第55話 そんなものまで運ばされるのか
翌朝、冒険者ギルド受付にて。
「おはようございます、朝の忙しい時間を避けていただき、ありがとうございます」
「あっはい、ゆっくり来ました、って魔王は倒したはずですがグランドダンジョンは」
「だからこそです、敵が弱体化している今が、普段狩れない強さの魔物を倒すチャンスなのです!!」
なるほど、だから昨日、
デートの最中にやたら感謝されたり、
勝手に値引きされたりしたのか、王都自体が活気立つな。
(あのシグリヌさん追っかけパーティーは相変わらずだったけど!)
今日は見てないから、
さすがに狩りに出かけてくれたか、
その間にさっさと旅立ってしまおう。
「まずはこちらで処理させて頂いた素材の代金です」
じゃらっと大金が!
ファロラがアイテムボックスにさっさと回収。
「続いて以来のクエスト達成料をまとめて」
またもやじゃらっと、
さっき程では無いがこれまた大金だ、
これまたファロラが、って数えなくて良いのか。
(細かい明細の紙も、一緒に入れちゃった)
まあ後で紙だけ器用に出せるんだっけ、
僕はアイテムボックスと無縁の勇者だから!
いやもっと言えばスキルなんてものがまったく無い、よわよわ勇者です、はい。
「それと仮S級冒険者カード、A級と一緒にお持ち下さい」
「えっ良いの?!」「はい、使い捨てです、『魔の谷』基地で2枚まとめてS級と交換を」
「向こうでも発行できるんですね」「……実は、向こうへ持っていきます」「あ、なあるほど」
こっちですでに造ってくれていたのか。
「これで魔の谷へ入れます、一応、厳格なので」
「ギルド職員が一緒でもですか」「ええ、冒険者の方は必ず」
「じゃあ無くさないようにしないとですね」「はい、どちらも両方」
みんなに大切に配る、
さすがにキラキラじゃないか、
そして次は、って奥からギルマスが出てきた!
「おう、実は大き目の運んで欲しい物を用意した」
「なんでしょうかそれは」「裏に置いてある、来てくれ」
「ファロラ、大丈夫そう?」「んー、まだまだ行けそうね」
何を基準に見ているんだろう、
お腹の減り具合みたいに感じるんだろうか、
そもそもがサキュバスだから普通の人間勇者とまた感じ方が違うのかな。
(サキュバス勇者だもんなあ)
そして置かれていたのは……!!
「ええっと、お風呂?」
「ああそうだ、巨大な風呂だ、温水装置はこれだ」
「水を流し込めば急速に熱くして通すやつっぽいですね」
そんなものまで運ばされるのか、
これ6人くらいが一緒に入れるな。
「行けるか」
「入ったとして、どこへ設置するんですか」
「冒険者ギルドだ」「宿ではなく?」「冒険者が使える、あと空いた時間に職員も」
ファロラがあっけなく吸い込むように収納した。
「はい、これで良いのね?」
「おお素晴らしい、実はこっちにも」
「あっ、今度は少し小さい」「男女別に分けられればと思ってな」
1度に4人くらいは入れるかな、
だとしたらこっちは女湯か、これもあっさり収納。
「さすがにもう無いですよねタリオンさん」
「……実は出来れば脱衣所をだな」「はいはい」
「組み立てれば簡易的だが風呂も室内に出来るのだが、両方」
板をぬるぬる亜空間に吸い込んだ。
「一応聞きますが、僕らが組み立てるんですよね?」
「指示はする、だから難しい事は無い」「なら良いのですが」
「これなら風呂をもう1つ、いやさすがに無理か」「宿屋用ですか」「ギルド職員用だ」
でも見た感じは無いな、周囲には。
「わかった急いで買ってくる」
「今からですか」「小さいのならな」
「仕方ないなあ、ファロラ、行ってあげて」「わかったわ」
ギルマスとファロラさんが一緒に商業ギルドの方へ、
と行きかけたタリオンさんが止まってこちらを向いた。
「そうそう、同行するギルド職員と冒険者パーティーがそろそろ来る」
「僕ら以外にも」「そうだ、S級冒険者パーティーだ、顔合わせしてきてくれ」
「わっかりまっした、じゃあ行ってきます」「すまないな、こちらも急ぐ、後で」
ということで冒険者ギルドの受付へ戻ると、
そこでは、まさかまさかの人物が待っていた!!
「え、ええっ、えええええぇぇぇぇぇ……」




