ランド達、リヴァイアサン夫婦の恩返しに色々とスゴいものをもらう
そこに立っていた男女にランドをはじめとした戦闘職のメンバーやガレリアとラジは「侵入者か?」とシシリアやノエルといった非戦闘員の前に立ち身構える。
そして戦闘経験の豊富なアルガス達のパーティーとランドやゼル達、そしてガレリアはその二人のまとう雰囲気から…
((この二人…かなり強い))
そう肌で感じていた。
そんな風に身構えるランド達にその男女は「そう構えないで下さい、我々はあなた方に危害を加えるつもりはありません」と告げた。
ランド達は二人の強さを感じつつも確かに二人からは殺気や敵意を感じないので武器を下ろす。
「それで、あんたらはなにもんだ?ここは一応プライベートビーチだから一般人の立ち入りは禁止のはずだが」
二人にフォルクスがそう尋ねると男女がそれに答える。
「はい、この度は私達の息子を助けてくださりありがとうございました。今回はそのお礼を述べにやって来た次第です」
「息子?」
アルガスが「なんの話だ?」と言いたげに首をかしげるとトルテが何かに気が付いたのかみんなに聞こえる大きさで声を出す。
「あなた達、昨日の大きな魔物と似たような気配がするわね?もしかして知り合いなの?」
トルテの言葉にランドが「昨日の大きな魔物…え、それってリヴァイアサンのことかトルテ?」と尋ねるとトルテは「うん」と答えた。
ランドとトルテのやり取りを聞いていた他のメンバーが「え、じゃああの二人はリヴァイアサンなのか?」と視線を向ける。
そんな様子を見た男女はニッコリと笑うと「なるほど、妖精がいたのですね。だからあの子が無理矢理従わされていることにも気が付いたのですか」と口にする。
「えっと、つまりお二人はあのリヴァイアサンのご両親なのですか?」
ノエルがランド達の後ろからそう問いかけると二人は「そうです、改めましてこの度は息子を助けてくださりありがとうございました」と告げた。
「そうか、あのリヴァイアサンはちゃんとあなた達に会えたのですね」
ランドがそう言葉にするとリヴァイアサンの夫婦は「はい、本来ならば息子もお礼に来させたいのですがなにぶんまだ幼く人の姿や言葉を喋れないので今回は私達だけで伺わせていただきました」と口にする。
「はー、リヴァイアサンも人間の姿になれるんだな」
「知らなかったわねぇ、まぁリヴァイアサンに会うこと自体が私達は初めてだけどラジのこともあるし不思議はないわね」
「うーむ、まだまだ知らないこともあるもんだな」
「そうね、とても興味深いわ」
ゼル達は素直に驚いてそんな言葉を口にする。
「まぁなんにせよお二人の話はわかった。わざわざご丁寧にありがとう」
ランドがリヴァイアサンの夫婦にそう返すと二人は「こちらこそ」と返した。
「しかし、それならあの海賊達が逃げたのは痛いな…」
フォルクスの言葉にアルガスも同意する。
「そうだな、どこに逃げたかは知らないが暫くはこの街の海上警備を強化するように通達を…「それなら心配ございません」…は?」
アルガスの言葉に被せるようにリヴァイアサンの夫婦は言葉を発する。
「「我が息子を拐ったあの愚か者共なら我等がすでに裁きを下しました」」
「裁きを?」
「はい、と言っても最終的に裁きを下したのは他のモノですが」
「えっと、それはどういう?」
ランドの質問にリヴァイアサンの夫婦が答える。
「我々は戻った息子から事の経緯を聞き、あの愚か者達の船を追いかけ木端微塵に破壊しました」
「木端微塵…」
「まだ幼い」と言う息子であの大きさなのだ、この二人の本来の姿はさぞや巨大でありそんな二体に襲われたならバルチャー達の船がどうなるかなどは考えるまでもなく想像できたランド達は息を飲む。
「ま、まさかそのままその海賊達を喰ったりとかは…」
ガレリアがそう呟くと全員が「え、まさか…」と冷や汗をかくが「いえ、我等は人間など食べませんよ」と返答したのでホッとする。
「先程言いましたようにあの者共の船は我等で破壊しましたが最終的に裁きを下したのは他のモノです」
「その他のモノって?」
ペンドラの質問にリヴァイアサンの夫の方が返答する。
「私は海の魔物を呼び寄せる力を持っています。船を破壊したあとその力である魔物の集団を呼び寄せました」
「ある魔物?」
「ええ、「流血の顎鮫」です」
「流血の顎鮫!?」
リヴァイアサンの夫の言葉にマーセルが悲鳴に近い声をあげる。
「マーセルはその魔物を知ってるのか?名前的にかなり物騒だが」
「あ…あぁ、その魔物はリヴァイアサンみたいな別格を除けば俺達船乗りには絶対に逢いたくないと言われる魔物だ。体長は四メートル位で目の前で動くものにはとりあえず攻撃を仕掛ける獰猛な性格をしてる。そのために常に顎から何かの血が流れていることから流血の顎鮫と言う名が付いたと言うくらいだ」
マーセルの説明にその場の全員が絶句した。
「そ、そんな魔物の集団に囲まれるって…」
ソアラがそう呟いて顔を青ざめる。恐らく海賊達のその後の末路を想像したのだろう。
「ちょっと食欲が…」
「そ、そうだな…」
カインズとダストンもそう言葉にするが意外にそういったものには耐性のあるミーシャは「うーん、流石にバラバラだと治療魔法でも治せないだろうねぇ」と暢気に感想を言っていた。
「ミーシャ、あなたグロいの平気だっけ?」
「だってソアラちゃん私は治療術師だよ?怪我とかアンデッドは私の専門だもん」
「そ、そう…」
ソアラは親友の意外な一面に苦笑いしかできなかった。
「少しして様子を見に行きましたがなにもありませんでしたよ。あ、これは浮いてましたが」
リヴァイアサンの妻の方がそう言って懐からなにかを取り出す。
それは船のエンブレムだった。
「た、確かにこれはあの海賊達の船の…」
乗組員達の言葉に全員「じゃあホントにアイツらは…」と言葉にするとバルチャー達の末路に身震いした。
「さて、それで本題ですが」
リヴァイアサンの夫の言葉に全員がビクッとしたが「なんでしょうか?」と返事を返す。
「お礼の件ですが皆さんにはお譲りしたいものがあります」
そう言うと妻の方が「あなた、お願いね」と夫の方に話しかけ「わかった持ってくる」と夫の方も答えると人の姿のまま海へと入っていく。
「「?」」
ランド達が首をかしげていると少しして夫の方が海から出てきた。その手には何やら大きな箱が抱えられている。
「まずはこちらの方を皆様にお譲りします。どうぞ皆さんで分けてください」
夫がそう言って箱を開けると中にはギッシリと金貨や珊瑚や真珠といった財宝が詰まっていた。
「こ、これは!?」
「我々が昔からなんとなく集めていたものです」
「す、すげぇな」
「幾らくらいになるのかしら?」
「キラキラいっぱいだー」
ゼルやペンドラがその輝きに驚いてそんな声を出しまだあまり宝の価値が解らないファルは純粋にキラキラしてるものに感動している。
「いいのですか?」
ランドの言葉に夫婦は「構いませんよどうせ海底では使い途もありませんし」と答える。
「まぁそういうことならこれは後日全員で均等に配分するか」
フォルクスの言葉にゼルやシシリア達は「でも、私(俺)達なにもしてませんよ?」と言うが「気にすんな、平等にいこうぜ」とアルガスの鶴の一声で終わった。
「そして今回息子を助けることに助力してくださった方にはそれとは別にこれをお譲りします」
そう言って今度は妻の方が海へ入ると先程よりは小柄な箱を持ってくる。
「まずはそちらの獣人の方にはこれを」
夫婦はガレリアになにやら両手で持つくらいの石を渡した。
「これは?」
ガレリアがそう尋ねると「これは「浄水の海石」と言うものです。こちらの石を井戸などに沈めておくと例え井戸が環境の変化や何者かに毒などを投入されて汚染されてしまっても全てを浄化して飲める水にしてくれます」
「へー、スゴいね。でも少し大きすぎるような…」
「それでしたら丁度良いサイズに砕いても構いません。砕かれても効果は消えませんので」
「そりゃすごい、それなら砕いた分は人狼族にも分けよう」
「ありがとうガレリアお姉ちゃん」
ガレリアの言葉にファルはお礼を言っている。
「そしてそちらのお嬢さんにはこれを」
夫婦はノエルになにやら曲がった棒状のものや尖った石のようなものを手渡す。
「あのこれは?」
ノエルの言葉に夫婦は「それは私達の取れた牙や爪です。貴女からは鉄や炭の匂いがしますし鍛冶屋だと思いまして、どうぞお好きにお使いください」
「リ、リヴァイアサンの素材?」
世間では殆んど出回らない素材にノエルは緊張し、そんなノエルにアレックスが笑顔で声をかける。
「ほお、良かったのうノエルよ。それならかなりの性能の武器が作れるぞ」
「そちらの魔法使いの方にはこれを」
夫婦はメリッサになにやら袋を渡す。
「これは?」
「水深の深い海底や岩場にしか生息しない海中植物の詰め合わせです。我々はよく知りませんが様々な魔法薬の材料になるとか」
「そりゃありがたいね、研究が捗りそうだよ」
研究者としての血が騒ぐのかメリッサは嬉しそうだった。
「学院長の研究が進んで試験問題ムズくなったりしないよな?」
「だ、大丈夫だろ?」
「怯えるな男子ども!」
「ちゃんと勉強しようね?」
「そちらの僧侶の方は…「私は要らないわ」…え?」
セーラが辞退したことに夫婦は驚きの声を出す。
「しかしそれは…「その代わり頼みがあるの」…頼み?」
セーラはそう言うと夫婦に近付いて耳元で囁く。
「実は私とあそこの男はこの国の王と王妃なの。だからこれからはこの辺りの海域で今回みたいな無礼な輩が海に出たら沈めてくれるかしら?見回ったり絶対とは言わないわ、見かけたり気が向いたときでいいから」ボソッ
「なるほどそうですかわかりました」ボソッ
夫婦とセーラの密談に他のメンバーは「?」と首をかしげるのだった。
「そして妖精のあなたにはこれを」
夫婦がトルテに渡したのは水色の布地だった。
「これはなぁに?」
「水の布と呼ばれる布地です。これで織った着物は涼しくて着てるだけで暑さから身を守ります」
「すごい、これで出来た服を着たら妹たちも暑さを気にしないで街で子供たちと遊べるわ」
「じゃあ里に戻ったらサトラにそれで服を作ってもらいましょうかトルテさん」
「うん」
「で、そちらの船乗りの方にはこれを差し上げます」
マーセルが受け取ったのは大きな丸い板のような物だった。
「こりゃいったい?」
「それは私の鱗です。私も多少は海で力のある魔物ですからそれを船のどこかに取り付けたら私の気配で海の魔物は近寄ってこないでしょう。勿論先程話に出た流血の顎鮫もです」
「すげぇな!これからは海の魔物を警戒しなくて良いのか?船乗りにとってはすごく助かるぜ!」
「まぁ我々を恐れないほどの魔物には効果はないでしょうけどね」
そう付け加える夫婦にまわりは((リヴァイアサンを恐れない海の魔物っているのかなぁ?))と考えていた。
「そしてラジさんには後日ご家庭の方に新鮮な海の幸を沢山送らせていただきますね」
「わぁ、ありがとうございま…ってあれ?ボクの事知ってるんですか?」
名前を呼ばれた事を不思議に思ったラジが尋ねると夫婦は「ええ、アクアさんとは友人ですから。貴女にも昔会った事があります、1200年ほど前ですから覚えてなくても当然です」と答えた。
「そうなんですね、流石に100歳の頃は覚えてないです」
ラジと夫婦の会話を聞いたランド達は(寿命のスケールが人間とは違うな…)と思うのだった。
「そして貴方にはこれを差し上げます」
夫婦はそう言ってランドにはなにやら笛のようなものを手渡した。
「これはなんですか?」
「それは「海鳴りの呼び笛」というアイテムです」
「海鳴りの呼び笛?」
「もし、海でなにか困ったことがあればそれを吹いてください、そこが海ならば私達が力になります」
((リヴァイアサンが呼べるってもはや海では敵無しでは?))
ランド以外の全員がそんな感想を抱いていた。
「それはすごいですね、ありがとうございます。ええと…」
ランドの言葉に夫婦は「あ、そういえば名乗ってませんでしたね」と言うと自己紹介をした。
「私はリヴァイアサンのウェイブと申します」
「妻のマーメイです」
「ランドです、今回はわざわざご足労いただきありがとうございます。それにこんな貴重なものまで」
「いえいえ我が息子「シードラ」を救ってくださりありがとうございました。また会うことがあればよろしくお願いします」
そう言ってリヴァイアサンの夫婦は海へと帰って行った。ランド達はしばらく海を眺めているとやがて海面から巨大な二体のリヴァイアサンとその二体の間にふた回りほど小さなリヴァイアサンが現れこちらを一瞥したかと思うと海に潜り姿を消した。
断っておきますが海鳴りの呼び笛を吹く回数とかで来てくれるリヴァイアサンが変わるとかはありませんよ。
大昔にあった特撮のように。
一回吹けばシードラが
二回吹けばマーメイが
三回吹けばウェイブが
なんてことはありません。
…作者が生まれてもいない時代の事なんてわかる人いないか…




