第34話 やっぱり泣きついてきたか
「頼む、もっ、もう許してくれ!!」
「ええっと誰でしたっけ緑の服ってことは」
「俺達は『ブランニューリーフ』のメンバーだ!」「誰ですかそれ」
と、2人にあえてすっとぼけてみせる、
やっぱりぼろぼろになって泣きついてきたな、
遅れてもう1人、コイツはちゃんと名乗ってはいたな。
「本当に済まない、オールウェザーのサブクランマスター、コルディだ」
「寝込んでいると聞いていましたが目の下のくまが凄いですね、寝てたのに」
「眠れないんだ! コイツらもだが眠るたびに酷い悪夢を見る、あのまま寝てたら心臓が止まる!!」
で、熟睡できないんですね、
さすがサキュバス魔法、無詠唱でこっそり、
ルビアさんがかけた呪いだ、解除はリムラさんしか無理。
(さすがに堪えたみたいだが、ここはあえて……)
冒険者ギルドの受付カウンターへ。
「すみません『ホーリーアンライヴァルド』のセルフィですが」
「頼む、許してくれ、か、解呪してくれぇ!」「私に言われましても~」
「リムラ、無視して良いぞ」「はいシグリヌさん~」「セルフィ、素材はいつでも出せるわ」
あっ、初心者担当で受付嬢長のルミナスさんがやってきた。
「お待ちしておりましたわ、まずは個室でお話を、と申したいのですが」「はい」
「そちらの方々はよろしいのですか?」「ちょーっと寝不足みたいですが関係ないですね」
「ひっ」「そんな」「た、助けてくれ死んでしまう、謝罪する、サブクランマスターを辞めても良い!」
知らんがなそんなの、である。
「リーダーの僕じゃなく勝手にウチの僧侶にお願いするような人の話は聞こえませんから」
「うむそうだなセルフィが正しい」「ウチはリーダーの決定が全てですわ、何もかも従いますわ」
「ということだそうです~、その悪夢とは一生、お付き合い下さい~」「それよりセルフィ、昇格なんでしょ?」
ファロラがワクワクしている。
「じゃあ個室へ行きましょう」
「は、はい、ではこちらへどうぞ」
「頼む待ってく」「しつこいぞ」「ぐあっ」
あーあシグリヌさん容赦なく弾いちゃった、
奥へ案内しながらちらっとズタボロの3人を見る、
うん、時間はかかるけど実際に悪夢で殺す事はできる、衰弱死。
(逆に言えばそれだけじわじわ苦しみ続けるのですよ)
あんな方法で人を試す以上、
自分たちにまったくリスクが無い訳じゃない、
というのを教えるために、もうちょっと放っておくかな。
「そういえばルミナスさんって受付で一番偉いのに初心者担当なんですね」
「将来有望そうなパーティーだけです、冒険者ギルドにとって伸びそうな冒険者は金の卵ですから」
「なるほど、それで」「ただ、ギルドの受付前に勝手に試してスカウトしているクランも居まして」
それがさっきの連中ね、
初めて聞いた気がするが最初に絡んできたパーティー、
さっき『ブランニューリーフ』とか言ってたっけ、あれがまず挑発して力を見定める。
(よりによって、よわよわ勇者の僕1人だったからなあ)
で、初心者や弱そうな相手に勝負をふっかけ、
駄目そうなら冒険者をあきらめさせて良さそうなら勧誘、
とかなのかな、でトラブルがあった時のために奥に用心棒が控える。
(まとめて倒したうえに呪いのプレゼントまでしちゃった)
まあ、そういう手法は今まで機能してきたのだろう、
ただ僕ら相手には間違いだったねっていうか、あういう方法を取るなら、
逆に手痛いしっぺ返しも覚悟の上でやらないといけない、そんな覚悟が無いなら悪夢で衰弱死しても仕方がない。
「ちなみにクラン間のいざこざは、仲裁を依頼されない限り冒険者ギルドとしては」
「その割には受付嬢さんが抜群のタイミングで止めに入った記憶が、最初のときに」
「……報告では、首を刎ねる所だったようですので、さすがにそれは」「まあ確かに」
結局、身ぐるみ剥いで良いって話はうやむやにされちゃったから、
悪夢の呪いについても、もううやむやで今後、すっとぼけ続けても良いかもね、
何か言われたらそれで済まそう、本当に困ったら教会で泣きつく方法が、ってあのレベルの解呪できるの居るかな、王都だからギリ居るか。
(あれ、ここどこだ)
随分と立派な部屋の前に連れてこられたぞ。
コンコンッ
「ギルドマスター、お連れ致しました」
「うむ入れ」「えっ個室じゃ」「ギルマスの個室ですよ」
「いやそんな眼鏡クイッてさせて言わなくても」「さあどうぞ」
入ると大男だ、
壁に絵が飾ってあって、
胸に勇者の紋章、別で紋章単体も飾ってある。
(若い頃は勇者として活躍したってことか)
だが今は初老だが筋肉は凄い、
なんていうか、全てにおいて僕と真逆?
つよつよ勇者がよわよわ勇者を呼び出した感じだな。
「ギルマスのタリオンだ、さて、どれから話をしようか」
「あの、『ホーリーアンライヴァルド』のセルフィですっ」
「報告は色々と入っている、というか話す事が渋滞していてな、どれから聞きたい?」
いやいやいや、
貴方はギルマスでしょうが、
そういう整理はそちらの仕事でしょう、と言いたいのだが。
「ええっと依頼回数で言えばB級冒険者パーティーになっているかと」
「面倒くさいが1日だけC級で居てくれ、そして面接を受けて欲しい」
「はあ」「君たちならもはや雑談だけで良い、それが終われば翌日にはB級を渡す」
めんどくさっ、
まあお仕事なんでしょう。
「わかりました」
「話が終わったら受付でD級パスと交換してくれ、それで次の話だが」
「新たな依頼ですか」「その話もある、だが……忘れないうちにこの話にしておくか」
何やら書類が2枚。
「それは何でしょう」
「冒険者ギルドに対する冒険者のスカウトだ」
「どこからですか」「1つは教会、もう1つは王宮騎士団だ」
うわあ、やっぱ正式に来ちゃったかあ。




