第24話 神官勇者×3vsよわよわ勇者とサキュバス2体
以前、いやもう昔って言って良いな、
聞いた話によると教会というのはとにかく書類が大切らしい、
契約書であり誓約書であり証拠であり、それは教会内において絶対に近いと。
(ただ、まれに力技で破く聖者も居るので気を付けなさい、とは大聖女さま談である)
今、させられるのがまさかそんな感じ、
だからこそ改めて王都の教会で書類を作らされている、
これで無事、僕らが勝てば問題ないのだが負ければ下手すりゃ全てを奪われる。
(残ったのが『よわよわ勇者』だけなら、もうどうしようも、無い)
そんときゃサキュバスは魔族領に帰るだろう、
つまり誰も得をしない、誰だそんな決闘をしようなんて言ったヤツ!
まあ僕なんですけどね、それだけシグリヌさんとファロラを信じている、逆もまたしかり。
「……ふう、この書類が最後ですね」
「はいありがとうございます、これで我々のお仲間ですね♪」
「えっ聖女さん?!」「あら失礼、『ホーリーアンライヴァルド』の皆さんが負けた場合ですよ」
綺麗な聖女さん、
これでも余裕で30位以内×4年らしい、
すなわち大聖女、の割に若いな、美人で巨乳だし。
「ま、負けません、多分」
「ちなみにセルフィさんが負けた場合の、今後の教育係は私ですよ?」
「えっ」「色々と教育させて頂きますので、朝から夜まで、いいえ、夜から朝までも♪」
あーはいはいハニートラップですか、
毎晩サキュバスに吸い尽くされて粉になっている僕に、
そんな『匂わせ』程度でお前は何を言っているんだっていう。
(もう人間相手では駄目な身体になっています!)
ていうかそもそも僕にはもう奥さん居るのに、サキュバスだけど。
「じゃあ僕らが勝った場合の条件も口頭で追加して良いですか?」
「ええ、私で出来る事なら、ふふふ」「いやそういう事じゃなくって」
「ではどういう行為ですか?」「うちのメンバーの師匠というか元上司というか、タリーシャ様のお知り合いからタリーシャ様のことを」
フフッと少し見下したかのような笑い。
「わかりました、もし勝てたら取り次ぎましょう、もしですが」
「僕も知らない仲では無いので、同席してお聞きしたいのですが」
「構いませんが地方の大聖女様だったようですので、まあ結果を受けてから」
これでちょっとはやる気が出たかも、
いやおそらく僕は何も出来ないだろうけどね、
むしろ逆に動くなとか余計なことはするなってシグリヌに怒られそう。
(怒った後のフォローはベッドでしてくれるけどね!)
ということで教会で待機させられる僕、
他のパーティーメンバーと分離させられて何かと思ったら、
これ僕がこの大聖女様に何かするように仕向けているのだろうか、それっぽい仕草が。
「じゃあ、僕は時間まで待っているので、もう良いですよええっと」
「ナルと申します、ベッドの部屋もございますので、よろしければ一緒に」
「いやそんな熟睡して不戦敗にされるのは」「直前に連れて行ってさしあげますよ、直前に」
そんな時間いっぱいまで何か出来るみたいな!
「戦いに集中するので放っておいてください」
「お堅いんですね」「大聖女様がそれを言いますか」
「ご希望でしたらもっと若い」「そういう問題じゃないです、じゃ」
結局なんとか追い出した、
若い子ってじゃあやっぱりナルさんは若く見える熟女か、
いやサキュバスの熟女も魔物領で会ったけど、あれはあれでなかなか……
(ってこんな所で思い出して興奮してる場合じゃないや)
ちなみに男の娘インキュバスというのも居てっていけないいけない、
書いた書類を再確認、変な条項のあるのはちゃんと弾いたぞ、油断ならない、
横線で訂正させられそうになったのも書類ごと書き直させた、後で消える横線もあるらしいから。
「文字自体が変わる魔法の、そういう魔力は感じられないな……多分」
魔法のそういう気配だけは、
うっすら感じるようになった、
これも毎晩、サキュバスの魔力にあてられているからだろう。
(いやね、わかるんですよ、人間の魔力と違ってサキュバスの魔力は、魔物の中でもえげつない)
とりあえず勇者だけど賢者な気持ちで待つ僕、
そして時間が来てナルさんに呼ばれて教会裏へ、
野外鍛錬場って表示のある広い簡易闘技場みたいな所。
「セルフィ、来たか」「はいシグリヌさん、って匂い嗅がないで!」
「変な事はされてないようだな」「ファロラという奥さんが居ますから」
「とりあえず、さっさと倒して帰って寝るわよ」「はいはい、それで相手は」
ちなみにこの場合の『寝る』の意味は以下略。
おっ来た来た強そうな勇者3人、凄いなこれ、
王都教会に居る自慢のメンバーが集まったみたいだ。
(自信満々であてがうはずだよ)
王都の冒険者ギルドがS級パーティーを複数抱えていても、
本当に困った時に教会へ要請して出して貰う勇者っていう感じ、
さしずめSS級、いやSSS級勇者といった感じか、まさに最強勇者。
(対する僕は、よわよわ勇者です!)
ちなみに客席にルビアさんとリムラさん、
普通に大人しく座っているな、目が合うと微笑んでいる、
心配してませんよって感じか、よし、ここで僕はシグリヌさんとファロラに耳打ち。
「あんま変な、過度な動きはやめましょ」
「つまりは」「あっ、そういうことね」「手加減しないと可哀想でしょ」
「おい、聞こえているぞ!」「うっわ内緒話なんですから」「声が大きい!!」
いやほんとムッキムキ勇者と、
ガタイのでかすぎる勇者と素早さ特化勇者か、
素早いのがさっさと僕の所へ来て早々に片付けてきそう。
(でもサキュバスなら、人間ごときの素早さは平気なんだよなあ)
だから、あんまりにも極端に人外な素早さを見せると、
相手が歴戦の勇者なら『おい、あの2体は魔物だぞ!』てなりかねない、
最後の1人がよわよわ勇者なのは良いとして、ここでバレるのはあまりに早すぎる。
「審判を公平に行う神官長のザラスだ、お互い、敬意を持って戦うように、礼!」
はいはい神官勇者3人は綺麗な礼だ、
僕らも頭を下げる、さあいよいよ始まる、
神官勇者×3vsよわよわ勇者(テイムサキュバス2体持ち)のバトルが……!!
「では……はじめっ!!」
えっ、もう?!
と思っていると、
いかにも素早さ勝負の神官勇者が僕に真っ直ぐ、向かってきたっ!!
(こっ、これはっ!!)
素早過ぎてどうすることも、
そう思った次の瞬間、僕の目の前で起こった事は……!!!




