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カジノ ─ Casino ─  作者: くどい
一章 一目惚れは銃弾と共に
15/99

1-11 辛酸

二〇十八年七月 深夜 


 真をロイに預け別れた私は、ロイより受領した本来のアシ(BSRヴァンキッシュ)を駆り

一路、京都市内へと向かう。


 道中、車内でこの2日の出来事を振り返る。

ルーチン(通常任務)と異なる事態へ、常に発展するこの国での仕事に私はすっかり

呆れていた。


 想像より早かった日本側の対応。対話のチャンネルを開かず直接行動へ

出た彼らの【手に入らないのであればいっそ滅してしまおう】というやり口。

()()()()()()()らしさに改めて嫌悪する。


 今回の仕事に当たり、依頼内容にはにはこちらの存在と意思を匂わす事が

必要とされていた。その為に昨日の花火大会での襲撃者の一人は必ず生かす

必要があった。片腕を落としながらも生存したその男の口から、イレギュ

ラーたる真の存在が日本側へリークするのは、織り込み済みでは有ったの

だが───、真がこちら側の茜と接触した事実を、やはり日本側は黙って

いなかったようだ。

 全力を持ってしてでもこちら側へ、新たな()()()が渡ることを阻止するといった

日本側の思惑に、私は以前の重々しい記憶を回想せざるを得なかった。


「似ている・・・」

灰色の既視感を紛らわすためにタバコに火を灯す。


「最強にして最古の二枚のカード・・・か」

紫煙を燻らせながら呟く


 至近距離で放たれたサブソニック(亜音速)の銃弾をも、無意識下のうちに素手で

受け止めるほどの()()()()()()()を持つ少年。

 

 標的を自身の有効範囲内なら年齢性別に関わらず、確実に()()してしまう

力を持った少女。


 19年前の辛酸を舐めるような重々しい記憶が、紫煙と共に体に満ちて

いくのを感じ、私はそれまで燻らせていたタバコを備え付けのアッシュ

トレイへ無念なる記憶とともに揉み消し呟く。



「やはり───私はこの国(日本)が嫌いだ 」



12気筒の快音を轟かせ、私は茜の元へと急ぎ向かう───。


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