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カジノ ─ Casino ─  作者: くどい
三章 キリングハウスへようこそ!
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3-2 七話 盗んだ車で学校へ行こう!2


ロイとの会話は正直楽しい、コミュニケーションってこういうもんだろ?

人との会話に銃弾なんかいらないよな、そうだろ?ダニエル坊や


「───ふふふ、君は本当にたのしい男だねミスターマコト。」

察しが良すぎるのも考えものだな、まるで思考が筒抜けみたいだ───。


上質な小豆色の革で設えられた、アンテイークソファーが置かれた応接間の

ような部屋にたどり着く。

とりあえず拷問器具が並ぶ地下室じゃなくてよかったよ。

マジで・・・


「掛けてくれたまえミスターマコト。」

ロイはソファーの一方を手の平を上にして指すと、向かい合う形でロイも

もう一方のソファーへ腰を下ろした。


「さぁ、どうだろう?ここが私の店BSR、Birmingham(バーミンガム)Small(スモール)Raft(ラフト)日本支部。

 しがない車屋だよミスターマコト、気に入ってもらえたかな?」


はぁ、しがない───ねぇ・・・

しがないってほど、謙遜の当てはまらない表現はないと思うぜロイ。

店の規模と並べられた高級車、どんなパトロンが後ろに控えてるっていうんだ?

皮肉のオンパレードだぜまったく。


「フフフ、まぁイギリスの本社はとうの昔に解散しているがね。」

 

「・・・まぁ表向きは───」


「イギリス?」

「あぁアンタ方みんなアメリカ人じゃなかったのか?」

「アメリカ人・・・ね、君たち日本人は本当にアメリカが好きなのだね」


「そうじゃなくて、白人さんはみんなアメリカ人に見えちまうのさオレたちは。」

「なにより日本がヤバくなった時頼るのは彼らだからな。」


「自キャラが、手足を縛られたサムライソルジャーだったら、たとえNPCだと

 しても隣のジョンランボーに頼るしかないだろ?」

「今はそういうクソゲーなの。」


「ふむ、例えがよくわからない話ではあるが理解できないわけではないよ。」

「まぁ、お互いの国の話は政治家にでも任せるとしようじゃないか

 ミスターマコト。」


 精一杯の皮肉で例えたクソゲー話を、サクっと切り上げたロイは

スラリと立ち上がると、そのまま部屋の奥にある小さなバーカウンターに向かい

置かれている琥珀色の酒が入ったデキャンタを持ち上た。


流れるような優雅さでそのままダイヤのようにキラキラとしたカットの入ったグラスを

一つだけ手に、元のソファーに腰を下ろした。


「キミは未成年だから紅茶でいいかな?それとも・・・───、」 


「───コーヒーが好みかな?」

今の間はなんだろう・・・?


「───。じゃ紅茶で」


 ロイと名乗る老紳士は、自分の分のウイスキーをデキャンタからグラスへ

そそぐと、程なく扉からノックの音が部屋に響く。

その来訪に対し、ロイは返事もしない、しかしそれが当然のように

静かに革張りの重い扉が開いた。

扉の向こうには、紅茶と洋菓子を携え、先程再会した赤毛の彼女が

部屋へ現れた。


「ロイ、あの女性(ひと)やっぱり・・・」

「あぁ、紹介しよう。彼女はエレクトラ・・・ 確か───、」

「今はそう名乗っていたかな?」


紅茶と洋菓子を鏡のように磨かれたテーブルへ置くと、彼女は俺に向かって

深々と頭を下げた。その彼女の行為に俺は驚きと共に戸惑いを隠せなかった。


 だってそうだろ?頭を下げるのはこっちだ、さっき高速で追手の銃撃から俺を守るため

に盾になり、助けてくれたのは誰あろう彼女だ・・・。

 慌てて礼を返す為に立ち上がろうとする俺を、ロイが片手で制すると彼女は

ゆっくりと直立不動の折り目正しい姿勢へ直る。


「マコト様、先程はお見苦しい所を失礼いたしました。」

「私はエレクトラ、以後お見知りおきを・・・」


赤毛のボブカットをした綺麗な女性、だけ───ど。

俺はどことなく違和感を感じた。

妖精のように、なんか───、そこにいるという存在感的なものが・・・


「ミスターマコト、どうだね? 見入ってしまうほど美麗だろう?」

「あ・・・ あぁ」

見惚れるってより憧れるって方が正しい、手が届かない蘭みたいな人だ・・・


「それではマコト様、今後のご活躍、ご期待致しております。」


 丁寧な口調でそう言い残して彼女は音もなく再びドアの横に移動すると

整った姿勢でただ佇む。まるで電源を切ったように───。


その姿は───まるで幽霊のよ・・・

「PHANTOM、そう表現するよりFairyと言った方が彼女にふさわしい。」

「そう思わないかな? ミスターマコト。」

「!!」


 俺の耳元で囁くロイに驚き、上半身をソファの背もたれに背中を

打ち付けるように反り返った。


「あ・・・ あぁ妖精みたいな人だ───。」

そういうのやめてくれ・・・焦った───マジで。


「では本題に入ろうミスターマコト。」

「そうだな・・・まずキミの疑問に答えるとしようか」

ゆっくりと向かいのソファーに腰を下ろし、そう前置きを述べ

ロイは遂に先日から続く非日常を、俺に語り始めた。


「私はね、人の思考を読むことができる。」

「故に、嘘や虚栄は私に対しては無意味。」


そうだろうとは思っちゃいたが、随分とあっさり白状するんだな先生。


「まぁこの手の忠告もキミに対しては必要無さそうだねミスターマコト。」

「キミは実に率直。いや、この場合は誉めるに値するほど素直───。」

「───と言ったほうがいいかな?」


 あぁ、そう言われて俺が「まさかそんな!」と疑う、普段なーんにも考えないで

生きていける一般的な小お人好しだったら、きっとこんな面倒事に巻き込まれずに

済んでたんだろうな。今となっては信じる他ないだろ?


「人の心を読む───エスパー・・・的な。」


「そうだね、超能力者と言っても過言ではないが───」

「───イリュージョニストとは違う」


「つまり───、タネも仕掛けもない、やっぱあんたらマジ物の・・・」


「能力者。そう言ったほうが適切かもしれないな、この国の言語ではね。」


 ウイスキーのグラスをゆるゆると回しながら、ロイはアニメや映画のデキゴト

みたいな事を大真面目に語った。それに対し、俺は疑いや疑問を差し挟むこと無く

素直に受け入れるしかなかった。


だってそうだろ?

 

 仮にこの連中を倒すために、SWAT連れてきたって負けるんじゃないかってくらいの

凄腕の殺し屋?を従え、こんな秘密基地まで所有してだ。

そのうえここまで話に付き合って、このロイって人の常識さだ。

彼を取り巻く人や物のスケールを裏打ちにして

“我ら魔法戦隊マホレンジャー!"

なんて言われてもみろ。もはや「ハァ、そっすか。」って返すしか無い。

現実感無さ過ぎて───。


「とりあえずどうかね?」

「まずはお互いの出会いに乾杯しようじゃないか。」

「私は最高のスコッチを前におあずけは苦手でね」

ロイはそう言ってスコッチの注がれたグラスを傾けた。


 俺は紅茶のカップをロイの方に向け合わせようとする。

その行動に対してロイは人指ゆびを口元で左右に振ってグラスを目元へ上げた。

英国式の乾杯の仕方なんか俺が知ってるわけ無いだろ?

オレも同じように真似をしてカップを目元に上げた。


「出会いに! いや再会かな?フフフ」


「カンパ───


「Cheer!」

「ち・・・・チアーズ」


くっ・・・いちいち緊張する。再会じゃねーよ、初対面だ!



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