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海月万花2 卵焼きもふわふわ…

左手首は少し痛いが、行きは荷物も軽いので神社に問題なく到着した。

ここから階段をのぼってお弁当を渡してポリタンクに水を入れに行く。

今日は左手首の事もあり無理そうならポリタンク一つでも大丈夫だと言われている。

最悪、右手で二往復すれば二つ持ってこれるだろう。ただ心配なのは………。


「よしっ!このポリタンクにお水を入れるんですね!頑張ります!!」

「無理そうなら諦めるのよ」

「大丈夫だよお姉ちゃん。私、力持ちなんだから!」


空のポリタンクを持って気合の入ったポーズをしている万花ちゃんと気だるそうにアドバイスしている守莉の二人だ。

水を入れて階段を降りるのは力もいるし、慣れも必要だから代わりにお弁当を渡してきてほしいと言ったんだが「それだと助けになれません!」と力強く反論されてしまった。こちらとしては無理して怪我しないかとハラハラとしてしまう。


そんなこんなで湧水の場所までたどり着いた。

万花ちゃんはポリタンクのギリギリまで水をいれて持ち上げようとし、止まった。


「む、むうううううん!!」


全身に力を入れて顔を真っ赤にして持ち上げようとしているが動かない。

守莉はやっぱりね。といった顔でそんな万花ちゃんを見ている。


「分かったでしょう?それで階段を降りるなんて無理よ」

「で、でも…私のせいなのに………」

「それで無理して怪我したら元も子もないわよ。そうでしょ翔琉」


諦めようとしない万花ちゃんに対して、守莉は冷静に説得をする。黙って聞いていたらあなたも説得しなさいと言うように話しを振られた。


「そうだよ。それに手伝いは水汲みだけじゃない。大浴場の掃除とかもあるし、そっちのほうを手伝ってもらいたいな」

「翔琉さん…」

「水汲みはポリタンク一つでいいし、手首も利き腕のほうじゃないから問題なく持てるよ。ほらね?」


そう言って俺はポリタンクを持ち上げた。いつもは両手に持ってバランスを取っていたから実は降りるのに不安があるが、それは気合で何とかする予定だ。

結局、万花ちゃんはとても申し訳なさそうな顔をしながら諦めてくれた。

俺たちはゆっくりと神社の階段を降りていく。


「でも、一人だと不安だったから今日は手伝いに来てくれてありがとう」

「…はい」

「力仕事は仕方ないしそんなに気にしなくても大丈夫だよ」

「…はい」

「ほ、ほら今日もいい天気だね」

「…はい」


あまりに落ち込んでいるので道中に話題を振るが効果はなかった。思わず守莉の顔を見るが肩をすくめて首を振られてしまった。諦めろということらしい。

どうしようかと考えながら降りていたら、いつの間にか神社の入口にたどり着いていた。


「あー、じゃあ一緒にリアカーを動かそうか。下り坂だし片手で動かすのは不安だなあ」

「…はい。え?やります!!」


苦肉の策として提案すると万花ちゃんは顔を上げて復活した。いそいそとリアカーに近づいていく。ちょっと元気になってよかった。二人で横に並んでリアカーをゆっくりと動かす。

いつもみたいに走っていたら万花ちゃんが危ないからそれはしない。

というか、自分で提案しといてなんだけど一緒に動かすと肩が触れ合うぐらいの距離でちょっと恥ずかしい。万花ちゃんはそんなことまったく気にしていないようでリアカーを動かすことに集中しているようだ。ちなみに守莉は隣で「朝なのに暑いわね」とぼやきながら相変わらず気怠そうに歩いている。


「戻ったら掃除ですね!私、掃除は得意なんです!」

「そっか、それは頼もしいなあ」


俺の怪我の事で相当責任を感じているようだ。どうしてそこまで気にするのかとは思うが、気軽に聞いていい話なのかも分からない。ただ、一所懸命に力になろうとしてくれる様子が眩しく感じた。

夏の早朝、たまに吹いてくる涼しい風を楽しみながらのんびりと坂道を下っていく。


「うん、たまにはこういうのもいいかもな」

「…そうかしら」

「お姉ちゃんは朝が弱いから」


雑談をしながら歩いているといつの間にか旅館の前までたどり着いていた。

いつもの場所にポリタンクを置いて朝食の時間だ。


「二人は朝食どうするんだ?」

「はい!私は食べていきます!」

「帰って食べるわ。怪我しないように気を付けるのよ」

「大丈夫。こっからが私の本領発揮だよお姉ちゃん」

「そうだったわね。翔琉も万花の事よろしくね」

「おう、任せてくれ」


意外なことに、守莉は万花ちゃんをおいて帰っていった。掃除も手伝うものだと思っていた。

万花ちゃんのほうは両親の許可ももらっているようで、ご飯を食べて手伝う気満々だ。

そして朝食の時間。


「わあ。このアジフライ、とってもサクサクでおいしいですね。卵焼きもふわふわ…。もしかしたらパンに応用できるかも…」


万花ちゃんは目を輝かせながら朝食を食べている。

俺はその隣の席で八重に事情を説明しながら食事をしていた。

ちなみに八重は学者である父、深塚伸太郎を手伝うためにこの旅館に泊まっている女の子だ。

万花ちゃんを見つけるなり驚いた顔で近づいてきたので簡単に流れを話した。


「なるほどね。良い子だね万花ちゃん」

「そうだよな」

「翔琉、あんたがしっかり面倒見てあげなよ」

「言われなくてもそのつもりだ」


そして朝食を終えた俺たちは、メインイベントである風呂掃除と廊下掃除に取り掛かるのだった。


ティアキンに時間を奪われました。まだ終わってないです。相変わらず書けないです。

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