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潔癖な牢獄、正義の監視
時代は「自由」を捨て、「安全」という名の
相互監視社会へと突入した。
令和、初期。
未知の病への恐怖は、人々の心に潜んでいた
「排除の正義」を劇的に加速させた。
窓を閉め、息を潜め、
隣人が「自分たちと違う動き」をしないか、
デジタルと現実の両面から見張る。
私は、無人の繁華街を一人歩いていた。
ネオンは虚しく光り、
街は死に絶えたかのように静まり返っている。
だが、その静寂は平和ではなく、
濃密な「憎悪」の充満であった。
「自粛していない」
「マスクをしていない」
「あそこは営業している」
正論という名の凶器を研ぎ澄まし、
密告し合う人々。
その「潔癖な凶暴性」が、
九地無の里を窒息させるほどの
負債となっていた。
「……かつての時代は『汚れ』を
飲み込む者が生贄でした。
しかし今は、誰よりも
『清くあろうとした者』が、
周囲の汚れに押し潰される時代だ」
八代目の器、
**志乃**は、
その潔癖な嵐のただ中で、
静かに窒息しようとしていた___。




