舵を直す船乗りと「フラグ」へ舵を切るドンク達
総PVが40万回突破!
ずっと読んでくれてる方、新たに興味を持ってくださった方ホントにありがとうございます。
「ほれ、そこの部品をここに繋げるんじゃ」
「なるほど、ではこれは?」
「それはここの金具の穴に通してから…」
昨日ちょっとしたトラブルはあったものの現在ドルフィン号の乗組員達はアレックスの指導のもと船の修理を行っていた。
「お待たせしました、残りの部品も持ってきましたよー」
「ありがとうございますノエルの姉御!」
乗組員達が部品を作って持ってきたノエルにそう答える。
「その姉御というのやめてくれません?皆さん私より歳上ですし…」
「歳上かなんて関係ないですよ、その若さでこれ程の技術を持たれてるのですから尊敬しますよ」
乗組員達からの言葉にノエルは「うーんでもですね…」と困惑する。
「まぁどうしてもと言うならノエルさんと呼ばせてもらいますが。ランドの兄貴は別にいいと言ってくれましたよ?」
「え、ランドさんは皆さんに兄貴と呼ばれてるんですか?」
「ええ、兄貴も最初は「兄貴って…」と困惑されてましたが最終回に「まぁ構わないが…」と言ってくれました」
(ランドさんが兄貴で私が姉御ならそれはつまり共通した呼び名ってことで…つまり私とランドさんが夫婦みたいな感じに…キャー///)
「まぁそこまで困るなら仕方ありませんね、これからはやっぱりノエルさんと…「姉御でいいです」…へ?」
「私も姉御で構わないです!」
「は、はぁそうですか?」
ついさっきと違いそう力説するノエルに乗組員達は少し困惑しながらもそう返事した。
その様子を念のために護衛として近くで見ていたペンドラとリンは…
「どうしたのかしらねノエル?」
「多分…ランドが兄貴で自分が姉御なら呼び名的に夫婦みたいとでも思ったんじゃない?」
「ノエルってそんなキャラだったかしら?」
「恋すると変わるものなのね…(そしてやっぱりノエルはムッツリなのね)」
そんな会話をしながらノエルを見つめる二人だった。
そんな状況を眺めながらランドはマーセルに声をかける。
「昨日はどうなるかと思ったがこれなら無事にすみそうだな」
「だな、アイツらも今日は慣れない修理作業で疲れてるだろうから念のため出航は明日に延期するが」
「まぁ疲れてる時に無理に出る事もないだろう。アルガさんもフォルクスさんも「万全にしていけ」と言ってたからな」
「ああ、だからランド…すまないが昨日の荷物は明日まで預かっておいてくれ」
「構わないぞ」
「しかし本当にお前には助けられてばかりだな。サハギンの時も買い物の時も取引の時も本当に助かるぜ」
「たまたまだがな、まぁそうやって色々あるからフォルクスさんに「やらかすな!」と言われてしまうんだが」
「ハハ、俺としてはそのお陰で助かったんだお前のトラブル体質に感謝だぜ」
「あまり誉められてる気がしないんだが…」
「一応は誉めてるぞ?」
そう言って悪戯っぽく笑うマーセルにランドは「マーセル、お前俺が困惑してるの楽しんでるだろ?」と尋ねる。
「わかるか?他人の困惑顔は見てて面白いからな」
そう答えるマーセルにランドは「ほぉ…そっちがその気なら俺もやり返させてもらおうか…」と口にする。
「お、なんだよ?俺はそう簡単には困惑なんてしないぜ?」
そう言ってニヤニヤするマーセルにランドは「そうか…?」と顔を向けると耳元に口を近づけて囁く。
「その強気な笑顔も可愛いぞマーセル…海の女神みたいだ…」ボソッ
いつかの脱衣場の時のように声を低くして更にフッと首元に息をかけた。
「ひぁん///」
ランドのいきなりの行動と言葉にマーセルはつい声をあげる。
「?…船長どうしましたか?」
近くを通った乗組員がそう尋ねるが…「な、なんでもねぇよ…///早いとこ直しちまえ」とマーセルは声を出した。
「簡単には困惑しないんじゃなかったのか?」
そうニヤニヤするランドに「う、うるせーな///キャラじゃない事するんじゃねーよ」とマーセルは言い返した。
「まぁ確かにそんな二枚目舞台演者みたいなのは俺のキャラじゃないか。とりあえずはやり返せたからいいとしよう」
「お前ホントにいろんな面でマイペースだな…」
「よく言われるよ」
そんな二人の様子を見ていたペンドラとリンとノエルとアレックスは…
「なんかあの二人並んでるの見るといけない感情がわきそう…」
「そうね、マーセルは勿論だけどランドも顔は悪くないしね。(私はそういったジャンルも好きだしあの二人なら絵になるしね。どっちがどっちならいいかしら?)」
(マーセルさん、ランドさんとなに話してるのかな?それになんで赤く…や、やっぱりマーセルさんってソッチの…?)
(ホッホッホッ、ランドは特に深い意味ではやっておらんのじゃろうがなぁ…。ノエルや他の娘さん達には新しい敵ができるかもしれんのう)
そんな思いをそれぞれ口にしたり思ったりするのだった。
そしてマーセルも…
(くそっ、なんだってんだ?ランドの声が近くで聴こえるだけで鼓動が大きくなりやがる///)
そんな事を思うのだった。
―一方その頃のドンク商会―
「さて、アイツらを狙うとしてもいつ出航するんだろうか?」
そう言葉にするドンクにバルチャーが答える。
「とりあえずは部下に少し離れた所から見張らせているから、動きがあれば伝言が来るだろう」
「そうか、まぁ即座に対応できるように装備を運ぶ手配をしておこう」
「そうだな」
そんなやり取りをしてるとバルチャーの部下が「お頭、連絡です」とやって来た。
「お、それでどんな感じだ?」
「へい、遠目ですがなにやら爺と女が工具を持って船から降りるのが見えました。おそらくは奴等がドンクさんのところの商人が言ってた職人の二人でしょう。その後舵が動くのか確認するように何度か動いたのも確認しましたし、今日はもう夕方です。出るとしたら明日だと思います」
「そうかご苦労だったな、引き続き見張りを頼む」
「へい」
部下の男はそう言うとその場を後にした。
「というわけだ、明日に備えて今日は俺達も早めに引き上げさせてもらうぜ」
バルチャーはそう言って席を立つ。
「ああ、だが少し待て。装備と食糧を用意するからついでに持って帰って明日すぐ使用できるように確認しておけ」
「わかった」
ドンクの言葉にバルチャーがそう答えたとき、今度はドンクの使用人がやって来た。
「会長、こちらの手紙が届きました」
「そうか、ご苦労」
「では失礼します」
使用人はドンクに手紙を渡すと下がっていった。
ドンクは手紙を開封すると目を通す。
「ほお、なるほどな…」
「何かあったのか?」
手紙を読んだドンクの反応にバルチャーがそう尋ねると「なに、王都の方で何度か表向きの取引をした事のある商人からの情報だ。商人は情報が命だからな」とドンクは返答した。
「へえ、それで?」
「王都の方では少しずつあのジャビィやダブダの噂が広まってきているようだ。それでこの二人を破滅させたのは同一人物らしい」
「マジかよ?そんな奴とは絶対会いたくねーな」
「ふむ、それでそのものの名前はどうやら「ランド」と言うそうだ」
「「ランド」か聞いたことねーな」
「俺も知らないな、しかしあのジャビィを倒すほどの奴だ。もしも騎士とかでなく冒険者とかなら間違いなくSランクだろうな」
「そりゃそうだろうな…っておいまさか、昨日お前のとこの護衛をボコった元Sランクとやらがそのランドって奴だなんて事はねーよな?」
「それはないだろう」
「なぜそう言いきれる?」
「その「ランド」というやつはまだ若い男だそうだ、部下の話だとその元Sランクは中年らしいからな年齢が違いすぎる」
「でも、もう一人は若い奴だったんだろ?」
「そいつは元Sランクの中年が「こっちの若いのはCランクだ」と言ってたらしい。そんな奴がジャビィやダブダをどうにかできると思うか?」
「確かにな」
「まぁそれにここはグラン王国でも南の端だぞ?まさか王都の方で活動してる奴がこんなところまで来るなんてあり得んだろう」
「王都は規模がでかいからな、冒険者だとしてもわざわざ依頼でこの辺りまで来ることもないか…」
「そういうことだ、まぁ俺達みたいに目立つのを避けて流れた奴等もいるがな」
「まぁそれは仕方ねぇよ捕まるよりましだ。今度の船にはせいぜい稼がせてもらおうぜ」
「そうだな、俺も同行するが明日は頼むぞ」
「任せとけ」
そう言って二人は遠くの地の懸念など気にするまでもないとその事を思考から外した。
そしてその「まさか」が起きてるとは夢にも思わないのだった。




