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朱色のゲートウェイ ー 御神体 ー  作者: 此花 陽
平成末期

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20/28

虚飾の鏡、視線


 時代は、


 情報の「凶器」から、

 情報の「鏡」へと変質していた。  


 平成、末期。


 人々は手の平の上の四角い画面に、

 己の理想とする「虚像」を映し出し、

 他者からの「承認いいね」という名の、

 麻薬のような対価を求めて狂奔きょうほんした。

 

 私は、若者たちが溢れかえる

 渋谷のスクランブル交差点に立っていた。  


 彼らは一様にスマートフォンを掲げ、

 自分こそが世界の中心であるかのように振る舞う。


 だが、その瞳に宿っているのは、

 他者と繋がっている安らぎではなく、

 誰にも見向きもされなくなることへの、

 底なしの恐怖であった。



「……かつて、人々は神に祈りを捧げました。

 

 しかし今、

 彼らは『画面の向こう側の見知らぬ誰か』に

 魂を差し出している。


 その視線の質量が、

 どれほどの毒になるかも知らずに」



 七代目の器、


 **ルナ**は、


 その視線の頂点で最も美しく、

 最も危うく咲いていた___。




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