第50話 旅立ち前日の王都デート 前編
チュンチュン、チュンチュン……
「ふう、普通に朝、起きられたな」
「そうだなセルフィ、何せ夕食を早めにして直後に始めたからな」
「早寝早起きですね、心なしかシグリヌさん艶々して」「朝風呂に入ってきた」
うん、だからきちんと人間体なのか。
「おはようですわ」
「あっルビアさんおはよう、サキュバス体ですね」
「少し魔法の確認をしていましたわ」「それはどういう」「長くなりましてよ?」
じゃあいいや、
そこまで詳しく知りたい訳じゃないし、
よわよわ勇者の僕じゃ理解できない魔法用語とか出てきそう。
ガチャッ
入って来たのは人間体のリムラさん。
「朝食が~オープンしたようです~」
「えっ、ここってそんなに早くから?」
「依頼を受けたい冒険者は~、朝早いので~」
そうだった、
朝一番に貼られる依頼目的に、
冒険者で取り合い奪い合いが起きるんだよな、S級でもない限り。
(僕らはまだA級なりたてだけど余裕です!)
もう依頼を貰っちゃったからね、
というかダンジョン制覇で大金持ちだ、
まだ貰い切ってないけど王都に屋敷くらいは建てられそう。
「じゃあ行こうか、ってファロラは」
「あそこかと~」「まーだベッドの中か」
「よし、引っぺがそう」「シグリヌさん、あまり荒っぽいことは」
と、シーツをめくると……
「んんん……ふぁあああぁぁぁ」
「もう朝なの? 地上は明るいわね」
「あっ、魔王を抱き枕にしてる、ていうかまだ目を瞑ってるね」
サキュバス姿のファロラ、
なにせ昨夜はトップ&ラストと、
2回も僕の魔力を吸えるだけ吸っていた。
(そして魔王ジマーに分けていました)
具体的な方法は秘密。
※ヒント:尻尾
そんなことよりもだ。
「ファロラ目を開けて、朝食に行くよ」
「ん~、なんだか身体が重~い」「えっなんで」
「多分、吸い過ぎ~」「でも半分はジマーにあげたんでしょ?」「疲労かなぁ」
つまりだ、サキュバスに魔力を吸われるのは僕は疲れる、
でもサキュバス側もそれなりに疲れる、そして従魔に魔力を与える労力もあった、
すなわち通常の3倍疲れるっていうことか、そりゃあ朝寝坊したくもなるのだろう。
(僕の場合は魔力が勝手に溢れるじゃらね)
リムラがファロラの方へ。
「疲労回復魔法を~、かけましょうか~」
「んー、せっかく僕がリムラさんにあげた魔力が」
「これくらいなら~、大した量では無いかと~」「ならいいか」
お布施自由とはいえ普通の冒険者を治療しまくっている僕ら、
自分たちをちゃんと回復させないでどうするっていうのはあるな、
特にファロラは魔王を従魔にしてくれたんだから、助けてあげないと。
「……ふう、気力が湧いて来たわ、おはようジマー」
「はいおはよう御主人、あと餌の素もおはよう」「えっ僕?!」
「他に何て呼べば良いのよ、アンタでいい?」「こら、名前で呼びなさい」
軽くファロラにコツンとされるジマー。
「わ、わかったわよ、セルフィだったわね、よろしくね」
「うん、じゃあ食事に行こう、大人しくしているんだぞ?」
「はーい、ってあたり構わず噛みついたりしないから安心なさい!」
ということでみんなで食堂へ、
大きなテーブルがいくつも並んでいるが、
さすがに朝1番だったようで他に誰も居ない。
(みんなちゃんと人間体になってます)
あっ魔王は魔王のままね、
ティムモンスターだから。
「さてセルフィ、今日の予定は」
「デートです!」「……本当にそれで終わりなら、あちこち連れ回すぞ」
「ええっと、魔の谷に文明は期待できないので、向こうでの生活用品など買い物を」
ファロラ達の故郷は特別だ、
あそこはもはや魔族界で一番の都会だろう、
とあっちの魔王が言っていました、グレートデーモン。
「それで、買い物が終わったらどうしますの?」
「ランチの後は今まで行ってない所へ遊びに、かな」
「王城とかですの?」「それはちょっと」「お任せしますわ」
まあそれは流れで。
「あの~」「はいリムラさん」
「冒険者ギルドで~、魔の谷についての情報を~」
「出発の朝でいいかなと思ったけど」「調べ物もあるかも~」
なら今日、済ませておくか。
「じゃあセルフィ、夜は目いっぱいご馳走にしましょ」
「うんそうだね」「アタシもアタシも!」「ジマーってダンジョンでロクなもの食べてなかったの?」
「まあそのあたりはご想像にお任せするわ」「まあ、太ってもなければ痩せてもないけど」「昨日の夕食は美味しかったわよ」
ということで、
朝食をハーレムで頂いての、
デートへ出発する我ら『ホーリーアンライヴァルド』であった。
(何事も起きず、平和に過ごせると良いのだけれども……)
あと、最後にあちこち顔出しもするかなぁ。




