第69話 突如言い渡された選択
夕方に到着したのは村に毛が生えたような街、
ただここに昔、大物だった元冒険者ギルドマスターの実家があるらしく、
当の本人はお爺さんだが、そこが一応は総合ギルド兼食事処兼宿屋になっているらしい、ようは民宿。
(総合ギルドっていうのは冒険者ギルドと商業ギルドが一緒になっているギルドです)
まあ、こういう規模の街なら仕方ない、あるだけマシ。
「よく来たな、と言いたいが緊急じゃ」
名乗らずいきなりですか、夕食もまだなのに。
「ビドフ様、いかがなさいましたか」
「おう冒険者ギルドの職員かの」「ルミナスと申します」
「ここから『魔の谷』への最短ルート途中でワイバーンの群れが出よる」
ワイバーン……ドラゴンの亜種で頭が悪い、
イヌ並の知能しかないが数が大く飛ぶのでやっかいだ、
物理攻撃で来られたら、対処法は留まって全滅させるか、突っ切って逃げるか。
「まあ、それではどう致しましょうか」
「選択じゃの、遠回りすれば5日遅れるが本来のルートに合流できる」
「そのまま行けば」「ワイバーンの群れと勝負じゃ、どうするかのう?」
うーん、群れってどのくらいなんだろうか。
「ビドフ様としては」
「倒してくれると助かるのう」
「報酬は」「まあそれなりに冒険者ギルドが出すじゃろう」
いや貴方は現役じゃないのかと、
まあ場所が場所だけに支部的な感じかな、
もう1人の若い女性受付嬢、リャームさんも尋ねる。
「遠回りの場合は、途中に街は」
「ある、どでかいのがある、歓楽都市じゃ!」
「まあ、では」「そっちの冒険者ギルドと提携しておる」
歓楽都市ねえ、
賭博場や娼館がある所だ、
お金さえあれば最高らしい。
(あるにはあるんだけれども……)
そういう街って女性も楽しめるのだろうか?
ここはとりあえず女性だけの冒険者パーティーに聞いてみよう、僕が。
「ガーデンオブリリーズに皆さんは、どうしますか?」
「それはもうシグリヌ様にお任せします」「シグリヌさんと同じです」
「きっとシグリヌお姉様なら最適解を」「という訳でシグリヌ様、結論を」「知らん」
この『知らん』はどういう『知らん』だろうか、
ガーデンオブリリーズのことを言っているのか、
それとも選択のことか、まあいいや情報を、とファロラが聞いてくれるみたいだ。
「あの、ワイバーンの数は」
「報告は20体程度、50体近く、とにかく沢山、とな」
「ビドフさんの見立てでは」「まあ70体以上じゃろうな」「さすがです!」
いやそれ単純に聞いた20と50を足しただけなんじゃ。
「ではお聞きします、ルビアと申しますわ」「おう魔法使いよ」
「そのワイバーンは何ワイバーンなのでしょうか」「ワイバーンじゃ」
「種類は」「普通のワイバーンじゃ」「そうですか、なら簡単ですわね」「数がのう」
ノーマルなワイバーンが70匹、
普通のS級とA級冒険者パーティーなら、
倒せない訳ではない、そう、本当に70匹なら。
(こういう時って魔族領だと300とか500とかだったりするんだよな)
下手に情報を真に受けたり、
甘い考えて行くと痛い目を見るやつだ、
しかもワイバーンを従えていたのが上位種だったら……
「あの~、もうひとつ質問が~、リムラです~」「ほうほう僧侶か」
「そのワイバーンは~、統率が取れているのでしょうか~」「わからん!」
あっつまりこれは、
操っているのが居るかどうかのヒントです、
人間がティムしている可能性もゼロでは無い。
「ではセルフィ、決めてくれ」
「はいシグリヌさん、ではこうしましょう」
「私たちはシグリヌ様をお守りするので私共の馬車へ」「ガーデンオブリリーなんとかは黙ってて」
最後まで言ってあげない。
「ほう、続きを」
「はいビドフさん、ワイバーンの群れに突っ込むとなると覚悟が要ります、
相当な覚悟です、腕に自信もないと行けません、なので1人でも無理というのであれば迂回しましょう」
みんなそれぞれパーティー内で顔を見合わせている、
少し時間をあげよう、小声で相談しているのも居るな、
僕はもう腹は決まっている、行くしかない、いくらよわよわ勇者でも!
「……良いですね? ではワイバーンの群れが待つ道を選ぶのに自信が無い方、挙手!」
すると、馬車を運転する騎士団の男性3人が手を挙げた!
(いやいや、貴方達は歓楽都市へ行きたいだけなんじゃ!!)
まあ同じ男として、
気持ちはわかります、はい。
「んじゃ、迂回で」




