第33話 だがサキュバスである×4
「うん、教会の馬車も良かったけど、こっちもなかなか」
という帰りの王都行き馬車、
貸し切りを頼もうと乗り場へ行ったら、
係員さんの方からわざわざやってきてくれて、
『お代は王宮騎士団長の方に頂いております』
ということで(おそらく)1番良い馬車に、
いやこれS級冒険者パーティー用でしょうって、
メイドを付けますかと言われたが謹んでお断りした、ていうか常駐してるんだメイド。
(戦闘メイドだったりして)
まあ聞かれたくない話もあるので、
そこを気にしたら運転手さんもだが、
言っちゃあなんだがメイドが必要ならその役割は……僕かな。
「それにしても馬車乗り場にまで煩いのがいたな」
「まあシグリヌさんはファンの女性が出来ちゃいましたね」
「踏んでくれとかいう男も居たが」「ああいうのはエスカレートしますから、次は鞭とか」
まあこの長身イケ女剣士は、
抱かれたい女性も多いだろうし、
もちろん抱かれたい男性も居るだろう、巨乳でもあるし。
(だがサキュバスである)
そういや伯爵領で、知らない貴族が噂を聞きつけ?
わざわざ身請けしようとしてきたのも居たな、教会員を理由に断っていたが、
抜けたと聞いてまたやってきたらどうしよう、確か公爵だか侯爵だかが用心棒にしたいとか、実際の狙いは別にして。
「わたくしも魔法使いが足りないと言うA級パーティーに誘われましたわ」
「えっルビアさんどこの」「青いクランでしたわね」「ウインドウィンディアだっけ、あそこ魔法使い中心のクランじゃ」
「ええ、ですので『光の』魔法使いが足りないと」「そりゃそうでしょう、貴重なうえいても教会から出てこない、普通は」
という話をタリーシャ様からも聞いたな、
光属性持ちというだけで教会に大金でスカウトされる、
孤児院にそんな子が居たら攫われるように持って行かれるって聞いたレベルだ。
(だがサキュバスである)
どこぞの貴族のお嬢様みたいな美人、
気品もあるしこっちこそ普通にしていれば身請けしたい貴族も居そう、
だからか基本、教会の魔法使いって感じのローブを身に纏っている、もう抜けてるけど。
「沢山の方々に~、感謝されるのは嬉しいです~」
「それにしてもあんなに死にかけの人がひっきり無しに来るとは」
「無人教会でしたから~、普段はそこまででは無いのかも~」「ギルドで聞いてみよう」
というおそらく教会員でもトップクラスの回復役、
もはや蘇生役と言っても過言ではないリムラさん、
本当に小さく少女のよう、こういう大人の女性は需要が高いってこれまた生前のタリーシャ様が。
(だがサキュバスである)
いやこの尋常じゃない回復光魔力だけで、
教会に居続けたら大聖女にランクインは間違いなかっただろう、
彼女だけでも伯爵領の教会に残しておくべきかって話になったくらいに。
「いかがなさいましたか~」
「あっその、リムラさん本当に僕と来て良かったのかなって」
「楽しいですし~、美味しいですし~」「う、うん、色々と美味しいよね」
いや僕以外は吸わないで欲しい、とりあえずは。
「何よセルフィ、今更になって私たちから、私から逃げたくなったの?」
「いや逃げるも何もファロラ達が居なかったら僕って何も出来ないから!」
「勇者なのに?」「よわよわ勇者ですから」「そうね夜のベッドもよわよわよね」「言わないでー!」
という僕の奥さん、
こっちは本物の貴族として育てられたんだけど、
活発系お嬢様というか、勇者としての装備を脱げば健康的なお姉さん的魅力を持っている。
(だがサキュバスである)
思い出すのが魔族領のダンジョン、
テレポートで僕がシグリヌさんの背中に抱きついていたとき、
抱きが甘かったのか僕だけ取り残されて、慌てて戻ってきたとき半泣きだった。
「大丈夫よ、セルフィの弱い部分は全部、私が補うから」
「ありがとう、って僕が一応、リーダーなんだけどな、一応」
「わかっているわ、いわばセルフィは、私たちの本体みたいなものだから」
本体というかテイマー主というか餌というか。
「ファロラ、本体というか御神体というか」「いやシグリヌさん言い方!」
「どちらかと言うと御主人様ですわ」「うーん、ルビアにそう言われると何かむずむず」
「では~、パートナーとでもいいますか~、かけがえのない大切な人ということで~」「リムラさん、僕だってみんなを大切にしたいよ」
希少なホーリーサキュバスという魔族を、
そして、大切な僕の、冒険者パーティーの仲間を、更には……
「セルフィ安心してね、何があっても、どんなことがあっても私たちは、死ぬまで一緒よ」
「う、うん、死なないように頑張る、ファロラありがとう」「だからとりあえず、色々と頑張ってね」
「よわよわ勇者なりに、頑張ります!」「ちゃんと褒めてあげるし、慰めてもあげるから」「は、はいっ」
むしろ慰み者とでもいうか、
やはりみんなサキュバスである、
勇者魔力量が無駄に溢れすぎて餌として有能なだけの気もするが、僕って。
(だからこそ、頑張らないと!)
ということで王都の冒険者ギルドへ到着すると、
そこには、忘れかけていた連中が待っていたのであった。




