第56話 知ってる女性と見た事ある女性たち
「このたび、『魔の谷』特設冒険者ギルドのギルドマスターとなりますルミナスですわ」
受付長のお局おばさん、
どうやらあっちでギルマスになるらしい、
さすがに受付嬢の服では無いな、旅のおばさんって感じ。
(まあ護衛は僕らがするからね)
両手に荷物を持っている、重そう。
「ええっと後でファロラさんのアイテムボックスに収納しますか?」
「ではこちらの重い方だけお願い致しますわ」「後で来ますので、ところでルミナスさん、危険な場所では」
「半年の出張後、王都へ戻って3カ月の休暇を頂けますので」「そんなにですか」「向こうでの休みは、あって無いようなものですので」
そりゃあまあね、
娯楽施設も保養所も無いだろう、
人手が足りなきゃ何かあれば休日でも動かざるを得ないだろうし。
「大変ですね」
「ここだけの話、出世への近道ですので」
「あっそういう」「10年の経験を半年で習得できると言われておりますので」
なら美味しい仕事か、
左遷とかじゃなくって良かった、
この文なら自ら望んで行くのかな?
(そして、遅れてその後ろからやってきたのは……)
ああっ、この女性冒険者4人組はっ!!
「今回、同行致しますS級冒険者パーティー『ガーデンオブリリーズ』です、
私はリーダーのマロウ、魔法剣士です、隣はサブリーダーで僧侶剣士のピアニ、
そして弓魔法使いのサフラワ、最後に薬師ポーターのポルサ、リーダーのセルフィ様、以後、お見知りおきを」
いやいやいやシグリヌさんのストーカーじゃん!
ええっと間違いないよな急にキリッてしてるけど、
まるで別人のような態度だけど間違いない、昨日『光の鎖』で足枷をはめた連中だ。
(つーかS級だったのかよ……)
おそらく強そうに見えなかったのは、
武装が弱いというか緩いというか温いとでも言うか、
でも聞いて納得、剣と魔法を組み合わせたり、物理と回復魔法の両方をやる冒険者だったり。
「やっと僕の名前を憶えてくれたんですね、って名乗ったっけ」
「私たちはつい最近『魔の谷』へ行くことを決め、たまたま偶然、ご一緒に」
「ほんとにい?」「皆さんを警備しますよ」「僕らが警備をするんじゃなかったっけ」
ルミナスさんを見る。
「まず、わたくしともう1人、受付嬢リャームの護衛ですわ」
あっ、いつのまにか居た、
ってルミナスさんと一緒に来てたのか、
ちゃんと受付嬢の姿、ようやく新人から脱しましたってキャリアっぽいな。
「あとは」「運搬アイテムの警備、すなわちアイテムボックスをお持ちの……」
「ファロラってこと?」「はいセルフィさん、女性勇者様です」「それを私達『ガーデンオブリリーズ』が」
「マロウさん達がですかあ」「そうなりますね、この私ルミナスとリャームの護衛がセルフィさん達『ホーリーアンライヴァルド』で、ファロラ様の護衛が……」
シグリヌさんのストーカー集団ね、ややこしい。
「ふむ、我々が『ガーデンオブリリーズ』の護衛という形にもなるのか?」
「シグリヌ様、何にせよ皆様方は、あちらに到着すれば正式にS級冒険者ですので」
「そうですよね、ってきたきた、来ましたよルミナスさん」「うおーい」「収納してきたわ」
ギルマスとファロラがやってきた、
そしてアイテムボックスから出したのは……!!
「まあ、お風呂ですわね」
「ルミナスさんとリャームさんのですよ」
ギルマスとファロラが、
2人掛かりで持ってきた、
うん、2人同時に入れるサイズだ。
「嬉しいですわ、冒険者ギルド職員専用ということですわね?」
「はい、これとは別で男性冒険者用、女性冒険者用があります、屋根付き壁付き脱衣所付きです」
「まさに至れり尽くせりですわ、これはS級冒険者昇格以外の報酬も弾みませんと」「期待しています」
まあ、ちょーっと頼みたい事、
相談したい事があるんだけれどもね、
とにかくこれで物も人も揃った、そろそろ出発だ!
「あっ、ちなみにタリオンさんはどこまで」
「王都の門まで見送った方が良いか?」「いえ別に……」
そこまでの思い入れは、残念ながら何も無い。




