STEP1 Frozen Flare 75
プロモーション活動には、うってつけという訳だ。
取材を受けるのはメンバー全員ではなく、ザキとウミハルとライの三人だった。かなり不安のある構成である。
ライはただでさえ人見知りで無口になるし、ウミハルもヨータがいなければ、いつもほど饒舌にはなれないだろう。
うまく誘導してくれるシヴァがいなくては、まとまりがつかなくなってしまう。
今回の取材は、質問もそれに対する解答も、こちら側で用意する必要があった。
今の状況はと言えば、番組の関係者とともに、諸々の打ち合わせをしているところだ。
シヴァとヨータは、もちろんこの場にはいない。
シヴァは、今頃三限目の講義を受けている頃だろう。
ヨータは……、まあいい。
「天パは、本当に大変ですよね」
ライが小さな声で、私をフォローしてくれるつもりか言った。
知らない人間を前に緊張していたので、すぐには言えなかったのだろう。
話の脈絡が通じず不思議そうな顔をする関係者達の中で、愛美が機転を利かせて大袈裟に驚いて見せた。
「え、ウミハルさんって天パなんですか。パーマあててるんだとばかり思ってました」
愛美は、本当に知らなかったのかも知れない。
「短くしたら爆発するから、ある程度長くしとかないと駄目なんだよ。それでもうまくまとまんなくて、峰さんだけだぜ、文句も言わずにちゃんとうまく髪型決めてくれるの」
ようやく誰もが納得したようだ。
番組の関係者も、それならということで、ウミハルは峰が担当することになった。
「私も、ちょっと先の方だけ癖毛になってて、このへん、クルンってなっちゃうんですよ」
愛美は、ポニーテールの先を弄びながら、人事ではないといった顔をしている。
ウミハルはまたしても、愛美の髪の毛を引っ張ってからかった。
「寝癖ついてんのかと思った、って、人のこと言えないってな」
愛美が普通の女の子のように、モーと言って口を尖らせて怒るのを、ウミハルが笑って宥めていたが、ウミハルは急に真面目な顔になって、
「ザキ、来てはいるんだろ?」
と、私に聞いてくる。
私は曖昧な表情で頷きながら、愛美を見た。
困った時の愛美頼みではないが、彼女はすぐに私の視線の意図を悟ったらしい。
「見てきます」
私にだけ分かるように目くばせすると、愛美は部屋から出ていった。
四階建てのビルの二階に事務所があり、四階には偉いさんの部屋が、そして三階には応接室などが並んでいた。
取材は、応接室の一つで行われることになっている。
ザキは多分、今は使っていない応接室に潜り込んでいる筈だった。




