リディアの妄想が暴走そしてランドは逃走
「そうか、お前がランドか!ついに見つけたぞ!」
なにやら興奮状態のリディアを見たランドは(どうしよう、すごく面倒な予感が。あ、そうだ!)となにやら思い付いた。
「ちょ、ちょっとまて!ランドなんてそんなに珍しい名前でもないだろ?俺が本当にお前の探しているランドかなんてわからないんじゃないか?」
ランドの言葉にリディアは「む、それもそうか。先程の奴等も「俺がランドだ」とか嘘を言ってたしな。お前がさっきの奴等みたいに嘘を言ってるかもしれないか」と少し落ち着いた。
「さっきの様子見て自分から嘘つく奴はいないと思うが…、まぁとにかくリディアが探してるランドと言う人間はどんな奴なんだ?」
ランドの質問にリディアは「私が探してるランドという男は今年の9月に隣の帝国で開催された武術大会で圧倒的な力で優勝したといわれる奴だ」と答える。
(確かに9月に頼まれて出場して優勝したけど…別になにもやってないと思うんだがなぁ。決勝でちょっとしたゴタゴタはあったが…)
そう内心思いながらランドは「へぇー、そりゃまたすごい奴なんだな」と言った。
ランドの反応にリディアは「だろう?私はその男に是非とも会って手合わせを願いたいのだ!」と興奮気味に返してくる。
(なんだ、腕試しがしたかっただけか?それくらいなら別にいいかな?)
ギルド内でもたまに他の冒険者と簡単な手合わせをすることもあるし、アルガスにも「ちょっと付き合え」と城に呼ばれる事もあるのでランドはそう判断し…
「そうなのか、まぁ手合わせくらいな…「そして是非とも私とパーティーを組んで世界中を冒険してほしい!」…ら?」
ランドの言葉が言い終わる前にそう叫んだリディアにランドは固まる。
「それほどの実力の持ち主ならこの世界をもっと平和でより良い世界に出来るはずだと私は思うんだ!そんな男がひっそりと生きてるなんて勿体無いと思わないか?」
「い、いや~その人の生き方なんてその人次第だし他人がどうこう言うことでもないんじゃないか?」
熱く語るリディアに苦笑いしながらランドがそう返すと「それもそうだが、まぁそれは本人に頼んで私の熱意を伝えればきっと答えてくれると信じて挑戦したいのだ!」とリディアは言う。
「(今目の前で当人が引いてるぞ…)そ、そうかまぁ頑張ってくれ。それじゃあな」
ランドは片手をあげてリディアにそう告げると回れ右をして立ち去ろうとしたが…
「だから待て、まだ私が探してるランドのことを話しただけでお前がそのランドかどうかを聞いてないぞ?」ガシッ
再びリディアに腕を掴まれた。
(くっ、流せなかったか…)
「ち、ちなみにリディアが探してるランドについてだが他に情報はあるのか?」
ランドの質問にリディアは「いやそれが、私は人から話を聞いただけでそのランドという男がどのくらいの年齢や体格かとかは知らないんだ」と答える。
「そうなのか?(それなら誤魔化しきれるか?)」
「ああ、だがその武術大会はなみいる猛者達がこぞって出場するレベルの高い大会なんだ。そんな大会で優勝したんだ、きっと冒険者なら高ランクでAやSランクだと思う。もしくはどこかの騎士団の団長とかかもしれない」
「そうか…それなら俺はCラン「そしてきっと凄く格好いいと思うんだ!」…は?」
ランドが「俺はCランクだから違うな」と言おうとしたらそれに被せるようにリディアが大声を出した。
「名前以外は不明で颯爽と現れて圧倒的な力で優勝した謎の男、まるで絵本に出てくる正義の味方みたいじゃないか!きっと素顔もかっこよくて優しい人なんだろうなぁ~。手合わせをしたいことも一緒に冒険したいのも本心だけど出来るなら個人的にもお近づきになりたい!」
「……」
「そしてパーティーを組んでもらったら一緒に戦ってるうちに絆が芽生えてランドの方から「俺の人生のパーティーになってくれ」とか言われてそのままゴールインなんかしたりして…キャーキャー///」モジモジ
「……」ソローリ(後退り)
「そして人生のパーティーになったはじめての夜に「お前の剣技は素晴らしいが俺の剣技も堪能しろ」となって私はそのまま身も心も完全討伐されてしまったりなんかして///」クネクネ
「……」クルッ、スタスタ
「つまり私はそのランドという男に色んな事を伝えたいから是非とも会ってみたくて探してるわけで、だからお前がそのランドかどうかを…ってあれ?」キョロキョロ
妄想から帰ってきたリディアが辺りを見回すと50メートルほど向こうにランドの背中が見えた。
「おいまて!まだ話は終わってないぞ!」ダッシュ
そう言ってリディアが追いかけて来たのでランドは「知らん!お前の妄想なんぞ聞いてられるかぁー!」と街に向かって逃走した。
結局、ランドは街の近くの森だったこともあり振り切るまえに街に着いてしまったのでリディアに追い付かれた。
「全く、人が真面目に話してるのに勝手にどっかにいくんじゃない!」
「目の前で妄想聞かされる身にもなってみろ…」
「大体、ランドはCランクならそう言えばいいだろ。なぜ言わなかったんだ?」
「言おうとしたらお前が妄想語り出したんだよ!」
「むう、それは悪いと思うが」
「まぁ人探しは勝手にやってくれ(俺のことだから無駄足だろうが)、それはそうとリディアは街に入る証明書とかはあるのか?」
「大丈夫だ、冒険者証がある」
「そうか、ちなみにランクは?」
「Aだ!」
「そうか、ソロでAとはたいしもんだな」
「フフンそうだろそうだろ?まぁランドも頑張れ!いつか私が探しているランドさんのように立派になれるといいな!」
「ソウデスネ…」
結局気分転換に森に行ったら逆に疲れたランドであった。
そして門のところで門番とやり取りをしていると門番の女隊長の「エステル」が声をかけてきた。
「あらランド、昨日部下が通した奴等は昼に町を出たみたいね」
「エステルか、昨日は部下に無理言って悪かったな」
「いいさ、その代わり…」
「ホントに「建国祭」のときはファルちゃんと来てくれよ」ボソッ
「わかってるよ」ボソッ
「あ、あとできたらでいいんだが…」ボソッ
「なんだ?」ボソッ
「ガ、ガレリアさんも顔を出して欲しいんだ」ボソッ
「?、まぁいいけど」ボソッ
「ほ、ほんとか?」ボソッ
「伝えておくよ、別に断ったりしないと思うし」ボソッ
「た、頼んだよ」ボソッ
そんなやり取りが行われていた。
それが聞こえた門番達は…
門番A「隊長ってガレリアさんもファンなのか?」ボソッ
門番B「ああ、隊長は「獣耳フェチ」なんだよ」
門番A「マジ?真面目な隊長にもそんな一面あるんだな」
門番B「ま、趣味なんて人それぞれだろ」
エステル「お前ら残業な!」
門番A&B「!?」




