第29話 やはり教会とはそれなりの関係でね。
「ほう、やはり中は立派だな」
「ふかふかですわね」「眠れそうです~」
「ねえこの馬車、本来は死たぃ……」「ファロラ、重病人って言おう?」
結局、教会にたまたま病気持ちの神官が居て、
治療はやっかいかつ高価だというのでリムラが普通に完治した、
するとどうでしょう、馬車を簡単に借りられたではないですかー!
(もちろん決闘のことは知っていました!)
ちなみに運転してくれてるのは別の人ね、
教会の下っ端の方、後でチップを渡さないと、
ということでやはり教会とはそれなりに関係を残しておきたいと思った出来事です。
「しかし教会の情報によると、教会員用の転移魔方陣は無いとのことだが」
「どちらかというと用があるのは出てからですわ」「あちらの教会は無人でしたけど~」
「仮設だけど場所を用意してあげてるだけで慈悲の心らしいわ」「うん、体力魔力の自然回復増もあるし」
馬車の速度はまあまあ、
後ろから誰かにつけられてないよな?
黒装束の爆乳が走ってきてたら怖いけど。
(サキュバスの傀儡でなかったら、お世話になってたかもね)
しかし今の僕はハニートラップに対し無敵なのです、
いやすでに強力な毒にかかってるから他の毒が効かないみたいな?
まあ僕らの様子を探るならダンジョンに潜ってからでしょう、おそらく。
「それでセルフィ、ダンジョンはどこまで」
「はいシグリヌさん、行ける所まで、というのは」
「ダンジョン泊の用意はしていないが」「日帰りでですよ」
確か泊まれるエリアがあったりするんだっけ深いダンジョンだと。
「セルフィ様、特に目的のアイテムなどはありまして?」
「ルビア、宝箱とかはよっぽど深い場所でないともう取れないんじゃないかな」
「魔物の素材ですの?」「やっぱり魔石だね、味をしめた、質より量で良いかも」
魔石は割れても、
粉にして肥料に出来たりもする。
「辻治癒魔法は~、いかがなさいましょ~」
「リムラ、自由だけど教会使った時は例によって例の方針で」
「治療費自由で~、教会の神官や聖女に~、事情を言って払うようにと~」
そこで運が悪けりゃ、
ふっかけられるだろうけど、それも運だ、
払えません、でさすがに治した僕らの所へ請求が来たりはしないだろうし。
「セルフィ、これは依頼じゃないのよね?」
「うんファロラ、結果的に冒険者ギルドで依頼が出てる素材を取ったら別だけど」
「今ってどこまで」「教会がちゃんと申告してくれたらB、あっ昨日の治療の方ね」
決闘に気が行ってしまったが、
そもそもは王都教会からの僕らへの治癒依頼だ、
2つ同時だから1度に上げられるランクはひとつです、って言われたら……
(それならそれで、また依頼を受ければ良いか)
冒険者ギルドに帰ったら色々と確認しないと、そう、色々と。
「ところでセルフィ」
「なんでしょファロラさんソファーの弾力を確認して」
「これだけ広ければ宿にも使えるな」「何を考えているんですか!」
病人怪我人運搬用でしょうに。
「いや、もちろん帰りの話だ」
「何がもちろんなんですか、なにが」
「グランドダンジョンでの狩りを終えて王都へ戻る途中の話だが」
さすがサキュバスとでもいうか、
毎晩で済むかと思ったら、ふいに昼に、
おやつ感覚でねだってきたりする事もある。
(冒険者としての行動中は禁止、とは言ってるんだけどなあ)
魔族とはいえやはり魔物、
欲望には抗えない部分もあるらしい、
ひとえに僕という餌のおかげで理性を保っているみたいだけど。
「あら、では1度試しにダンジョンの奥で」
「誰が来るか分からないからルビア!」「来たら舌打ちですわ」
「いや、それで済む問題では」「わたくしどもの関係に問題などありませんわ?」
いやいやいやあるでしょう、
そもそも魔物と人間というバレたくない関係性が!
だからといってずっと人間体でも、見知らぬ冒険者に見られたらキツい。
(魔族領のダンジョンで実は……いや、思い出すのはやめよう)
あの時は知らないラミアのお姉さんに、
何かお手伝いしましょうかとか言われたっけな。
「いざとなったら~、セルフィさんに睡眠魔法を~」
「それ、敵に使おう? ていうかリムラ、僕を眠らせる場面あるー?!」
「やはり~、帰りの馬車の中で~」「いやだから」「チップを多めに渡せば~」
話がそっち方面に行き過ぎだ、
ここは相棒かつ相方かつ同じ勇者の、
ファロラに話をシメて貰おう、もうすぐ着くし。
「セルフィ」「うんファロラ、言ってあげて」
「もういっそ、王都で結婚式を挙げちゃう?」
「えええ」「で、側室も3人揃えて」「……さて、ダンジョンでのフォーメーションと確認なんだけど」
なんだかんだでこのサキュバス達も、
意外とこういう所があるんだよね、うん、
リーダーかつ唯一の人間である、僕がしっかりしなきゃ!
(だが、よわよわ勇者であーる)




