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STEP1 Frozen Flare 84

 思いきり皮肉った冗談のつもりだろうが、あまりにも毒味が強すぎる。

 私はすかさずカットだと叫んで、最後の部分を撮り直しさせ、用意した通りの終わりに修正させた。


 カットさせたシーンはオンエアはされなかったが、あくまでザキのブラックジョークだと言う注釈付きで、番組内でリポーターは語った。

 

 視聴者の興味と熱い視線を一身に受けるのは、ほんの一時のことだ。

 マスコミなど、別のネタがあればすぐにそちらに移ってしまう。


 今のところ、誰かが不倫したとか結婚するとか捕まったとか、そういった話題はないようだ。


 飢えたるマスコミの格好の餌食として、Fフレアは持てはやされている。


 もしザキに何かあれば、またもや色々な憶測が飛び交い、面白おかしく話を作られてしまうのだろう。


〈悲劇の天才アーティスト、早過ぎるその死〉


 私は、女性雑誌の見出しを思い浮かべて、慌てて頭を振った。




「私も長門さんも、でき得る限りのことはします。安心していいなんて、その場凌ぎのことは言いません。そんな簡単なことじゃないから」


 愛美はそれだけ言って、ソファを立って里見の前を離れた。

 見捨てられた小犬のような顔をしているだろうことは、里見を振り返って見なくとも分かる。


 大丈夫。


 人は簡単にその言葉を口にするが、愛美は安易に使いたいとは思わなかった。


 大丈夫。

 そう言ってやることで、里見はきっと救われた思いがしたことだろう。


 しかし、必要なのは里見を救うことではない。ザキを救えなければ、結局里見だって救われたことにはならないのだ。


 愛美は、この前のテレビの取材があった日以来、ザキともヨータとも口を聞いていなかった。

 今その二人は、メンバーの控え室でシヴァとライ、ウミハルとともに警察官の前で事情聴取をされている。


 合わせて五人もの警察官の中に、先日も訪れたあのサラリーマンふうの頼りない感じの刑事の姿があった。

 伊集院だという名はさっき、里見から聞かされた。


 私服の刑事は、その伊集院ともう一人だけで、あとは制服警官だ。制服を着ている方は、所轄の警官だろう。

 

 話は、専ら伊集院が聞いていた。

 あれで結構きれるんじゃないかと言うシヴァの意見は、当たっていたのだろうか。


 神妙にソファに並んでいるメンバーと違って、ザキは一人用のソファにだらしなく腰掛けていた。

 いかにも自分は、被害者なんだからという横暴な態度だ。


 長門は、目立たないように壁際に控えている。伊集院に顔が割れていることもあり、変装というほどでもないが、愛美も長門もサングラスをかけていた。


 業界関係者に見えないことも、ないだろう?――芸能人とか。

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