STEP1 Frozen Flare 85
そう思って愛美は、自分と長門用に急遽サングラスを用意したのだが、長門などどちらかと言わずとも、マフィアか何かのようにしか見えなかった。
長門も愛美も、まだ事情聴取は受けていない。
どうきり抜けるべきか、愛美は必要外のことに頭を悩ませていた。
長門だったら雇われたボディガードだと言うだけで、何を聞かれても蛙の面に何とやらだろうが、刑事に妙な疑いをもたれたらどうしようと人事ながら心配していた。
長門と愛美が今回受けた依頼に関しては、法律に触れるようなことは何もしていない。
だが、説明しづらい事柄ではあった。
愛美が頭を痛めていることも知らず、長門は我関せずといった顔をしている。愛美も、今は動向を見守るしかない。
「曽根崎さんに恨みを抱いている人間に、心当たりは?」
伊集院は、手帳と首っぴきになりながらそう言った。
いかにもお役所仕事といった感じだ。
「この場にいる全員」
「ヨータ」
シヴァが慌てて口を挟んだが、ヨータはそれを無視して言葉を続ける。
「恨んでるからって、即殺すってことに繋がるような短絡的な奴だったら、さっさと殺してるだろう? はっきり言って、シヴァ以外のメンバーはザキのおこぼれで芸能界入りしてんだから、ザキがいなくなったら、それこそ大損なんだぜ」
もう一人の伊集院とそう年は変わらなく見える警官は、じっとメンバーの様子を見ている。
シヴァもウミハルもヨータを 黙らせておきたいようだが、席順が悪かった。ヨータの隣にいるのは弟のライだけだ。
「ええっと平井陽太さんでしたね。一度、曽根崎さんは襲われたこともありますし、嫌がらせとみるのはどうかと思うんですよ」
伊集院は、やはり手帳をめくったりに忙しく、殆ど相手の顔を見ていない。
それでは事情聴取が務まらないだろうが、だからこそ二人一組でいるのかも知れない。もう一人が、観察役という訳だ。
「よっぽど自己顕示欲が強いんじゃねー」
再びヨータが口火をきった。
つまり、殺すことは目的ではないと言いたいのか。
「あくまで嫌がらせとなると、全員疑われても仕方がないということですか?」
メンバーは、諦めにも似た表情を浮かべていた。否定できるだけのものはないと言っているようなものだ。
刑事にいい印象を与える訳がないだろう。
「偉そうで――まあそれも仕方がないけど、実際俺らより偉いんだから――それを鬱陶しいと思うことは人間誰でもあると思うけど」
ヨータは、少し慎重な言い方をした。




