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魔王になろう(本当の異世界にMMO-RPG要素をぶちこんでみた)  作者: Tand0
Saga 2 ヒストリカル・ブラック
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さぁ狩りの始まりだ!

 派閥(リング)にはいろいろな種類がある。

・主にチャットなどを楽しむ支援系派閥(リング)

・生産やお金稼ぎを目的とした生産/商人系派閥(リング)

そして、

・主に狩りや戦いを楽しむ戦闘系派閥(リング)

だ。


 その中の一つ、最強線(SaikyoLine)は戦闘系、特に対人系を標榜する派閥(リング)であった。


「さぁ、お前らぁ! 準備はいいかぁ。

 大厄災前最後の大戦争だぁ。どうせ公式リリース(だいやくさい)が始まったときには全てが元に戻るんだ。せいぜい歯ごたえがある闘争を楽しもうじゃねぇかー」

「「おぉぉー」」


 ノリで気勢を上げる派閥(リング)メンバー。

 楽しみのために戦闘を吹っかけるくそ集団。いわゆる戦闘厨だ。


「さぁ、来たれ! 我が派閥(リング)が誇る最強の戦士達!


【最強の吸血鬼】アカハ・アーカード

【亡国の狙撃兵】アイル・シーサイト

【花鱗の女騎士】ムサシ・フラワー

【剣劇の盗麗人】エキトー・オーザキ

【濡焔の大魔術】オオミヤ・イズミー

【遊撃の大提督】トダ・コーウェン

【十傑の生産主】オゥーィ・ジュージョー

【癒の継続戦闘】ウ・キーマ・フナワタリ

【安心の 黄色】カーレ・イタシーバァ!」


 リングマスターであるアカハ・アーカードが叫ぶ。


「公式勇者を一撃で葬ったのは誰だ!」

「「我ら最強線(SaikyoLine)!」


「これから【十万雷の剣士】と【妖精皇女】を暗殺するのは誰だ!」

「「我ら最強線(SaikyoLine)!」


「最強の戦闘厨は誰だ!」

「「我ら最強線(SaikyoLine)!」


「あそこへ行けば、『魔王になろう』で伝説と唄われし【十万雷の剣士】ケイン・スラッシュが出張ってくることは間違いねぇ。おまえら気合いれろぉ、戦争だぁぁぁー」

「「おぉぉー」」


 それは戦闘前に行われる派閥(リング)内の儀式。

 その派閥(リング)リングだけでしか行われないイベント。

 指を振るい、旧妖精帝国を指し示す。



「いざ、旧妖精帝国へ!」



 戦いの火豚がまさに今、斬って落とされようとしていた――


・

・

・

・

・


 アリーナが≪瞬間転移≫で飛んだ先にあったはずの妖精帝国の優雅な森は、今や爆炎の炎に包まれていた。


「おのれぇぇぇーー愚かなる人間どもめぇぇーーー」

 息も絶え絶えのアリーナを抱きかかえ皇女は叫ぶ。

 襲い来る人間たちの報はすぐさま皇女の元に届いている。高レベルスキル使い(プレーヤー)だ。

 スキル使い(プレーヤー)でない妖精族(フェアリー)による大地のゴーレムや火豚(ファイヤー)程度ではどうにもならない。スキル使い(プレーヤー)であっても低レベルであればそれは同じ。

 スキル使い(プレーヤー)であり、かつ高レベルなのは皇女のみ。

 このままではどうしようもない状況。


「助けて、王都のみんなをどうか助けて……」

 アリーナが訴える。

 皇女は考えた。特殊なクラスであり、長距離を一瞬で跳躍できる空間魔術師(Sky walker)はこのアリーナただ一人。すでに自在な飛行が可能であった妖精族(フェアリー)たちにとって、空間魔術師ははっきり言って選択の対象外だったのだ。

「アリーナ。頼みがある。スラッシュ皇国へ行き、エアリとケインをこちらによこすのだ。エアリとケインがいればまだなんとか……」

「無理です! あたしはスラッシュ公国に行ったことがない」

「く……、ならばジア姫だ。ジア姫はスラッシュ公国にも行ったことがあるハズ。彼女ならあるいは――。そうだ! ついでにスキル使い(プレーヤー)でない妖精族(フェアリー)を連れて行け。ここでは戦力にはならんが、強制セーブポイント変更はスキル使い(プレーヤー)にしか効かないはずだ! 王都に行った連中を助けられる可能性がある。そしてここよりも安全かもしれん。ジア姫と合流したあと、アリーナは仲間と共に王都へ飛ぶんだ」

「は、はい!」


 アリーナが≪瞬間転移≫で消える。近くの妖精族(フェアリー)を集めにいったのだろう。

 妖精帝国で逃げ惑う妖精族(フェアリー)たち。上空高度に逃げる妖精族(フェアリー)たちはRPGで撃ち墜とされ、赤い花が咲く。ドーン! ドーン! 遠く爆撃の音がここまで響いて来た。

 大地のゴーレムは歯が立たず、並みのファイヤー(火豚の術)では斬って落とされていく。


「私、リカーニャ・キルデワルド四世が出陣する! 剣士エアリが来るまで持ちこたえろ! やつは我々の希望だ。総員、我に続け――」

 皇女は大詠唱の召喚術を始めた。

 妖精帝国をいきなり攻めるような相手。相当の準備がされていることを知りながら――


・

・

・

・

・


「何ですって!」

 アリーナと接触したジアは驚愕する。

 ジアも王都の妖精族(フェアリー)たちに起きている状況や妖精帝国への襲撃の現状については知らなかった。


「速く、速く妖精帝国を、皇女様を助けて! 助けられるのはジア姫。≪瞬間転移≫が使えるあなたしかいないの!」

 確かに剣士であり、旧妖精帝国のスラッシュ領に停戦交渉で行ったことのある空間魔術師はジアしかいないだろう。だが……。

「それなら先に王都にいって帝国側の妖精族(フェアリー)を助けた方が良くない?」

 ジアにはアカウント・バーン(BAN)がある。アカウント・バーン(BAN)は最優先の強制発動。同じ強制発動であるセーブポイント変更に対抗できる唯一のスキルだ。


 だがそれは帝国に対する明確な反逆行為。


 公爵家の令嬢であるジアではおいそれとできない。さらには一度、ジアにはアカウント・バーン(BAN)を一度使おうとしてタッキー(マスター)に怒られたことがある。その基準がいまいち分からない――


「王都には私たちが行きます。妖精族(フェアリー)の精霊魔術魔術を舐めないでください。ジア様はともかくケイン様の下へ! 妖精帝国を助けてから来ていただければなんとか――」

「わ、分かったわ」

 ジアは≪瞬間転移≫で剣士ケインやエアリのいるスラッシュ公国へ転移する。


「では私たちは、王都へー」

「「うおー」」

 アリーナが中心となり、パーティ限度いっぱいの8騎の妖精族(フェアリー)が王都へと転移する。


 奪還戦だ。


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