第36話 宿の前で待ち構えていたのは
「またあいつらか」
「シグリヌさん、増えてますよ」
戻ってきたハーレム宿、
その入口で待ち構えていたのは、
ってシグリヌさんを見て駆け寄ってきた!
「シグリヌ様、私たちにご指導ください!」
「この子、新しくシグリヌ様のファンになったんですよ」
「あぁシグリヌ王子様、私に双剣を、そして夜のレッスンをあぁ、ああ!!!」
コイツか身悶えしやがって!
「……ふう、しつこいようだからこの際に言っておく、私は自ら好んでそういう趣味は無い」
「では、押されると弱い、押し切られるとってことですか、誘い受けですか? ですよね?!」
「そのルックスでノンケは嘘でしょう、大丈夫ですよバレてますから、シグリヌハーレム様は隠せません!」
いや様の位置がおかしいから!
困ったもんだな、もう完全にストーカーだ、
と思ったら僕の背後にも2人、いやこれシスターさんだ。
「あの、リーダーのセルフィ様ですよね?」「ええ」
「準備が出来ましたので明日、教会の方へ」「あっそうか、約束の」
「はい、色々と思い出話を聞けると思います」「一応は僕の師匠みたいなものでもあるから、タリーシャ様は」
そしてもう1人のシスターも話し掛けてくる。
「皆さんに、特にリムラ様に治療して頂いた方々から代金を支払いたいと言ってこられて」
「うん、額は教会で調整してとは言ったけど、ちゃんと払いに行った人がいたんだ、良かった」
「それでこちらでの『適正価格』を請求して」「怖いなあ、払える額?」「不足分は無利息無担保無期限の借金に」
良心的……かな?
まあ催促無しでも借金は良い気分では無いよね、
いやそれは違うか、命が助かったんだから、そこは。
「特に問題とかは無いですよね?」
「それなのですが」「はい」「ご相談なのですが」
「なんでしょ」「皆さんの取り分は、いか程に」「いりませんよ」「「えっ??」」
シスター2人、
声を揃えちゃったよ、
びっくりしたうえに顔を見合わせている、そして再びこちらを見た。
「本当に、よろしいのでしょうか」
「うんまあ、教会出が勝手に辻治療してるのは良い気がしないでしょうし、
僕らも僕含め大聖女様にお世話になった、そしてそのおかげで強くなった経緯もあるので筋は通したいなと」
今の立場でもタリーシャ様の弟子、教え子では居たいからね。
「それだとセルフィ様やみなさんに利益が、得が」
「すでに僕らはタリーシャ様から莫大な恩恵を受けたうえ自由にして貰ったので」
「……わかりました、では皆様の取り分は『お布施』ということで、頂いておきます」「それで良いよ」
便利だねお布施扱い。
最初に話しかけてきた方のシスターが再び話す。
「では明日、教会でお待ちしておりますので」
「あの大きい方だよね、決闘をした、って決闘場でないのはわかってるけど」
「はい、お好きな時間にいらして下さい」「じゃあまあ適当な時間に」「セルフィ、昼食後で良いんじゃない?」「ファロラがそう言うなら」
ということで教会の方は話が終わった、
お辞儀をして帰っていったな、さて、もう一方はというと……
「大丈夫ですシグリヌ様、私たち、ノンケでも美味しくいただけちゃうタイプですから!」
「だから私は自ら進んでは」「ではどうしたら、どうすれば慰めていただけますか?! ハーレム王子様!!」
「勝手に王子にするな元神官剣士だ、そうだな、私が言っているのは『リーダーの命令があれば何でもする』という意味だ」
リーダーを探す女性パーティー。
「あっ勇者の紋章、では貴女が」
「ファロラ様とお聞きしました、どうか私たちも末席に」
「ずるいです、シグリヌ様にリーダー特権で愛して貰って!」「えっ私じゃないわよ」
と僕を見るファロラ、
その視線に女性パーティーも、
一斉に僕を見ては、なんというか……いぶかしげ?
「えっと、わかりました、これはシグリヌ様からの試練なのですね?!」
「ふむふむ、この手の男性を慰み者にするのは、出来ないことも無いですね」
「いやそれちょっと言葉のチョイス間違ってないー?!」「とりあえず剥いて吊るせば良いですかシグリヌ様?!」
いったい僕をどうしようというんだ……。
「言っておくがハーレムの主は彼だ、便宜上では無いぞ」
「えー」「まさか」「カモフラージュですか」「置物ですか」
「セルフィ」「うんシグリヌさん、否定できない僕が居る」「ではこうしよう」
と、僕に唇を重ねてきた?!
いやなんでそこで歓声があがるの女性冒険者パーティー!
しっかりと見せつけたのち唇が離れる、ふう、これでも外だから軽い方だ。
(宿の玄関でする事では無いけれどね!)
ていうかルビアやリムラはもう宿に入りたさそうだ。
「じゃあもう行きましょうシグリヌさん、みんなも」
「リーダー命令か、よし入ろう、今夜はたっぷりとリーダーを慰み者にしないとな!」
「だから言い方! シグリヌさんまでー!!」「宿で休みますわ」「疲れました~」「さあセルフィ!」「うんファロラ」
こうしてとりあえずはハーレム宿へ入ったけれども、
あのシグリヌさんに夢中な連中、うーーーん、どうしたものか。
「セルフィ」「はいシグリヌさん」
「あの連中、いっそ抱いてやるか?」
「いやいや、僕はもう皆さん(サキュバス)相手しか出来ないって知っているでしょう」
そう、もう人間相手では……。




