第31話 ここはスキルの使い所
「うん、3階とか4階は浅すぎて、逆に人が居ないね」
グランドダンジョンに突入、
念のために言うと『地下』3階と4階ね、
初心者すらスルー推奨、たまに覚えたての攻撃魔法をスライム相手に試す場所らしい。
(転移魔方陣エリアは2階までです)
背後を気にはしたが一応、
変なのはついてきてはいない、
ついさっきまで『ウチの転移魔方陣使わなくて大丈夫か』とか言ってくる連中は居たが。
「じゃあそろそろ行くわよ」
「あっうんファロラ、じゃあ僕は」
「セルフィ、例によって私に抱っこだ」「ですよねえシグリヌさん」
相変わらず少し恥ずかしい、
さすがにベッドの上とは違って、
ダンジョン内部だからね、って実は以前、魔族領のダンジョンの奥地でですねえ……
「もっと抱きつけ」
「はいはい、こうですか」
「背中におんぶですと、たまーに取り残されるのでしたわね」
まあ救われるのは?
抱きついているのがシグリヌさんの鎧越しってことだ、
いや鎧の中に格納されるとか、想像したらちょっと興奮しないでもないが。
「準備出来たわ」
「はいファロラ、お願い」
「うんセルフィ、39階の人が周囲に居ない場所……あったわ、じゃあ、はいっ」
サクッと無詠唱魔法により、
パーティー丸ごと転移である。
「じゃあ行こうか」
「はい~、セルフィさんは私と並んで~」
「わたくしは真ん中でよろしくてね」「打ち合わせ通りのフォーメーションで!」
いやね、今のは何かというと、
勇者スキル『ダンジョンマッピング』と、
サキュバス上位魔法『テレポート』の複合技なんですよ。
(心の中で1つ1つ、おさらいしよう)
まずは勇者スキルの中では地味なダンジョンマッピング、
1度通った道を脳内で地図にして思い浮かべる事ができるうえ、
そのダンジョンの中に居る間は、そこがどうなっているのかわかるのですよ。
(なぜかって? 勇者魔法、勇者独自の魔力によるものらしいよ!)
スキル無しの僕には関係ないけど!
で、39階は1度ランクアップテストで通ったので、
その場所をまずマップで見て貰い、人が居ないのをファロラが確認した。
(そのうえで上位サキュバスの魔法、テレポートなのです)
ほら魔族の幹部とか人間に悪さをするとき、
颯爽と現れてピンチになったら瞬間移動するじゃないですか、
あの魔法です、ホーリーサキュバスは全員使えます、ええ、もれなく。
(でも、あまり使いたくないんだよなあ)
瞬間移動は意外とバレやすい、
そりゃそうだ言葉じゃ説明できない移動の仕方するんだし、
更にこの魔法は魔族魔法限定とされている、バレたらタダじゃ済まない。
(だからドラゴン調査の帰りも、使わなかったのです!)
あれはまあ、
目視で他のドラゴンの巣穴を、
帰路ついでに探してたって事情もあるんだけどね。
(まだ転移より空中浮遊のがバレるのがマシだ)
とか考えてやってきた地下41階、
巨大サソリ系の魔物がわらわらやってくる不人気エリア、
毒がやっかいらしいが実はホーリーサキュバスには効かないとか。
「よし、まとめて焼いてくれ、取りこぼしは任せろ」
「はいですわ、ではおふたりは、わたくしの両隣へ」
「任せたわルビア、結構な数ね」「はいファロラさん~、補助魔法で~、動きを遅くしましょ~」
と相変わらず4人で、
いやサキュバス4体で完結してくれる、
高温の光魔法であっという間にサソリはこんがり、まだ動いて向かってくる数匹も……
「はあっ!」
「えいーっ!!」
と、このように、
シグリヌとファロラが倒してくれる、
僕はアッツアツの魔石をひたすら回収しアイテムボックスへ放り込む、ファロラのね。
(亜空間、見た目空中に穴が出現して、そこへ投げ込んでいます!)
いやほんと、これくらいしか僕の活躍の場が……
ちなみにこのサソリ、本来は魔法耐性が凄いらしい、表面もめっちゃ硬いとか、
ただし攻撃方法が光魔法となると話は違ってくる訳で、ってとっとと回収しなくちゃね。
「あちちちちち」
「セルフィ、そこまで急ぐ必要は無いぞ」
「魔法で冷やしてさしあげますわ?」「手の火傷は~、回復魔法を~」「セルフィ手伝うわ」「大丈夫だってばー!」
僕に貴重なお仕事を取らないでー!
みたいな、まあサキュバスに何もかもやらせて、
テイマーが上前はねるみたいなのは普通の正しいやり方なんだろうけど。
(よわよわ勇者であっても、だめだめ勇者にはなりたくないのですよ)
たとえそれが効率的に悪いとか言われても、
何もかもサキュバスの自由にはさせない、僕の命令に従わせる、
そういうのが人間としての唯一の、なんだろ、アイデンティティっていうやつ?
(まあそう言う僕の奥さんはサキュバスなんだけどね)
ということで、
魔石を回収しまくった後、
次の階でも繰り返して、ダンジョンを潜って行くのであった。




