第16話 帰りの馬車でヒヤリング
帰りの馬車内にて、
色々とオレンさん達に聞かれる、
まずは戦士のガイラさんが剣士シグリヌさんに。
「その凄まじい剣は誰から教わったんだ、師匠は」
「親戚だ、森から、いや森の中の集落から外に出ないお方だ」
「なんと、隠居しているのか」「まあな、年齢が年齢だが、素早さは衰えていない」
うん、あのホーリーインキュバスのおっさん、
魔族領でシグリヌさんが最後まで勝てなかった相手、
いやまだ生きてるよ多分、メス型魔物なら何でもアリの悪食だった。
「ではファロラ殿の剣も」
「私は伯爵領でとにかくいろんな方に、様々な指導を」
「貴族の豊富な資金でか」「あとダンジョンでも鍛えられたので!」
シグリヌの場合は、
最終的に事実上の師匠が魔王だったからなあ、
いやもちろん幼い頃に交換で伯爵領に来て、その間に鍛えたのは人間だけど。
(彼女の場合は素質が凄まじかった)
で仕上げに魔族領のダンジョン攻略、
そして魔王直々に稽古、って良い魔王ですよ?
交換で行った人間の女性も幸せそうにアヘってたし。
『サキュバスに飽きたらもっとえげつない魔物を紹介してやろう』
とか僕に言ってたっけ魔王様、
怯えながら首を横に振る僕だったけど!
そしてエルノさんは同じ魔法使いであるルビアさんに。
「光属性の魔法使いは教会が隠し持っているって本当だったのね」
「隠しているというよりは、教会に適性のある者が光属性ですわ」
「魔法を教えてくれた方も光魔法使い?」「まあ、そのようなものですわ」
彼女の師匠はホーリードラゴンだったからなあ、
サキュバスの光魔法っていうレアなものだけじゃなく、
おそらく彼女しか冒険者では使えないドラゴン魔法も使う。
(しかも無詠唱でね!)
だから放ったのがサキュバス魔法か、
ドラゴン魔法かはわからないっていうか、
もし鑑定持ち勇者が見て技名がわかっても、それが魔物の魔法だってわからないだろう。
(おそらくね、古の古文書とかにあったら知らない)
そしてS級リーダーのオレンさんが、
ウチの僧侶リムラさんにヒヤリングを、
ってこれも冒険者ランク選定試験の一部か。
「本来、辻ヒールや辻ポーションは慎重にしないといけないのよ」
「それは~、派閥争いによるものでしょうか~、クランとクランの~」
「そうね、貸し借りは問題になる、まあ教会で元教会員が教会派閥としてやるなら問題ないのでしょうけど」
ちなみに教会は、何も遺体の安置所というだけじゃなく、
体力や魔力の自然回復が早まる結界が施されていて更に、
回復魔法の威力も上がる、だから死にかけの冒険者も持ちこたえたし助けることが出来た。
(常駐してないのは、本来の街じゃないからね)
教会は積極的に冒険者活動なんて参加しない、
それでもどうしても、ここぞという時に出てくるのが居る、
たまーに追放された教会員が冒険者として出てきた時にその力をみんなが知らされる、みたいな。
(僕らはその風潮、前例に乗っかっているのですよ)
それにしては能力が高すぎるけどね、
ってみんなヒヤリングは続いているな、
ガイラさんは前衛2人と、エルノさんはルビアさんと魔法談義、オレンさんはリムラさんと……
(って僕、放置されてるううううう!!!)
おい良いのか唯一の人間だぞ、
サキュバスを操っているのは僕だし、
僕が依頼とか断ったら彼女達は普通にやらないぞ?
(リーダーって言ったのに……)
まあダンジョン内での様子を見たらね、
魔族領のダンジョンでも『いかに僕を護るか』みたいな状態だったし、
でも僕が近くに、一緒のパーティーに居る安心感は絶対に無くてはならないらしい。
(どうしよう、僕だけランク据え置きだったら)
いや、あくまでパーティーとしてのランク評価だ、
このあたりややこしいんだよな、個人ランクとパーティーランク、
よわよわ勇者の僕は個人でランクを上げ過ぎたうえで個人依頼が来たら、もうどうしようもない、まあ断るけど!
(まあ勇者への個人依頼ならファロラに行くか)
どうしても僕って依頼があったら、
最悪、一緒に来てくれるだろう、どんな内容か想像つかないけど!
だなんて考えているうちにS級の試験官さん達にまったく触れられない僕は、うとうととし始めたのだった。
「それでセルフィくん……セルフィくん?」
「あっはいオレンさん!」「リーダーよね?」
「そうなりますね」「……なぜリーダーなの」
説明してなかったっけこの皆さんには。
「教会員を冒険者として教会外の人間が連れ出すには、
相手の冒険者が勇者である必要がありまして、もちろん教会側の、
少なくとも大聖女さまの許可は必要ですが」「でもそれとリーダーは」「教会で冒険者カードを出して貰う利便上、便宜上です!」
あーはいはいって感じのオレンさん。
「教会内のそういう仕組み、知らないから」
「ということで私がよわよわリーダーです、はい」
「ちなみにセルフィくんが抜けたら?」「教会に回収されるかも」
実際には魔族領に、魔族にね、だって餌がなくなるんだもの。
「それでセルフィくん、クランに入る予定は」
「どーーしよっかなぁーーー、って教会との関係を考えたらしばらくはフリーかと」
「わかったわ、じゃあランク上げは遠慮しなくて良さそうね」「クランに居たら遠慮が?!」「まあ色々と」
派閥の関係、
面倒くさいなあ……
と思っていたら王都に到着だ。
(そうか、到着するから仕上げに僕にヒヤリングしたのか)
別にいいけど!




