第37話 わざわざ来たパーティーその正体
「ぎんもぢい”い”い”~~~……」
ハーレムディナーの後、
いや具体的に何がどうハーレムなのか相変わらずわからなかった、
とにかくハーレム冒険者専用宿がハーレムディナーと言っているからそうなのだろう。
(味に文句は無かったよ!)
食後にお風呂でゆっくりゆったりし、
上がって今、僧侶のリムラさんにマッサージをして貰っている、
いやもちろん変なマッサージじゃないぞ、背中とか腰とか足裏とか。
「セルフィさん~、本日もお疲れ様でした~」
「いやあ素材回収が大変だったよ、あれだけ量があると単純作業も大変で……ん”ぎっ」
「回復魔法も簡単ですが~、こうやって身体をほぐすのも~、なかなか良いですよねぇ~?」
うん、なんというか、愛情を感じる、サキュバスだけれども。
「では私は整体を」
「シグリヌさんのそれ首や肩や背中がゴキッて鳴るから怖いんですけど」
「何かあってもリムラが治して」「何かあった瞬間が怖いんですよ!」「何もないぞ」
いやシグリヌの場合は加減というものが。
「セルフィ、マッサージも良いけど眠る前にホットミルクが良いみたいよ」
「あーファロラ、ありがたいけど僕が早々に眠っちゃうよ?」「勝手に吸うから大丈夫!」
「それ夢の中でぐっちょんぐっちょんにされるやつじゃ」「夢の中だけじゃないわよ」「ま、まあ」
ガチャッ
「セルフィ様、お客様ですわ」
「えっこの宿の中で? ハーレム宿で?!」
「失礼、私は『青葉の首飾り』リーダーのキリッシュだ」
さわやかな青年、
そして背後には女性陣が4人、
やたら背が低いのはドワーフ、いやハーフドワーフかな、服も緑が基調。
(と、いうことは……あのクランか)
いやいや、ハーレム編成してまで来たのか、
ほんと必死だな、こんなことになるくらいだったら、
最初からあんな喧嘩を売ってこなきゃ良かったのにまったく。
「ルビア、帰って貰って」「はいですわ」
「ま、待ってくれ、頼む、ウチのサブクランマスターを助けてやってくれ!」
「助ける理由も義理もありませんよ、大教会でたっかいたっかい代金払って解呪して貰ってきたらどうですか」
あーあ、土下座までしてきた。
「あんな大金は出せない、頼む、あんなのでも大切な、クランのサブリーダーなんだ!!」
「あなた方にとってはそうでも、僕にとっては迷惑なイキリ男の飼い主です、許す理由が無い」
「何か条件を、欲しい物でも、何だってする、何ならウチのハーレムとそちらのハーレムをひと晩、交換しても良い!」
それキリッシュさんの願望欲望なだけじゃ、
いや超豊富な勇者魔力でギリ代替できている僕だから平気だけど、
普通の人間だったら一晩で生命力吸い尽くされて、干からびて死ぬってば。
「まだあんな手法、使っているんですか?」
「……多少、間違った使い方をしていた者がいたのは認める」
「じゃあ僕は被害者だ、そして許すつもりは無いです」「いや、そこを曲げて」
後ろのハーレム要員まで土下座してら。
「曲げて、とか言われると余計に曲げたくなくなります」
「ではどうすれば」「一応、メンバーに聞きましょう、シグリヌさん」
「私はリーダーに従う」「ルビアさん」「わたくしもですわ」「リムラさん」「私も~」「ファ」「私もよ!」
被せなくても!!
「ということで却下です、お引き取り下さい」
「頼む、大切な仲間を失いたく無いんだ、頼むっ!!」
「そんなにですか、何か命を助けて貰ったとか?」「私は……クランリーダーとして護る義務がある」
えええええクランリーダーだったんかーーーい!!
よーーく見たら耳が少し尖っているな、ハーフエルフ、
いやクオーターエルフか、じゃあ実年齢はもうちょい高そう。
(クランの長かぁ、そうなると話はちょっと変わってく……る必要は無いよね別に)
でも今度、クラン代表パーティーと組むんだっけ。
「じゃあ、ちょっとだけ考えておきます」
「出来れば今すぐにでも解呪してやってくれないか」
「今夜はもう眠いっていうかマッサージ邪魔されちゃったしい」
シグリヌさんがキリッシュさんを掴む。
「クラマスだかギルマスだかアイマスだか知らないが、リーダーが今日はもう寝ると言っている、出ていけ」
「ま、待ってくれ、もうそろそろ限界が」「知らん、これ以上は本当に許して貰えなくなるぞ、むしろ被害が増える」
「あらそうですわね、早く出て行かないとキリッシュ様も今夜あたりから」「ひいっ」「おやすみなさいませぇ~~~」
こうして追い出したのだが、
まったくもう、わざわざ宿の中でまで来て、
いやクランリーダーがハーレムの主だったのはちょっと面白かったけど。
「それでシルフィ、奴らはいつ許すのだ?」
「うーん、決めてません!」「本気か」「嫌だなシグリヌさん冗談ですよ」
「あの様子だと限界が近いな、精神に異常をきたし始めたのだろう」「うーん」「条件はどうする」
解呪の条件ねえ……
そろそろ気も晴れてきたというか、
時間が経てばそりゃあね、むしろどうでも良くなってきた。
(……あっそうだ)
良い事を思いついたかも知れない。
「じゃあ、こういう条件はどうでしょう、それは……」




