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朱色のゲートウェイ ー 御神体 ー  作者: 此花 陽
令和初期編

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23/28

潔癖な牢獄、正義の監視


 時代は「自由」を捨て、「安全」という名の

 相互監視社会へと突入した。  


 令和、初期。


 未知の病への恐怖は、人々の心に潜んでいた

「排除の正義」を劇的に加速させた。


 窓を閉め、息を潜め、

 隣人が「自分たちと違う動き」をしないか、

 デジタルと現実の両面から見張る。


 私は、無人の繁華街を一人歩いていた。  


 ネオンは虚しく光り、

 街は死に絶えたかのように静まり返っている。


 だが、その静寂は平和ではなく、

 濃密な「憎悪」の充満であった。


「自粛していない」

「マスクをしていない」

「あそこは営業している」  


 正論という名の凶器を研ぎ澄まし、

 密告し合う人々。


 その「潔癖な凶暴性」が、

 九地無の里を窒息させるほどの

 負債となっていた。



「……かつての時代は『汚れ』を

 飲み込む者が生贄でした。


 しかし今は、誰よりも

『清くあろうとした者』が、

 周囲の汚れに押し潰される時代だ」

 


八代目の器、


**志乃しの**は、


その潔癖な嵐のただ中で、

静かに窒息しようとしていた___。



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