第12話 いよいよダンジョンで力試し!
ようやく到着した王都最大の『グランドダンジョン』、
初心者から冒険者トップクラスまで誰でも入れるうえに、
冒険者ギルドからの依頼に事欠かない底なしダンジョンらしい。
(もはやダンジョン前は、ちょっとした街だ)
その証拠に冒険者ギルドの出張所まである、
あと仮設みたいな教会もあったけどこっちは無人、
セルフで勝手に祈るなり遺体を置くなりしろという感じ、寄付箱まである。
(そんなことよりダンジョンだ)
馬車を預け、みんなフル装備でいざ……!!
「あれ? 入口はこっちじゃないんですか??」
「セルフィくん、地下1階から行かなければならないほど弱いの?」
「いえオレンさん、ということは」「転移魔方陣はこっちよ、4クラン専用の」
別の入口の前に見張りが居る、
上位4クランで深い階への転移を独占しているのか、
これなら確かにクランに入りたいって思える、そういう作戦かな。
(顔パスあだ、さすがS級冒険者)
その後ろに続くと普通に入れた。
「良いのか、我々はクラン未所属だが」
「シグリヌさんだったよね、ギルドの依頼で先導してるから大丈夫よ」
「通行料はかかるのかしら?」「クラン員は無料、あなたたちのは依頼料に含まれてるって事にするわ」
ルビアさんの質問にもしっかり答えてくれたオレンさん、
全員が転移魔方陣に収まると、改めて僕に声をかけてくる。
「転移魔方陣が操作できる職業は知ってる?」
「はい、僧侶、高レベル魔法使い、魔法系勇者ですね!」
「ちなみにセルフィくんは」「無理です、無能系勇者なので!!」
……シーンとなっちゃった。
「私は使えます!」
「ファロラさんって魔法系だったの?」
「万能系ですね、なので魔法系かと言われれば、それも含まれます!!」
いやファロラは本当になんでもできる、
前衛に魔法に回復にタンクも、まさにオールマイティ!
まるで僕の分まで有能になったみたい、って自虐はよそう。
「じゃあ行くわよホーリーアンライヴァルドの皆さん」
「「「「「はいっっっっっ!!!!!」」」」」
「元気ね、今の内だけじゃないと良いけれども」
ということで転移した先の部屋、
壁に30って書いてあるから30階なのだろう、
もちろん地下のね、ってこれで定員30人って意味だったらどうしよう。
「扉は無いけど結界で守られてるから、いざとなったらここへ逃げ込んでね」
ということで合同前衛2人、
S級『フリーハンドアドベンチャー』戦士ガイラさんと、
E級『ホーリーアンライヴァルド』の双剣士シグリヌさんが並んで先導。
(意外と狭いな)
いや、魔族領のダンジョンが大きいだけか、
あそこはとにかくでかい魔物や飛ぶ魔物も多い、
もちろん階層によって違うのかも知れないけれども。
「さっそく居たぞ、ストーンエスカルゴだ」
めちゃくちゃ堅そうなカタツムリの魔物、
地下30階に居るくらいだから炎でも吐きそう、
まずはシグリヌさんが試しにといった感じで……!!
「でやっ、でやっっ!!!」
……あっけなく四つに斬られた、
中の魔石まで……魔物の核ね心臓みたいなの、
もちろんサキュバスにもあるのだが当然のごとく秘密だ。
「すげえ、中の魔石まで斬るなんて、見たことねえぞ!」
「2本とも光属性の剣だからな、硬ければ堅いほど斬れる」
「い、いったいどんな素材で」「クリスタルの一種らしいが詳しくまでは」
魔物領でなら多く取れる希少素材、
それが2本もですよ、魔人の鍛冶師に気に入られたものでね、
ってまた来たストーンエスカルゴ、今度はガイラさんが8打撃くらいで荒く崩れた。
(斧系は仕方ないよね)
ということにしておこう、
いや僕の頬がちょっと緩んでいるけど!
オレンさんが普通に感心しながら僕らに。
「すごいわ、魔法が効かないうえ相当強い敵なのに」
「スロー! ……普通にかかったわ」「えっ、嘘っ?!」
「魔法には相性があるけど、光魔法は4属性全てに効果的よ」
S急冒険者もアングリだ。
「じゃあ次は私ね、ぜあっ!!」
謎の掛け声と共に勇者剣を振ると、
結構な距離があるのに敵が上下に真っ二つ!
あっこれだと魔石がとりやすい、やさしいな、さすが僕の正妻。
「わ、わかったわ、50階へ行きましょう」
さすがにオレンさんもなんだか焦っている、
エルノさんとかあの大人美人で漏らされると困るので、
早く僕の実力を、しっかり判定してもらわないと……ってあれ?
(回復役の僧侶はともかく、勇者の僕の判定は?!)
これ、自分で言わないと、
いくら待っても順番が回ってこないヤツか?
もしくは『勇者は1人で十分ですから』って気づかないところに貼ってあるとか……??
「あっ、蜘蛛の魔物が!」
「セルフィくん大丈夫かしら?」
「はい、ではさっそくこの黄金剣で」「でやあああああ!!!」
僕の話の最中で、
ファロラさんに横取りされちゃった、
さすが自称・僕専用のガーディアン、って同じ勇者なのに、くすん。
「セルフィ、大丈夫か」
「はいシグリヌさん、身体は無傷、心はちょっと痛い、毎回ですが」
「オレンどの、先を急いでくれたまえ」「はいはい、では今度は……」
僕の活躍は、まあないね!




