リディアの迷子対策とフォルクスの反応
ちょっと加筆
とりあえずランドとリディアは街に入った。
「さて、このあとリディアはどうするんだ?」
もう逃げるのもめんどくさくなったランドがそう尋ねるとリディアは「そうだな、とりあえずは冒険者ギルドに「移動登録」をしようと思う」と答えた。
「そうか、しばらくこの街にいるのか?」
「ああ、王都なら私の探しているランドさんに関する情報もあるかもしれないしな!」
「(情報もなにも本人が目の前にいるんだが…)まぁ頑張ってくれ」
そう言ってランドはリディアに背を向けると歩き出した。
「…」スタスタ
「…」
「…」スタスタ
「…」
「……おい」クルッ
「…?」クルッ
「なぜお前も振り向く?お前に言ってるんだリディア」
ランドは先程からついてくるリディアに声をかける。
「なぜついてくるんだ?」
ランドはしばらくほっておいたがずっとついてくるリディアにそう尋ねる。
「なぜってランドは冒険者なんだろ?」
「そうだが、それがどうした?」
「それなら私はここのギルドの場所を知らないし、ランドについていけば依頼の報告のためにギルドに行くだろうからギルドにつけるじゃないか」
「その辺の人に聞けばいいじゃないか」
「ふ、私はAランク冒険者だぞ!迷子になってるなんて勘違いされたら恥ずかしいじゃないか。その点ランドについていけば問題なくたどり着けるし恥をかくこともない!まさに万事解決、これこそAランクまで上り詰めた冒険者としての知恵だ!」ドヤァ
「…もしかして他の街でも同じことしてるのか?」
「そうだな、初めての街ではさりげなく冒険者と思われる人の後ろをついていきギルドを見つけていた」
「不審者と思われたりしなかったのか?」
「私はAランクだ、そう簡単に気配を読まれたりしない!むしろ尾行を気付かれたのは今が初めてだ、Cランクにしては鋭いなランドは」
「そうか…まぁAランクならできなくもないか」
ランドはリディアの行動に納得はしたがひとまず伝える。
「とりあえず、今日は俺はギルドに行かないぞ?」
「え、行かないのか?」
「今日はなにも依頼受けてないからな、担当の受付嬢の子も休みだし」
「じゃあ私はどうやってギルドに行けばいいんだ?」
「いや、俺に聞かれても…「わ、私を見捨てるのか?」…へ?」
「見ず知らずの街で、誰も知り合いがいない街でこんないたいけな美女を見捨てるというのか?」
「自分で美女とか言うか?まぁ否定はせんが…だから誰かに聞いたらいいと…「まぁ落ち着いて聞けランド」…?」
ランドの言葉を遮るようにリディアが語り出す。
「まず私はギルドに行きたいがこの街のギルドの場所を知らない」
「はぁ…」
「そしてランドはこの街のギルドの場所を知っている。ここまではいいな?」
「それで?」
「だからお前が私を案内してくれたら私はすぐにギルドに着くわけだ」
「だから俺はギルドに今日は行かないと言ってるだろ?」
「ダメなのか?」
「ダメだな」
「何故だ?」
「俺の時間の無駄だからだ」
「なるほど、つまりランドは余計な時間を使いたくないと?」
「そういうことだ、それじゃあな」スタスタ
歩き出したランドの後ろからリディアが声をかける。
「だから待てランド、そうなると私はここで迷子になってしまうだろ?そしてまわりの人に手当たり次第に尋ねたとしたら不審者と思われて衛兵を呼ばれるかもしれない。すると私は自身の身元の証明のために唯一この街で名前を知っているランドの名前を出すしかなくなるぞ?」
リディアの言葉にランドがピタリと立ち止まる。
「そうなると衛兵は確認のためにお前の家まで行くことになるだろ?そしてお前はもう一度外に出て私の証明をしないといけなくなる。一度家に帰ってるのにもう一度外に出て来る方が時間の無駄だと思わないか?」
「何がいいたい?」
ランドが怪訝な顔でそう聞き返すとリディアは「つまりだな…」と口にすると…
「今こうして私と話してる間に私をギルドに案内した方が手っ取り早いと思わないか?」
「言ってやったぜ!」みたいな顔して視線を向けるリディアにランドは…
「大丈夫だ衛兵が来ても「そんな人知らないです」って答えるから。それじゃあな」スタスタ
そう言って再び歩き出すランドにリディアは慌てて声をかけるとランドの上着の裾を掴んだ。
「待ってお願い。偉そうに言ってごめんなさい!この街で知り合ったのランドだけだから不安なんだ!お願いしますギルドまで連れてって下さい!」グスッ
涙目で態度を変えたリディアにランドは「はぁ……ギルドはこっちだ、ついてこい…」スタスタ
もうやり取りするのに疲れてギルドに向かって歩き出した。
「あ、ありがとう!ランドは優しいな、私の探しているランドさんの次に信用してるぞ!」
「そりゃどーも…(一体リディアはどうやってAランクになったんだろ?)」
もうツッコむ気もなくなったランドは力なくそう答えるのだった。
そうしてギルドにリディアを案内したランドは「それじゃあな」と今度こそ帰ろうとしたが…
「待て待て、わざわざ案内してくれたんだ。礼として夕食を奢るから待っててくれ」ガシッ
今日何度目になるかわからない腕掴みをされる。
「いや、気にしなくていいから(もう帰りたい…)」
「そうはいかん、高ランクの冒険者としてその辺の礼儀は欠かせないからな!」
(半分泣き脅しで案内させるのが高ランク冒険者の礼儀か?)
そう心の中で思ったが実際に口にするとリディアが泣くかも知れないのでランドは我慢した。
「では待っててくれ」
そう言ってリディアは受付のところに並びに行った。
そこになにか用事で降りてきたのかフォルクスが二階から降りてきてランドに気が付くと声をかけてきた。
「どうしたランド?今日はシシリアは休みだしお前さんも依頼は受けてなかったろ?」
「あぁギルマス。いえちょっと森を散策してたときに人を探してるという冒険者に会いまして…その人をギルドに案内してきたんですよ」
「そうか、ご苦労なこった。なんて言う奴だ?」
ギルドマスターとして冒険者の管理はきっちりしときたいフォルクスの言葉にランドは「なんでもAランクのソロ冒険者でリディアと言うらしいです。そこで「移動登録」をしようと並んでる女性ですよ」と答えて受付の列に並んでいるリディアを指差した。
「……今なんてった?」
「へ?だからAランク冒険者のリディアと…「まじか?あのリディアがこの街に来たのか?」…ギルマス?」
ランドの言葉にフォルクスは天を仰ぐと「なんてこった…ランド、お前は非番の時までトラブルを持ってくるな…」とため息をついた。
「リディアって有名なんですか?」
ランドの問いかけにフォルクスは「まぁな、良くも悪くも有名な冒険者だ」と答える。
「良くも悪くも?」
「ああ、リディアはな…」
そう言ってフォルクスは説明を始めた。
たまにはランドが振り回されるのもありかと思います




