シシリアとノエル、突然現れた美人に驚愕する
―現在―
「あー、そんなこともあったな」
「思い出しましたか?」
「ハハハ、あの時は悪かったなランド」
「いや、驚きはしたが別に不快ではなかったからな。気にしてないぞ」
「そ、そうか///」
(マーセルさんなんで顔を赤らめて…ま、まさかやっぱりマーセルさんってその気が…?)
そう思考して焦るシシリアにランドが「どうしたシシリア?」と声をかける。
「い、いえなんでもないですよ。っともうこんな時間ですか…今日はここまでにしておきますか」
「そうだな、じゃあ今日も送ってくよシシリア」
「ありがとうございますランドさん、でも今日は私ノエルさんのところにいく予定なんですけど」
「え、ノエルと予定があるのか?」
「ええ、明日は休みなのでノエルさんのところで話をしながらそのまま泊まらせてもらうことになってるんです」
「そうか、じゃあアレックスさんのところに送っていくよ」
「良いんですか?ランドさんには遠回りになりますよ?」
「構わないよ、前も言ったけどシシリアみたいな美人を夜道で一人帰すのも危ないしな」
「あ、ありがとうございます///」
シシリアとランドのやり取りを聞いていたマーセルは(ふむ、以前の時も思ったがやっぱりシシリアもランドが気になるんだな…。シシリアもノエルも良い奴だし、同じランドが好きな立場としては…)と少し思考する。
「マーセルはどうするんだ?」
思考しているマーセルにランドがそう声をかけるとマーセルは「そうだな…シシリアちょっと頼みがあるんだがいいか?」とシシリアに声をかける。
「なんですか?」
「さっきノエルのところに泊まると言ってたが、そこに俺もお邪魔していいか?」
「へ?」
「マーセル?」
マーセルの言葉にシシリアとランドが声を出すとマーセルは「ちょっと思うとこがあってな、二人に話したいことがあるんだ」と口にした。
「で、でもそれは…」
返答に困るシシリアにマーセルが「心配すんな、別にシシリアやノエルに何かするつもりはないからよ」と宣言する。
「え、えーとランドさんはどう思いますか?」
シシリアがランドにも意見を求めるとランドは「まぁシシリアとノエルが構わないなら別に良いんじゃないか?(マーセル、いやマーサは女だから万一もないし)」と答える。
「で、でも…(ランドさんが言うなら大丈夫なんだろうけど…)」
まだ少し躊躇いのあるシシリアにマーセルは「まぁ無理なら構わねーよ、その時はランドのところに泊めて貰うし」と口にした。
「!?」
マーセルの言葉にシシリアは(そ、それはそれでランドさんがアリスさんとは違うタイプの危険が…)と思考する。
「おいマーセル流石にそれは…「わかりました、一緒にノエルさんのところに行きましょうマーセルさん」…シシリア?」
「ランドさんがマーセルさんに危険がないと言うなら信じます(ランドさんとマーセルさんを二人きりにするのもそれはそれで不安ですし)」
「そうか、それじゃあ一旦部下が取りに行った宿に荷物を取りに行ってからお邪魔させてもらうことにするぜ」
マーセルがそう言うとランドが「決まったなら行くとするか」と席を立った。
こうして三人でギルドを出たランド達はまずはマーセル達が取った宿に向かい、マーセルが部下にその事を伝えて荷物を持って出てくるとアレックスとノエルの工房へと向かった。
「シシリアさんいらっしゃい、ランドさんもこんばんはって…マ、マーセルさん!?」
シシリアと送ってきたランドに挨拶したノエルは予想外の同行者に驚いた。
「よお、ノエル久しぶりだな。急で悪いが今日は俺もノエルのところに泊めて貰うぜ」
「え?ど、どう言うことですか?」
マーセルの言葉に戸惑うノエルがシシリアとランドの方に視線をやると「実はな…」とランドが説明した。
「は、はぁ…まぁランドさんがそう言うなら(だ、駄目。ランドさんとマーセルさんを二人きりにするなんて)」
ノエルは驚きつつもランドの説明とシシリア同様ランドの家にマーセルを泊めるわけにはと思い了承した。
「それじゃあ俺は帰るよ、三人ともお休み」
「お休みなさいランドさん」
「お休みなさい」
「ありがとな」
そうして三人の返事を聞いたランドは帰っていった。
シシリア達三人が家に入ると中ではアレックスが椅子に座って寛いでおり三人に視線をやると言葉を発した。
「おお、シシリアよく来たの。ん、それにお主はマーセルじゃないか何か用かの?」
「久しぶりだなアレックスの爺さん。いや、ちょっとこの二人に話があってな…すまないが今日は世話になるぜ」
アレックスの言葉にマーセルがそう返事をするとアレックスは「ホッホッホッそうかそうか、まぁゆっくりしていくがよかろうて」と返した。
「マーセルさん、ちょっと部屋を片付けてきますので待っててください」
「あ、手伝いますよノエルさん」
ノエルとシシリアがそう言って二階に上がっていきアレックスとマーセルの二人になるとアレックスがマーセルに声をかける。
「マーセルよ、あの二人はお主の信用するに足るということか?」
「どういう意味だ?」
「惚けんでもええ、同じ男に想いを寄せていても仲が良いのは良いことじゃからのう」
マーセルに対してそう言葉にしたアレックスは更に言葉を続けた。
「のう?マーセル嬢ちゃんや」
アレックスの言葉にマーセルは目を見開く。
「爺さん…気付いてたのか?」
「ホッホッホッ、だてに長生きしとらんわい」
「なぜみんなに言わなかった?」
「そんな野暮なことはせん。何より大事なのはお主の気持ちじゃ、そして今回あの二人への話とはその事じゃろ?」
「そうだな…俺もランドが好きだ、あの二人や他のみんなと同じだ。だから隠し事はせず正面から参戦するために今居るあの二人には話すことにした」
「ホッホッホッその意気込みはエエがランドは手強いぞ?」
「頑張るさ」
「若いとはいいのう」
そう言ってアレックスはカラカラと笑うのだった。
「お待たせしました、マーセルさんこちらへどうぞ」
アレックスとそんな会話をしていると階段のところからノエルの声が聞こえてきた。
「ああ、それじゃあお邪魔するぜ」
マーセルはそう言って二階に上がっていきノエルの部屋にお邪魔した。元々昔ダイガンが使用していた部屋なので夜中にダイガンが鍛冶の汗を流すためにとシャワーもついている設計だった。
ノエルの部屋にはシシリアもいてベッドに腰かけている。
「それでマーセルさん、私達に話とは?」
シシリアがそう言うとマーセルは「あぁ、話す前に少しシャワーを借りるぞ。だから二人は待っててくれるか」と口にする。
「「へ?」」
マーセルの言葉に少し呆気にとられた二人が混乱してる間にマーセルは「ちょっと待っててくれ」と荷物を持ってシャワー室に入っていった。
マーセルを見送った二人は壁側に向いて話し始める。
「なんなんでしょうマーセルさん?いきなりシャワーなんて…」
「さ、さぁ?でもランドさんが大丈夫だと言ってましたから平気だと思いますが」
そんな事を話し合っているとシャワー室のドアがガチャリと開く音がして「もうこっち向いても大丈夫だぞ」とマーセルの声がした。
その声にビクッとした二人は少し間をおいてから振り向く。
「そ、それでマーセルさん話とは…ってええ!?」
「なんの話で…ってはいぃぃ!?」
振り向いた二人は目の前の人物に驚きの声をあげる。
二人が驚くのも無理はない、そこには部屋着のようなゆったりとしたシャツを着て背中の中辺りまでの栗色の髪を伸ばして佇む美人がいたのだ。
シャワーを浴びたばかりだからかその美人の髪はまだ少し水気を持って艶やかに煌めき、その均整のとれた美しい顔は少しまだ火照っているのかほんのり赤かったがそれが余計にその女性の美しさに少しの色気を交え更に美しく見せていた。
そしてゆったりとしたシャツの上からでも存在を余計には主張しないほどの女性としての膨らみと腰や足のスリムさが窺える。
突然現れた美しい女性にシシリアとノエルは女性でありながらも少し見とれてしまったがハッとすると順番に声をかける。
「あ、あの…マーセルさんですよね?」
「そ、その姿は一体?」
そう言葉にして戸惑う二人にマーセルが返事を返した。
「黙ってて悪かったな、俺…いや私の名前はマーサ。見ての通り本当は女なんだよ」
二人にそう告げたマーセル…いやマーサの言葉を聞いた二人は…
「「えぇぇぇぇぇぇ!!」」
あまりの出来事に同時に驚きの声を再度発するのだった。




