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74/399

STEP1 Frozen Flare 74

 事務所側は、マスコミからの質問には、全てノーコメントという姿勢をとっていた。

 幾つもの取材申し込みがあった中で、延期になったライブと、新曲に関する質問だけを受けるということで、ある番組に出演することが決まった。


 会社としては、何としても元をとりたいに違いない。転んでもただでは起きないと言う訳だ。



 事務所 PM2:16


「ヘアメイク? 何だよ、それ。俺、峰さんでいいって」

 思った通り、ウミハルはたちまち不機嫌な顔になった。


 雰囲気が悪くなったのを感じ、私が言葉に詰まってしまうと、側を通った愛美が軽口を叩きながら、そのまま行き過ぎようとする。


「なんか妬けちゃいますね。ウミハルさんってば、峰さんにご執心なんだもん」


 番組の関係者の顔は、その言葉に思わず和んだ。

 ウミハルも、自分の態度が大人げなかったと気付き、軽口を返しながら愛美の髪を引っ張って引きとめる。


「妬いてどうすんだよ。馬鹿言ってないで、腕のいいスタイリストになれるようにこんちゃんも頑張んな」


 スタッフの誰かが愛美のことをそう呼ぶようになったのを、ウミハルも気に入って使っているが、愛美自身はそう呼ばれるのを嫌がっているようだ。


「だから、近ちゃんはやめてくださいってば。私は狐ですか」


 引っ張られたポニーテールをとり戻しながら、愛美は不貞腐れた顔で、ウミハルに食ってかかる。


 初対面のうちは人見知りが高じてテンションが高くなるヨータは、もう愛美に慣れたのか構うことはなくなった。

 本来はヨータは、バリバリの硬派だ。


 ウミハルの方が、女の子にもよくちょっかいを出す。あくまでもちょっかいであって、今も愛美の髪の毛を引っ張ったりと、些か子供っぽいものであった。



 Fフレアがデビューして人気に火がつき始めた頃に、ウミハルが関係しているとされるアイドルタレントの妊娠騒ぎがあった。


 事実関係があり、どういう経緯があったのかと言うことをウミハルは、彼らのよき話相手であるプロデューサーの坂本以外には、口を閉ざしていた。


 マスコミに騒がれた時、坂本が手は打たなくていいと判断したので、その件については誰も触れようとしなかった。


 ヨータの飲酒と傷害事件については、デビュー以前のことなので、私は預かり知らぬことだ。


 マスコミには今回襲われたザキだけでなく、ヨータやウミハルのことまで、まるで見てきたかのように、センセーショナルな話に仕立てられてしまっている。

 メディアなんてものは、作り話だってお手の物だから、こちらもうまく利用させてもらわない手はない。

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