第13話 今度は魔力試しのはずが
続いて34階に移動、
今度は結構大きな洞窟だ、
そして大きな光る蝶が舞っている。
(あっ、僕らに気が付いたとたん、姿が見えなくなった?!)
いやこれは、おそらく……
魔法使いのエルノさんが前に出る。
「クイックバタフライよ、とんでもなく素早いから、
武器はまず当たらないわ、剣や矢を空気抵抗で避けるの、
だから魔法攻撃しか無理、しかも範囲魔法ね、だからここは……」
と説明している前に突っ込む2人の白い影!
「はっ、はぁっ!!」「やあっ!!!」
「ちょ、ちょっとまだ説明の最中、う、うっそぉー?!」
ウチの剣士シグリヌさんと、
勇者ファロラが剣で普通に倒してるんですけど!
いや空気抵抗とかいう話はどこ行った、まさしく空気すら斬り裂いたか。
「ふむ、こつは掴めた、剣士にとって良い訓練場所だな」
「私は最初の動きでパターンがわかったわ、あんまり頭のよくない蝶で良かった」
これにはS級パーティーの3人もポカーンだ、
何も言えなくなったエルノさんの代わりにリーダーのオレンさんが。
「いやこれS級の剣士でも当てられないのよ?」
「それはたまたま、へっぽこがS級になったのだろう」
「あっ、いけないどうしても魔石を斬っちゃう、これから気を付けないと」
もうそんな次のレベルに話が進んでいるのか、
っていけない、ここは僕がリーダーらしく注意しないと。
「駄目ですよふたりとも、ここでは魔法のテストで来たみたいですから」
「そうか済まなかった、量が多かったものでつい、あと私も普通にテストしてみたかった」
「じゃあ魔法で剣を造り出して攻撃すれば良いのね? はいっ」「ちょ、それは」「光魔法の剣だけど?」「だーかーらー!」
僕が更に怒ると、
てへっ、ていう感じで首をすくめるファロラ、
こういう可愛い仕草で許して貰おうという魂胆だ。
(それでも喧嘩になったら、ファロラには奥の手があるんだよなあ)
今は、そんなことよりも。
「あっ、奥からまだまだ来ました、ルビアさんリムラさん」
「はいですの、テストなら詠唱した方がよろしくて?」「えっ無詠唱??」
「ですわオレン様、はい、全部落ちましたわ」「は、範囲魔法を無詠唱?!?!」
普通、詠唱は精神を統一して、
言葉に魔法を乗せて発動するもので、
無詠唱は声という音に乗せない分、更に集中が必要になる。
(それをさらっと、天然にやれるのがルビアです!)
まあ実際に所は、
魔物である野生の勘みたいなものなんだけど。
「わたしも~、終わりました~」
「リムラさんも無詠唱で、一緒に?!」
「はい~、私が倒したのは~、その先のポイズンバタフライです~」
そんなの居たんだ!
確認に行くと落ちてる落ちてる、
濃い紫のでっかい蝶、しかも多いねコレ。
「さあセルフィ、出番よ」
「あっはい、ではこの黄金の剣で!」
「……あの、セルフィくん?」「オレンさんお待ち下さい、僕のターン、魔物解体、魔石回収です!」
こういうチームワークの良さも見て貰わないとね、
なぜなら他に僕を評価する所が無いから! ザックザックっと。
「どうですかオレンさん、この手際の良さ!」
「……セルフィくんは、それで良いの?」「パーティーで評価して下さい!」
「それは別の階で考えていたのだけれども」「あっ、じゃあ後で、今は僕が主役の戦闘シーンですよ!!」
……自分で言ってて、
ちょっと泣きそうなんですが!
S級パーティーの皆さんの、目が見れない。
(いやこれ本当はですね……)
見方によってはだ、
テイマータイプの勇者がティムした高レベルサキュバス4体を操作して、
魔物の大群に圧勝して勝利の魔石を回収しているシーンなんですよ、ええ!
(でもそれだと、サキュバスが『御主人、ご褒美、早く餌ちょうだい!』て感じで待ってないといけないんだけどね)
ちなみに魔力は基本、毎晩吸わせているが、
4日程度なら魔力(生命力)吸いは我慢できるらしい、
ただ人間で言うと普通に4食我慢する訳だから……と魔石を拾い続け結果。
「ふう、終わった終わった」「セルフィ、大量ね」「どうぞどうぞ」
「ちょ、そのスキル、ファロラさん、亜空間魔法マジックボックス?!」
「ええそうよ、9つ持っている勇者スキルのうち1つ」「しかも、そんなに入るの?!」
集めた山のような魔石をガスガス放り込んでいるからね。
「短時間ならセルフィも入るわ」「アレやめてー!!」
いやね、触手が襲ってくるんですよ、いや命の危険は無い、多分。
「……いいわ、39階へ行きましょう、そこで最後のテストよ」
「はいオレンさん、セルフィ、頑張りますっ!」「……はいはい」
なんだか知らないけど、
オレンさんに生暖かい、
やさしい目で見られてしまった!!
(さりげなく僕の頭を撫でてくれるファロラ、やーさしぃー)
うん、さすが正妻だ、
サキュバスなんだけれども!!
「セルフィくん」
「はい戦士ガイラさん」
「本当にセルフィくんに、スキルは」「ありませんっ!!」
いやそれは本当に本当だ、
ただ単に、サキュバスの餌になっているだけですが。




