27/28
九本目の建立、白鷺色の開門
国立スタジアム。
数万人の熱狂と殺意が渦巻く中心で、
蓮の肉体はついに「限界」を迎えた。
彼が右指で空をスワイプした瞬間、
八本の鳥居に封印されていた四百年分の怨嗟が、
一気に彼の肉体へと逆流した。
ー 江戸の沈黙が彼の骨を砕き、
ー 明治の活字が彼の皮膚を刻み、
ー 昭和のノイズが彼の鼓膜を破り、
ー 平成の強欲と忘却
ー令和の承認と嫉妬が
彼の内臓を石へと変えていく。
蓮は絶叫した。
だが、その口から漏れたのは、
一人人間の声ではなかった。
ハク、伊織、美空、金成、カイ、
佐山、ルナ、志乃
――八人の生贄たちが、
彼の喉を借りて同時に叫びを上げたのだ。
パキィィィィィン……!!
スタジアムの中央に、天を突くような
**「白鷺色」の鳥居**が屹立した。
それは、これまでの朱色とは一線を画す、
死装束のように白く、一切の光を吸い込む
絶対的な無彩色の門。
蓮の肉体は、その鳥居の芯材として完全に解体され、
再構成されていった___。




