沈黙を貫く
ベテルの塔、それはまるで壁。塔というからには縦に長い建物だと思っていた。しかしそれはあまりに広大な、四階建ての建物。四階より上は『まだない』。
ミサ「これはね、その階層をクリアすると上が『できる』のよ」
道理で遠くから塔らしきものが見えなかったわけだ。
ミサ「さぁ、いくわよ」
私達3人、アンデッドアンダーテイカーの3人は塔の入り口、巨大な鉄の扉へと手をかけた。
ギコナギ「!!?」
そこは建物の中の景色ではなかった。
外から外に入ったような不思議な感覚に、私とナギちゃんは目を丸くした。
ミサ「各階層はダンジョンになっていて、でもモンスターもあまり強くないし、ピクニック気分で大丈夫よ。付いてきて」
一層はジャングル、二層はうってかわって和風の廊下が続き、三層は荒野が広がっていた。
ミサ「二層はね、レオンベルガーが攻略したの」
ナギ「ミサさんが前にいたギルドですよね?」
ギコ「すごいですね!」
ミサ「なにいってんの! これから最前線の四層を攻略しようってのよ?」
ギコ「そ、そうでした」
そして四層は薄暗く、街灯が並ぶ石畳の一本道だ。悪魔系のモンスターがちらほらと出現するが、出会い頭にミサしんが葬っていく。
暫く道を進むと開けた、広場のような場所にでた。奥には大きく物々しい黒い金属の両開きの扉と………。すごい数の人が集まっていた。
「おやおや、誰かと思えばレオンベルガーのミサさんじゃないですか」
白い重厚な鎧に身を包んだ男が人だかりを2つに割るように近づいてきた。
ミサ「あら、アイゼン隊長。アイゼン・フェッセンも四層攻略に?」
アイゼン「ああ、この後8時から入る予定でね。悪いが今は遠慮してくれないかな?」
ミサ「私達は『今』ここを通りたいのだけれど。予約なんてシステム、ペルグラにあったかしら」
アイゼン「ん?まさか3人だけで攻略するつもりかね?」
ミサ「ええ、そのつもりだけど」
アイゼン「ハッハッハッハッハ! 君は一度挑んで、どういうモンスターか分かっているだろう?」
ミサ「ええ、もちろん」
アイゼン「ふっ、大方情報集めだろう? いいさ、行きたまえよ! いくら情報を集めたって30分後には私たちが攻略してしまうからね!」
ミサ「お言葉に甘えて行かせていただくわ。でもね、私達は3人で勝つつもりよ。」
アイゼン「ハッハッハッハッハ、このアイゼン・フェッセンは今日の為に200人集めたんだ。3人で攻略だと? 寝言は寝て言え! 二層を攻略したレオンベルガーと言えど、このモンスターは無理だ、断言していい!」
ミサ「残念、私はもうレオンベルガーじゃないの、アンデッド・アンダーテイカーの一員よ。そしてアンデッド・アンダーテイカーのマスター『ギコ』がこの四層を攻略するわ!」
アイゼン「なにぃ? アンデッド・アンダーテイカー? 知らないな、お前がマスターか?」
ギコ「……………」
私はミサに言われた通り、一言も喋らずに真っ直ぐ前を見つめ、胸を張っていた。
アイゼン「……眼中になしってことか?」
ギコ「……………」
アイゼン(表情ひとつ崩さないとは……。不気味なやつだ)
ギコ(挑発的な名前ってこういうことですかぁー!(汗))
ナギ(あの人ドラゴン倒してた人だー!(汗))
ミサ「さぁ、行きましょうマスターアンダーテイカー」
アイゼン「まて、そこの小さいの。お前どこかで……」
ナギはアイゼンに笑顔を向け軽く会釈した。
ナギ(取り敢えず笑っとこ)
2つに割れた人だかりの真ん中を、三人が毅然とした歩みで進み、塔の入り口と同じ黒く重厚な扉を押した。
アイゼン「ふん! 1分30秒……お前達の寿命だ」
ミサは扉の奥へと進みながら、群衆を振り返り、不適な笑みを浮かべた。
既に集まっていたアイゼン・フェッセンの100人あまりが3人の背中を見つめていた。
アイゼン「あの小さいの…………可愛い………」
「……隊長?」




