第8話 王都ダンジョンで実力を見て貰う
チュンチュン、チュンチュン……
「セルフィおはよ」
「あっファロラおはよう」
「大丈夫? 動ける? 問題ない?」
お水を持ってきてくれたファロラ、
人間の戸籍を固めるため便宜上とはいえ、
僕のお嫁さんだ、ただあまりそれを表には出さない。
(他のメンバーとも……だからね)
って他3人はどこ行ったのかな朝風呂?
僕の身体を丁寧に濡れたタオルで拭いてくれるファロラ、
お水を飲んで落ち着く僕、うん、変なダルさとかは無さそう。
「吸われたのはあくまで魔力だからね、生命力まで吸われた独特の倦怠感は無いから大丈夫?」
「良かった、みんな旅の間、結構我慢してたからその分、吸い過ぎちゃったかもって途中で不安に」
「とてもそんな風には見えなかった、いやいつも死なないように、みんな本当にヤバい吸い方はしてないと思うよ」
良くも悪くも、
生かさず殺さずっていう感じだ、
いや吸われる方はたまったもんじゃないけど。
「みんな魔力は満たされたけど、食欲が満たされてないから先に食堂へ」
「朝ごはんかあ、この宿を紹介して貰った時に、サービスで朝食券貰ったけど」
「それよ、セルフィと私の分も、ほら」「あっいま気付いた、僕もお腹空いてる!」「んもう」
ということで軽く着替えて部屋を出る、
うん、相変わらずファロラは美人だなあ、
これで元神官勇者だからね、本来なら大教会から絶対出てこない。
(でも師匠の、責任者たる大聖女が死んじゃったうえ、結婚したから仕方ないよねっていうのが、大陸中の教会へ向けた建前です!)
このあたり、僕らが冒険者ランクを上げていくと、
色々と言い訳として使えるようになるらしい、まあもう教会から解放はされてはいるんだけど、
あっ良い匂いが、朝食のスープだな、朝の酒場はモーニングビュッフェ状態、パンも山盛りだあ。
「セルフィ、おはよう」
「おはようですわセルフィ様」
「こちらです~、さあさあセルフィさぁ~ん」
聖なる用心棒といった感じのシグリヌ、
セクシーながら教会員の上品さも朝から纏うルビア、
まるで孤児院の職員みたいな、やさしい笑顔のリムラ……
「みんなおはよう、早いね」
挨拶をして料理をトレイに乗せたあと、
同じテーブルに加わる僕、と隣にファロラ。
改めてみんなスッキリした顔している、まずはシグリヌから順に喋る。
「そうでもないが、セルフィが気持ちよく寝ていたからな、起こせなかっただけだ」
「依頼の奪い合いをするような冒険者は、日の出前には食べ終わったようですわ?」
「ですね~、残っているのはランクがある程度あって~、すでに依頼が決まっているような方々かと~」
見回すと確かにそんな感じ、
隣のテーブルは戦士と魔法使いと僧侶の3人か、
こういうシンプルなパーティーほど役割分担がはっきりしていて強い。
(ウチなんか勇者×2だからなあ、とはいえ僕に仕事はあんまい無いけど)
ファロラも僕に言葉を。
「セルフィもしっかり食べてね、リーダーなんだから」
「名ばかりだけどね」「指示が的確じゃない」「誰でも出来ることかと」
みんなも食べながら喋る。
「セルフィ、私たちはセルフィの指示だから素直に動けるのだ、居ないと困る」
「そうですわ、すでに出たとはいえ、教会員は上からの命令が無いと、やり難いですの」
「そのあたり~、セルフィさんが色々と決めてくださるおかげで~、冒険者を出来ています~」
実情は僕にティムされている魔物だからね、
きちんと主人が指示しないと、逆に出来ない、まである。
もちろん僕が意識を失くしたら、ファロラが色々と……いや僕に変な事をするって意味じゃないぞ!
(僕の意識が戻る、最良の手を判断し、実行してくれるはずだ)
にしても高い宿だけあって朝食も美味しい。
「ところでセルフィ、今日の私たちの確認、どうする?」
「いやファロラ、どうするって言われても、言われた通りにするしか」
「冒険者ギルドに?」「多分、パーティー割れとか解体しろとかは、言われないはず」
自分で言うのも何だけど、
僕以外の4人は本当に個々で有能過ぎる、
立場が普通の冒険者なら、引き抜きの誘いが凄いだろう。
(だからこその、教会きらきらカードなんですよ!)
教会が正式に認めた元教会員のパーティー、
これをバラすのは、わりと教会に喧嘩を売ることになる、
もちろん冒険者ギルドから冒険者へ『指示』は出せるが、教会が出てくるとそれは『お願い』まで下がる。
(だからこそ、僕らの事実上の後ろ盾になって貰うため、街についたら教会に挨拶が必要なんですよ!)
運が良ければ冒険者ギルド経由で依頼も貰えるし。
「ふむ、では普段通りで良いのだな?」「シグリヌさんが普段通りじゃない時ってありましたっけ」
「いつも通りでしたら、ランクアップはすぐですわ」「ルビアさん、そう簡単に行くと良いのですが」
「わたくしどもの~、良いアピールで~、仲間を増やしたいです~」「うーん、クランに入るのは慎重に」
心の中で一応再確認、
クランはパーティーの集合体組織です、
まあそういう意味では僕らは脱退しても教会という名のクランに居るような感じ、出戻りじゃないけど。
「じゃあセルフィ、食べ終わったらさっさとダンジョンに潜りましょう」
「ちゃんと冒険者ギルドからの見張りというか教官が加わってからね」
「私の実力は王都の片から見て、どのあたりなのか知りたかったから丁度良いわ!」
うん、僕の役立たず具合も見て貰わないと、
魔力供給係の現場を直接見せる訳にはいかないけど!
僕が絶対必要ってアピールは、みんなもやってくれそう。
(とにかく、足を引っ張らないことだよね)
さて、どんな教官が現れるのやら。




