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マイペースな冒険者は今日も受付嬢に怒られる  作者: のんびり生きていきたいおっさん


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ドルフィン号、予定外のモノを積んだまま出航する

さて翌日になって、マーセル達の船「ドルフィン号」も午前中には修理の仕上げも終わった。


昼過ぎには出航することとなり今ランドは倉庫にて預かっていた荷物をマジックバックから取り出して倉庫に並べている。


「すいませんね兄貴、お手数おかけしやす」


「いいさ、バックから出すだけだから手間なんてこともないしな」


乗組員の言葉にそう答えてからランドはふと乗組員に声をかける。


「ところでこの荷物はなんなんだ?袋に入って少しヒンヤリしてるが」


なんとなく中が気になったランドが世間話のつもりでそう尋ねると乗組員は「これはですね…」と説明を始めた。


「こいつは海とかの水場に生息している「ウォータースライム」という魔物の皮を加工して作られた寝具です」


「寝具?」


「ええ…俺達も他の港で見たことがあるだけで扱うのは今回が初めてですが、「ウォータースライム」の核を破壊して討伐した後に残る皮は少しヒンヤリしてるんです。それを職人が加工してマットレスにしたものですね。夏場や気温の高い地域や俺達船乗りのように日差しの強いところで活動する者には便利なんですよ」


「へぇー、確かに寝苦しい夜とかには便利そうだな」


「今日出航したらここより南の方へ行く予定ですからね、そちらで売れそうだと船長が仕入れたんでさぁ」


「マーセルは商売の勘が冴えてるんだな」


「船長は先代からその辺も教育を受けてますからね」


そんな会話をしてると他の乗組員がやって来て「悪い、こっちを手伝ってくれるか?」と乗組員に声をかけた。


「おう、わかった。じゃあすいませんが兄貴荷物を出すのお願いします」


「わかった、残りも出しておくよ」


ランドの返事を聞いた乗組員達は「失礼します」と告げると倉庫から出ていった。


それからしばらくしてランドはバックの中から「ウォータースライムマットレス」を出し終えた。


「ふぅー、結構沢山入ってたな。入れるときは意識してなかったがかなりの量だったな、出すだけでも汗をかいてしまった」


そう言って上着の裾で汗を拭ったランドはふと目の前のマットレスに視線をやり、少し考えた後…


「少しくらいいいかな?」


そう言ってマットレスの上に体を横たえてみた。すると袋にくるまれている状態とはいえ程よい冷却感と弾力がランドの体を受け止める。


「おお、これは確かに気持ちいいな。これは確かに暑い時は重宝しそ……スー……」


なんとランドはそのままうっかり気持ちよさに眠ってしまった。しかもこの荷物は「衝撃で破れないように」と倉庫の奥の方に空けていたスペースに出しており倉庫の入り口からは死角となっていた。


その結果…用事を終えて戻った乗組員はランドが寝てることに気が付かず「兄貴は荷物を下ろしてから船をおりたのか」と判断して確認をしなかった。


そして少しして出航の用意ができたマーセル達はアルガス達と別れの挨拶をしていた。見送りにはアルガス、セーラ、シシリア、フォルクス、そしてゼル達のパーティーが来ていた。(ファルはガレリアとトイレに行きアレックスやノエルは昨日の疲れからまだ寝ていた。メリッサ達は野外学習中でそこにラジとトルテとアリスが付いていっていた)


「世話になったな、この恩は忘れないぜ」


「いいってことよ、こちらとしてもうまい酒や料理を食わせてもらったしな」


「ハハハ、また会うことがあればよろしく頼むよ」


「おう、気を付けてな」


マーセルとアルガスがそんな会話をしてると乗組員が「船長、積み荷も大丈夫です」と伝えに来る。


「そうか、ん?ランドはどうした?」


「倉庫では見ませんでしたし下ろしてから船をおりたんじゃないですかね?」


「そういえばどこに行ったんだ?」


アルガスの言葉にゼルが「トイレでも行ってるんですかね?」と返事をする。


「そうかキチンと挨拶したかったが…もう出るしな。よろしく言っといてくれ」


「わかった伝えておくよ」


「それじゃあ俺達は行くとするぜ!」


「またな!」


「出航するぞ!錨を上げて帆を張れ!」


「わかりました!」


マーセルの号令に乗組員が返事をして錨を上げて帆を張った。


そして「ドルフィン号」はゆっくりと浜辺から離れると沖へと向かって進みだした。


浜辺ではアルガス達が手を振っておりマーセル達もそれに手を振って答えた。


そうして少しずつ小さくなる船を見ながらアルガス達は…


「行っちまったな…」


「ええ、いい人たちだったわね」


「また会いたいもんだ」


「きっとまた会えますよ」


そんな会話をしていた。


そしてやがて船は水平線の向こうへと見えなくなっていった。


……………ランドを乗せたまま


「しかし、ランドはどこに行ったんだ…トイレにしては長いな?」


「そうですね、腹でも壊したのかな?」


アルガスとゼルがそんな会話をしてるとファルとガレリアがやって来た。


「船乗りさんたち行ったの?」


「いい奴等だったね」


「お、戻ったか。二人ともランドを見てないか?」


ゼルの言葉にファルとガレリアは「トイレにはいなかった」と答えた。


「ほんとか?じゃあメリッサさん達の様子でも見に行ったのかな?」


そこにメリッサ達も戻って来た。


「マーセル達は行ったのかい?」


メリッサの言葉にアルガスが「ああ、少し前にな」と答えると続けて「ランドを知らないか?」と尋ねる。


「ランド君かい?見てないけど」


メリッサの返答に全員が「あれ、じゃあランドはどこに…?」となった。部屋にも行ったが荷物はあったがランドはいない。


「アイツホントにどこ行った?」


「どこにもいませんねぇ…」


みんなが首をかしげているとアリスが「人探しの魔法道具を持ってきてますから使ってみますか?」と言葉にする。


「人探しの魔法道具って前にファルちゃんの時に使ったやつですか?」 


シシリアの言葉にアリスは「はい、サトラが「万一海で高波等に誰か拐われたらいけませんから」と持たしてくれたので」と答える。


そこでランドの部屋の荷物からフォルクスが代表してタオルを取り出した(アリスがやりたがったが他の女性陣から「なにするかわからない」と止められた)。


そしてタオルを魔法道具に入れると前回のように十字の一方が光りだしたが音はしていない。


「音がしないということは50メートル内にはいませんね…」


「とりあえずその光の方へ行くか」


そうして全員が光の指す方へ歩いていきしばらくすると全員が動きを止めた。


「海だ…」


「海だな…」


そう、光の方向は海だった。それを確認したシシリアは「ま、まさかランドさん本当に高波にさらわれて…」と青ざめるがフォルクスが「いや、それはないだろう」と答える。


「なぜだ?」


フォルクスの言葉にアルガスがそう尋ねるとフォルクスは答える。


「部屋には剣とマジックバックもなかった。そんなもん身につけて海に入るほどバカじゃないだろ」


「そうか?俺はたまにするぞ?」


「お前と一緒にするな!」


「ランドはアルガスほど無鉄砲じゃないでしょ、いきなり「タコが食いたい」とか言って装備を着けたまま飛び込んだりしないでしょ」


「君の無計画ぶりは流石にランド君でも敵わないよ。何回私やセーラが重さで沈んだ君を救助したと思うんだい?」


アルガスの言葉に元パーティーメンバー全員からツッコミが入る。


「懐かしい思い出だよな!」


「「黙れ!」」


アルガス達のやり取りを苦笑いしながら聞いていた他のメンバーは「で、結局ランド(さん)はどこに行ったのかな?」と考える。


「最後に見たのはいつだ?」


フォルクスの言葉にリンが「確か…「マーセルから預かっていた荷物を倉庫に入れてくる」って言ってたのが最後だと」と答える。


「誰かランドが船から降りてるの見たか?」


フォルクスの言葉に全員が首を振った。


「と、言うことは…」


「ま、まさかランドさん…まだ船に乗ってたんじゃ?」


誰となくそう言葉にして皆は「……」と間を置くと


「「ラ、ランド(さーん)ーー!」」


と叫んだ。


するとそこに寝ていたノエルとアレックスがやって来た。


「あ、もう船出ちゃってますよアレックスさん」


「ほんとじゃ、弱ったのう…」


そう呟く二人にアルガスが声をかける。


「どうしたんだ二人とも?」


声をかけられた二人は「実はうっかりマーセルさんの船の工具をいくつか持ってきてしまったんじゃ(です)」と答える。


「なんてこった、向こうにあるべきものがこっちにあってこっちにいるべき奴が向こうに行っちまうなんて」


そう言ってフォルクスは天を仰いだ。


「こっちにいるべき奴?」


状況を知らないノエルにペンドラが「あのねノエル…」と説明する。


「ラ、ランドさんが!?」


そう驚いてみんな同様「どうしようどうしよう」と慌てるノエルだったがその時一人が声を発する。


「あのー、とりあえずマーセルさんの船を追いかけませんか?」


それはさっきから一言も喋らず聞いていたラジだった。


「ラジちゃん、追いかけると言ってもどうやって追いかけるの?」


「そうよ、船とかはないし。何よりもう見えないからどっちに向かったかもわからないわ。それこそ空でも飛ばないと無理よ」


シシリアとアリスがそう言葉にするがラジは「だから飛んで行きましょうよ」と返す。


「「どうやって飛ぶんだ(のよ)?」」


そこにいる全員がそう口にするがラジは「いやみなさん、どうやってもなにも…」と答えると言葉を続ける。


「ボク空飛べるんですけど?」


「「あ…」」


あまりのことに全員が慌てて失念していたがラジの言葉で思い出した。そう、目の前の少女はドラゴンだったと…


「じゃ、じゃあとにかくマーセルの船を探して追いかけよう。また魔物が船を狙ってもあれだから何人か付き添え。ラジ、お前さん何人なら運べる?」


フォルクスの言葉にラジは「そうですね、四人くらいなら」と答えた。


そして少し話し合った結果…ラジが乗せていくのは「最近運動や戦闘してないから体を動かしたい」という理由でセーラとメリッサとガレリア、そして工具を返すためにノエルと「見当たらなければ精霊に聞こう」ということでトルテが行くことになった。(トルテは小さいので人数に含まれない)


こうしてドラゴンの姿になったラジの背中に乗り込んだメンバーは飛び立って行くのだった。


そんなことになってるとは知らないランドは…


「くーー」


まだ寝ていた。


一方、アルガス達が色々と慌てているときより少し前の頃、ドンク達もバルチャーの部下から「船が出た」という伝言を聞いたことで「よっしゃ、野郎共行くぜ!」と船を出したのだった。

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