第75話 ただの寄り道では終わらせない
朝からみんな馬車で寝て、
気が付けば昼過ぎである、
お弁当を食べながら雑談を。
「なんだか普段より、馬車が速くありませんか?」
「うむ間違いなく速いな、それほど急ぎたいものがあるのだろう」
「歓楽都市ですものね、特に男性の方は」「どのような教会か~、楽しみです~」
さすがに教会で『歓楽的』なサービスは無いだろう、
ホーリーサキュバスでさえ教会では真面目にやっていた、
でもなあ、街そのものがそういう雰囲気だと、ちょっと不安が。
「それでセルフィ、向こうでする事は」
「うん、せっかくお金も増えるんだし、買い足しだね」
「具体的には?」「それぞれがもっと持って行きたい物でいいんじゃ、アイテムボックスも増えたし」
と、ジマーを見る、
相変わらずすげえボディだ、
歓楽都市にこんなの連れて行ったら……
「何よ、アタシを売らないでね」
「むしろ盗まれないか心配なレベルだよ」
「まあアタシを従えられる人間は居ないでしょうけど」
とはいえ使い道はいくらでもあると思う、
檻に入れてオークションに出せば観賞用で、
あと下手すれば解剖される危険もあるな、油断できない。
「買い物はわかった、それでセルフィはどこへ行きたい」
「着いてみたいと何とも、でも、ただの寄り道じゃ終わらせたくないです」
「とはいえダンジョンは無いみたいだが、闘技場で戦うか」「僕がですかあ?!」
声が上ずっちゃった。
「なら私が」「サキュバスってバレたら面倒ですよ」
「わかるのか」「不正防止で高レベルの人物鑑定とかされるかも」
「今までバレたことは無いのだが」「シグリヌさん、1回でもバレたら大事ですよ」
とはいえ見てみたい気もする、
圧勝続きのみんなを見て心のなかで、
(あれウチのサキュバスなんですよー)
とか、ほくそ笑みたい気もする、
でもリスクがなあ、ここは見学だけでいいや。
「シグリヌ様はお酒を呑まれるのが楽しみでなくて?」
「ああそうだなルビア、何なら珍しい酒を買って持っていくか」
「振る舞うのでしたら~、安いお酒でも~」「リムラは配るつもりか」
魔の谷その基地に酒場なんて無さそう、
だからこそ持って行って売るのもアリかも、
いやいやそんなこと言ったら向こうで売れそうなものを片っ端から買うことに。
(きりがないから、あくまで冒険者ギルドで依頼された範囲で!)
それはそれとして、
僕らの、我が『ホーリーアンライヴァルド』の買い物だ。
「ねえセルフィ、ちょっとお高い魔道具とか買って行かない?」
「例えば」「熱い部屋を涼しくする魔石装置とか」「うんまあ、魔法は切れるからね」
「あと調整も難しいしぃ」「逆に温かくするのも買おうかな、あったらだけどね」「うん!」
そんなファロラに懐いているジマーを見る、
少女体の頃は可愛いものだったが、ここまで大人になると、
なんだろう、シグリヌさんに夢中なアイツらを思い出してしまう。
「あっそういえば『ガーデンオブリリーズ』は」
「起きてからついてきているはずだ、奴ら用の馬車と騎士団員は残してきたからな」
「さすがシグリヌさん、やさしい」「いや、どうせ置いて行っても自力で追いかけてくる」
そういや冒険者ギルドの2人は、
歓楽都市で何をやるんだろ、まあ真面目に仕事しそう、
恐ろしい『魔の谷』へ行くんだから、少しは楽しんでくれても良いのに。
(僕が心配することじゃないか)
まあ、向こうにギルドで依頼があったらやるのも良いけど、
場所的に護衛系が多そうだ、それは現在進行形でやっている、
ダンジョンとか降って湧いてこないかな、それは無いか、まさか、ね。
「ほんっと、この子凄いわ」「アタシですものっ」
「ファロラ、そんなにナデナデしてジマーを気に入っちゃったんだ」
「何よ嫉妬? だったら今すぐここで」「まだ襲わなくて良いからっ!」
まだ、ね。
「鑑定したらグレーターデーモンって凄いのね」
「例えば?」「パーティー飛行とか」「あー、まとめて飛べるんだ」
「あと擬人化魔法とか」「……へっ?!」「私たちと同じね」「ちょ!」
ちょっとこれは今のうちに、
このセクシー魔王ジマーについて、
グレーターデーモンについて、把握をしておこう。




