第70話 こっそり抜け出してあくまで散歩
「ふう、気持ちの良い夜風ですねシグリヌさん」
「ああセルフィ、風呂上がりの空中散歩だ」「あくまで散歩ですよね」
「一応、あの爺いには一言伝えたからな」「ギルド長のビドフ様ですわ」
順番製のお風呂、
どうしても最初に入れさせて欲しいとお願いし、
終わって『ちょっとみんなで散歩してきます』と言って村もとい町の外へ。
(そして空中へ……)
サキュバス4体が空を飛ぶ、
僕はシグリヌさんに抱きかかえられ、
魔王ジマーはファロラに、夜だし見つからないよね?
「魔力探知的には~、あちらですね~」
「普通のワイバーンなのによく感じ取れるねリムラさん」
「集団ですから~、あとやはり操っているのが居るようです~」
やはりか、やっぱりか、
数から言って組織的だとは感じていたが、
リムラさんの魔力探知がそう言っているのだから、間違いない。
「そうなるとワイバーン全滅させて終わり、にはならなさそうね」
「それはそうとファロラ、ジマーって飛べないの?」「高くは無理みたい」
「何よ、低空飛行でいいなら」「いや、万が一もし誰かに出くわしたら面倒かな」
僕らの直後にお風呂に入った、
ガーデンオブリリーズの連中が、
私たちも散歩にって追いかけてきてたら面倒だ。
(スピード的に追いつけないとは思うけどね)
ていうか何かデジャヴだな、
ちょっと様子見って王都のグランドダンジョンに潜ってみたら、
あれよあれよと四天王を倒して魔王まで捕獲してしまった時のような。
(さすがにワイバーンの巣にまで入り込むと、朝帰りになっちゃう)
と思いながらもぐんぐん進む僕ら、
いや正直、馬車なんか乗らなくたって、
空を飛んでいけば『魔の谷』も簡単に到着できそう。
「セルフィ、そろそろのようだぞ」
「あっはいシグリヌさん、このあたりからですね」
壊れた馬車が見える、
いや時間が経ってる感じっていうか、
周囲に人は居ないから前に襲われたやつかな。
「あの先の~、森ですね~」
「いっそ光魔法で更地に致しますわ」
「いやルビアさん、災害レベルの魔法は後々、面倒くさいことに」
うーん、どうしようか、
これだけ綺麗な夜空で落雷を装うのは無理そうだし、
何か良い魔法は……睡眠魔法で眠らせても探すのが大変そう。
「じゃあ呼びだしたら?」
「ジマー、ホーリーサキュバスにそんなスキルわ」
「あら、私は出来るわよ?」「あっ魔王か、魔王スキルで」
持ってて良かった魔王のティムモンスター、
いや通常は無理だけどね、冒険者ギルドが持て余して押し付けるレベルだし!
ファロラが抱えたまま、森の方へ身体を向けるジマー、そして大きく息を吸いこんで……
「ーーーーー!!!!!」
何かを叫んだ!
言葉にならない言葉というか、
人間には聞こえない音というか叫びというか。
(森がざわざわしている……)
そして出てきた出てきた、
ワイバーンがぞろぞろとめっちゃ来た、
みんなこっちへ集まって、って本当に多いな。
「ジマー、なんて叫んだの?」
「ここに餌が居るぞー、ってね」
「えっひょっとして」「人間のことね」
僕かあ!!
確かにワイバーンの視線はみんな僕っぽい、
それをみんなで倒す、ってシグリヌの邪魔にならないように僕は抱きついているだけ。
(これ背中に回った方が良いな)
抱っこじゃなく、
おんぶに移動っと……
すると動きやすくなったのか敵を剣2本で斬る斬る。
「串刺しですわ」
ルビアも光魔法の矢で倒しまくり、
リムラさんも各仲間の動きを補助魔法で助ける、
ファロラさんが僕を背負いながも素早いのは、そのお陰もある。
「ジマー、そっちよ!」
「わかってるわファロラ!」
おおコンビネーション!
女勇者と魔王が抜群のタッグでワイバーンを倒しまくっている、
高く飛べないと言っていたジマーもファロラの身体を上手く利用している、足場にしたりと。
(ていうか100匹は倒したぞ……)
しかしまだまだ出てくる、
そう、実はワイバーンたちとの戦いは、
まだ始まったばかりなのであった、なぜならワイバーンの後ろには……!!!




