第62話 絶対に負けられない戦いがここにはある
夕方に到着した街、
騎士団の訓練所が併設されているので、
そこそこの大きさだがあんまり華やかさは無いな。
(いや、街としての機能はちゃんと揃っています)
まず教会でちょろっとご挨拶してきました、
なんだか騎士団と連携して後でいっぱい治癒させられる、
だからという訳じゃないが訓練場には騎士の観客がそこそこ。
「さてシグリヌさん、あっさり勝っちゃいましょう」
「セルフィ、相手はS級冒険者だ、油断はできないぞ」
「だから身体をマントで隠しているんですよね」「剣もだ」
闘う直前までこっちの手札は見せませんよと、
これで片手弓とか持ってて撃つとかあるかも知れない、
まあどんな方法でも審判の騎士団員さんが勝ちといえば勝ちだ。
(あっ、来た来た)
訓練場の僕らが入ってきたのと反対側、
マロウさんが本気の戦闘スタイルでやってきた、
剣は派手さは無いものの、それでも素早く振れそうだ。
(とにかく先手を取る気、満々だぁ)
中央で待つ審判、
とりあえず僕らでシグリヌさんに言葉をかける、
僕は最後でいいかな、まずはルビアさんからだ。
「まず負けることはありませんわね?」
「油断はしない、だが、見ていて欲しい」
「心で応援しておりますわ、きっと完勝ですわね」
続いてリムラさん。
「多少の怪我は~、すぐに治療致しますので~」
「むしろ相手の怪我を心配してやってくれ、行ってくる」
「ですね~、ついうっかり、首を刎ねたりしないように~」
そこまで行くと治療のしようが無いからね、
次はファロラだけど横に妹みたいにジマーが居る。
「S級冒険者との違いを見せて貰います!」
「良い比較になると良いのだが、客観的に見てくれ」
「で、勝ったらアタシに何か良い事あるの?」「ジマー、きっとセルフィが撫でてくれるだろう」
ちょ!
まあいいか、
という訳で僕からも言葉を。
「えっと、絶対に負けられない戦いです」「そうだな」
「勝って、何かを得ましょう」「何を手に入れるつもりだ」
「さあ?」「よし、リーダーとして決めておいてくれ」「えええ」
ということで訓練場中央へ歩いて行くシグリヌさん、
マントの中が2つ肩から出っ張ってるから武器はやはり剣2本か、
あれで鞭2本だったらそれはそれで面白いし、不意を突くことは出来る。
(お相手側も作戦会議? が終わったみたいだ)
いや相手は魔法剣士、
とりあえず初戦は1対1なので、
仲間による魔法付与の心配は無い、のだが……
(開始の号令さえかかれば、自分の剣なり装備なりに自分での魔法付与は可能です)
そこでどんな魔法が飛び出すのか、
さすがに『その魔法は反則でしょ』みたいなのは、
審判が失格にしてくれるらしい、ただし基準も審判次第。
(きちんとした年配の騎士団員さんだ)
何やらマロウさんシグリヌさんに注意事項を告げている、
距離があるのではっきりとはわからないが王都の教会でやったのと、
そう変わりはないだろう、そして互いに握手、僕らは端っこで見守っています。
「ではお互い、フェアプレイで、何か言いたいことがあれば!」
あっ声が大きいからいよいよか。
「勝ってシグリヌ様を手に入れますわ!」
「ふい、ならば私が勝てばセルフィの慰み者になって貰おうか」
「だーかーらー」「では互いに礼! そして距離を取って構えて!!」
マロウさんは剣を構えるものの、
号令と同時にダッシュする気満々だな、
一方、シグリヌさんはマントで身を包んだままだ。
(大丈夫かな、本当に)
いやこれひょっとして、
マントのまま突っ込んで手元を見せない作戦か?
あと考えられるのは、マントで相手を被せる、は、さすがに無いか。
(そんな飛び道具、さすがに反則にされてもおかしくない)
いったいマントの中には、
何が隠されているのやら……
僕もちょっと楽しみになってきた。
(いや、勝ってもらわないと!)
静まり返る訓練場、
夕日が照らされる中、
審判である騎士団員さんの声が……響く!!
「はじめーーーーっっ!!」
その瞬間、
マントを脱ぎ捨てて、
マロウさんの方へ走るシグリヌさん、その姿は……!!
(えっ、ええっ、えええええーーー?!?!?!)




