそんな独り言を呟いたりしているのだった。

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