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魔王になろう(本当の異世界にMMO-RPG要素をぶちこんでみた)  作者: Tand0
Saga 2 ヒストリカル・ブラック
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ようこそ! キルフィアの街へ!

 7日ごとに貴族や豪商の邸宅を襲い、しかし盗んだ金品を貧しい人々に配って廻る盗賊団「ゴールデン・リトリバー」。

 義賊ではない。盗みを働くたびにその貴族の家にいる家臣たちは執拗な惨殺を受け、その後には凄惨な血の海が残されるのみ。貴族や豪商といっても悪徳な人ばかりではなく、確かに悪いことをしていることもあるかもしれないが、それは政治的に仕方のなかったもの――より充実した都市を目指すための拡張工事などで一部地域の住民退去を願ったもの、などが大半だ。

 金品を配るにしてもそれは金ではなく宝石などに限った話であり、足が付きやすいものばかりで、明らかに自らの隠蔽を図るための所業に他ならない。


 そんな盗賊団がこのキルフィアの街に入る。その情報がギルドにもたらされたのは、たった1日前だ。この街にいる貴族は1家しかない。比較的良政とされるキルフィア家だ。

 冒険者ギルドの連中は全面的には頼れない。冒険者ギルドの冒険者達の誰かが盗賊団と係わっていたら、その時点でこの情報が無駄になる。集まったのは地元の衛兵の精鋭1名。そして地元に昔からいて貴族家と親交もあったAクラス冒険者1名と、Bクラス冒険者が2名。そして当主のキルフィア候。彼らはキルフィア家の邸宅に潜み賊を待ち構えていた。



「来たぞッ! まさか本当に……」

「者ども! であえ! であえー!」


 賊はこともあろうことか正門を正面突破して突入してきた。

 それは戦闘力に相当の自信のある表れだ。


「ちんけな悪党がッ。他の貴族や豪商と同じように死ぬがいぃ」

「キルフィア侯は地元に利益誘導する程度の小悪党だ。おまえら賊が惨殺するような悪党とは違うはッ」

「は。ほざけ! 冒険者風情がッ」

 首領と思しきやせぎすの男がAクラス冒険者を相手取る。

 Aクラス冒険者は相当な実力者だが、首領の斬りかかりに反応できず、あっさりと倒される。

「まさかッ」

「ナカスさんがこうもあっさりと倒されるなんて」


 動揺する衛兵。そこに首領以外の賊がなだれ込む。

 だがその流れを一瞬で止める衛兵がそこにいた。


「よぅ侵入者。まさか『さいてー』に選ばれたスキル使い(プレーヤー)がこんなちんけなことに手を染めるとは思わなかったぜ」

 Aクラス冒険者があっさり倒されたにも係わらず動揺を一切みせず、なだれ込んだ賊を一瞬のうちに切り捨て、さらに躍り出る衛兵。


「く。スキル使い(プレーヤー)かッ」

「まさか自分だけとは思うなよな!」


 斬りかかる。剣同士が交わり激しい火花が飛び散った。

 首領はたじろぎ後方に飛び去る。その距離5m。それを一瞬でこなす脚力。


「くッ」

 首領は剣を左手に持ち替え、敵を破壊するスキルを放つべくアイコンをクリック。

 技が発動すれば人などひとたまりもなくうち倒せる首領の最強技。盗賊職:投剣。

 対する衛兵は両手剣。スキルを使うのであれば片手を離さなければならない。

 取った。首領は左手を衛兵の首めがけて勢い良く振りぬこうとして――それができず硬直する。


「ここは、キルフィアの街だ!」

 衛兵の咆哮。

 それだけで首領は動きを止め、投剣することができずバランスを崩し倒れる。


「ま、まさか詠唱? 詠唱でスキルを飛ばせるというのか?」

「――さぁ、お前の故郷をここにしてやろうかぁ。ああん?」

「一体なにが……」

 首領が何が起こったかわからず恐慌状態に陥る。

 恐慌状態に陥ったせいでさらに身体の動きが鈍り、数秒完全停止に移行する。

 それは賊を撃退するには十分な時間だ。


「いまだ! やれ! 斬れ! 切捨て――」

 後方にいたキルフィア侯が叫ぶ。

 首領に抜刀した衛兵が群がり、そこで決着した。


「俺ぁ、単なる選択ダイアログを出してやっただけだぜ。なんたってほら、俺は単なる衛兵だからな。もはや聞いちゃいねぇか……」


 衛兵達によりぐしゃぐしゃと首領に刀が突き刺さる。


 首領のメッセージダイアログには、

『ここはキルフィアの街です。各人が故郷とする場所(セーブポイント)を変更しますか?

  (Y/N)』

というメッセージが浮かんだまま止まっていた。



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タッキー「ひゃー、これで10箇所目か……。めんどくさいねぇ」

GM3 「でもぉー。公式オープンするんだったらセーブポイント変更するNPCさんとかぁ。回復薬を売る商人のNPCさんとか絶対必要なのです。それぞれの街とかに」

タッキー「それでジアちゃんに≪イベントホライズン≫スキルでセーブポイントを配って貰っていたんだね」

GM3 「そうなのです」

タッキー「それにしたってめんどくさいよなぁ。これ公式オープンまで続けるん?」

GM3 「タッキーから駄目だしとか来なければそうなるねー」

タッキー「うーん。ジアちゃん配布で地味に活躍しているし、各地の町を廻れて楽しそうだからいいんじゃない? やっぱりジアちゃん楽しませないと。暗殺対策で護衛とか酷いことになってるけど」

GM3 「そりゃー、今や妖精帝国との架け橋となった時の人で、名目も旧妖精帝国からの視察なんだから、警備は酷いよねー」

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