デモンズ・ゲート
扉の先は真っ暗な空間が広がっている……。
ギコ「何も……。見えませんね」
入ってきた扉が閉まる音が響く。
ミサ「来るよ!」
ミサの警告と同時に壁際に設置された松明に紫色の火が灯り、当たりが明るくなった。そこは半球状の部屋になっており、学校の体育館よりも広い。
そして奥に見えるのは、またもや『扉』だ。
ナギ「あれ、ですね?」
ミサ「そうよ」
その扉は4m程の高さで、骸骨の肋骨のような模様をしている。両開きで左右の柱には部屋と同じ松明が紫色の火が灯っている。
紫色の火が激しく燃えさかり、ゆっくりと扉が開く。
扉の上にモンスター名が表示された。
モンスター名『デモンズ・ゲート』
ミサ「最初は私の番ね。ナギ! ピナコで援護よろしく!」
ミサが得意武器の青龍刀を装備し、下段に構えた。薙刀のような長い柄の先に幅広の刃が青白く光っている。
ナギ「了解! ピナコ!」
ナギが名前を叫ぶと頭上に小さなドラゴン、イグニス・アーリースの子竜が姿を現す。
ピナコ「ぴえーーーっ!」
開ききったデモンズ・ゲートの中はどこまでも続く闇だ。その中から突如、十数匹の蝙蝠のような羽の生えた巨大なネズミが噴き出した!
ミサ「打掛・雷神!」
ミサが跳躍し、空中を舞うように青龍刀を振り回し、飛んでいる巨大なネズミ数匹を一度に切りつける。そして薙刀の軌跡に追いつくように稲妻がほとばしり、周りのネズミに連鎖するようにダメージと一瞬の硬直を与える。
ミサは青龍刀『九文』のリーチを生かした範囲攻撃に、攻撃命中によって発動するオートスペルで追加効果を与える、一対多を想定した近距離戦闘を得意としている。
長い青龍刀を振り回し、白く長い特攻服をたなびかせながら飛び回る様はとても美しい。
ピナコ「ぴーーーーっ!」
ミサの撃ち漏らしたネズミをピナコの吐く炎で一掃する。
ミサ「よし! ナギ! 扉を狙って!」
ナギ「ファイヤーボルト!!」
ナギが初心者向けの火属性魔法を唱えると、それはとてもそれとは思えない、まるで赤いレーザーが、空中に浮いた火竜の灼眼から20本の軌跡を描き、デモンズ・ゲートに突き刺さる!
ナギの特化したステータスであるDEXは、詠唱とCTを限りなくゼロに近づけるにとどまらず、もともと詠唱時間やCTの短いファイヤーボルトであることも相まって、発動時間をも短縮し、結果弾速を上げるに至っていた。
そしてファイヤーボルトのレベルは10まで上がり、一回の詠唱で10本、左右の火竜の灼眼の効果で計20本の矢、もといレーザーを放つ。
ミサ「クフフフフッ! 相変わらず頭のおかしいファイヤーボルトね」
ミサが戦闘中にも関わらず、思わず笑ってしまう。
ナギ「んもう! ミサさん! 何回見ても笑うんだから!」
ナギは魔法使いという職業ながら、魔法をファイヤーボルトしか覚えていなかった。
ギコ「ナギちゃんの魔法、相変わらずキレイ……」
ギコ(っていうか私暇だなー)
ミサ「20秒! そろそろ来るよ! ギコ!!」
ギコ「あ、はい! ネクロマンス!」
慌ててスキルを発動、黒く染まった地面から数体のスケルトンが這い出る。
デモンズ・ゲートから今度は巨大な手のひらがゆっくりと姿を現した。手はデモンズ・ゲートの闇の奥から伸びている。
人ひとりを簡単に握りつぶせそうな灰色の手は、人差し指を前に突き出し、長い爪の先に紫色の光が収束していく。
ミサ「ターゲットはナギ!」
ギコ「はい! お願い! アンデッドちゃん!」
指の先から、轟音と共に黒い一筋の光がナギに向けて放たれる!
ナギ「わわわっ!」
瞬間! 召喚されたスケルトンがデモンズ・ゲートとナギの間に飛び込み、黒い光を一身に浴びた。
ミサ「これよ、30秒毎に即死級の攻撃がくるわ! 全部スケルトンで受け止めて!」
アイゼンが、3人が全滅するまで1分30秒と見積もった理由、そして200人もの人数を集めなければならなかった理由がそこにあった。
ナギ「うぅ、ありがとう骨ちゃん。一生忘れないからこれからもよろしく」
ギコ(ナギちゃん! 弱冠の矛盾を感じるよ!)




