公式勇者は2度死ぬ
「あわわわわー。タッキーとりあえずこっち見るなーなのです!」
ようこはタッキーの顔を無理やり後ろを向かせる。
そしてクローゼットから女ものの下着や服を取り出した。
「じゃぁジアちゃんこれ着てね」
「って、おい、どうしてそんなものがうちのタンスの中にあるんだよ」
「ん? ジアちゃん用」
「親に見つかったらどうするんだよ」
「タッキーは女装が趣味。終了~♪」
「まてぃ!」
だが、タッキーはこのとき気づかなかった。
今盛大にフラグを立てたことを。
「おぃ。健! (タッキーの名前)。ちょとお前うるさいぞ! 何をやっている」
そこへ、休日に突然帰って来たタッキーの父親がやってくる。
タッキーの部屋のドアが開かれ、その光景を見られてしまった。
「お、おまえら……、これ、どういうシチュエーションなんだよ」
やばい。
親バレした――
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「とにかく! キミはまず服を着る! それから健! お前はこっちに来なさい」
親に本名を呼ばれ、自室から連れ出されるタッキー。
「で? あの娘は健、お前の彼女か?」
「え、えぇと……」
「どうも最近うちに知らない人物の出入りがあると思ったから、健には内緒でひさびさに休日に帰ってこれかよ。それで彼女らは誰かね?」
最近家に周一で出入りしているのはようこだ。
それをなんらかの手段で親が感づいたのだろう。
部屋にようこの長髪が落ちてていたとか?
大雑把な父がそんなことに気づくことは無いと思うのだが――
「あー、うー、お、お父様。あのーえーとー」
ようこはうろたえてまともに喋れない。
「で、女の娘2人も部屋に連れ込んで健は何がしたいんだね。いっぽうは中学生で、いっぽうは外人さんとか、しかも外人さん半裸とか……。うちの今の上司とかなら『この娘さんと健の仲を取り持つため、人肌脱いだ』とかいっちゃうんだが、キミもまさかそうじゃないだろうな?」
「あ、今フラグ立てましたね。お父様」
だが、ようこの立ち直りは速かった。
「え?」
「とりあえず、おうちにTELしたいんだけどいい? お父様。それから服きせるからちょっと2人ともそっち向いてー」
いつまで見ているんだ。と怒るようこ。
男性陣を追い出すと、どこかに電話を掛ける。
「あー、緊急事態。緊急事態。ロロたん助けて……」
とかいう声が扉越しに聞こえる。
確かロロたんって、魔王ロロ・アスター・イェンヘーの中の人だよな。
確か中身は『ホンモノのお姫様』とか。
何がおきるか若干怖いんだけれども。
だがその恐怖の前に隣にいる親をなんとかしないといけない。
「で、どんな知り合いなんだね。学校の娘じゃないだろ?」
「えーっと、ネットの知り合い、みたいな?」
「だいぶ仲が良いようだが? どのくらいの付き合いなんだ?」
ここで2人とも使い魔にしていますとか言ったら親にぶっとばされそうなので、タッキーは当たり障りのない返事を繰り返す。
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「不純異性なんたらはいかんが――、大事にしてやれよ?」
「それはもちろん」
「お父さんがお前の頃はなぁ――、……まぁ過去の話はよそう」
タッキーの父親の過去話は何か踏んではいけない領域のようだった。
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「タッキー、もう入っていいよー」
ようやくジアが服を着たらしい。
タッキーが自分の部屋に入ると、清楚系の美人な金髪巨乳さんが、知らない女子高の制服を着ていた。
「(で、僕たちどうすればいいのかな……)」
「(とりあえず今日は帰った方が良いんじゃないの?)」
横目で自身の父親の機嫌をさぐるようことタッキー。
「(私、あの後どうなったか凄く気になるんだけど……、リナとか心配で……)」
「(いや、ゲームの話はいいから……、いまはこの修羅場を回避しよう。だいたいジアちゃんのせいなんだよ。いつもいつもなんでそんな捨て身なんだよ。襲っちゃうよ)」
「(う。はい……)」
「(いやいや、襲うのは後にしよう)」
「(後ならいいのかよ)」
「と、とりあえず、今日のところは失礼しますねお父様。タッキーとは――ピ~――とかまだなので、お父様と会うのはまたの機会に――」
これ以上ようこに話をさせると何かトンでもない方向に行きそうだったので、叩いて止めた。
「それでは失礼します。それからこのままじっとしているとロロたんいつ踏み込んでくるか分からないし……」
「と、ちょっと待て。さっきから口にしている、ロロたんというのは、まさかロロ・イェンヘー・アスター姫のことではないだろうな?」
「え?」
「え?」
「え?? 親父なぜ知っている?」
「あー。いや……、なんとなく……」
だんだんと顔が青くなっていく親父。
「あー。そうだ。聞かれたらロロたんにお父様へ伝言を伝えておいてくれって。『意趣返しだ』って。何のことだろうね?」
「健! お二人を早く送っていくのが良いんじゃないかな。今すぐ!」
親父が慌てふためく。こんな親父を見るのはタッキーは始めてだ。
「うぃー」
タッキーは素直にそれに従った。
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「しかし親父、顔真っ青にしていたんだがあれはなんだったんだ?」
制服を着たジアとようこ、タッキーの三人は家を出て駅に向かっていた。
「いやねー。ロロたんがさー。僕がタッキーの使い魔になる、って言ったら、じゃぁとりあえず親抑えておくかって、タッキーんとこのお父様の商会にお父様を名指しにして10億くらいの随意契約ぶっこんで――」
「おぃ、おまえらなにやってんだよ運営」
「いやー、そのときにいろいろ面白エピソードがあるんだよ。ネタだしするの苦労したんだ。『一国の姫様押し倒し伝説事件』とか。『赤ちゃん言葉武勇伝』とか」
「おぃおぃ、人の親でなにやってるんだよ」
「しかし――、こちらの世界は凄いですね……」
いつもの言い合いをようことタッキー。それにジアが口を挟む。
「あれ? ジアちゃん。まだロールプレイしているの?」
「家とか、窓とか技術力が凄い――」
「そりゃまぁ日本だし技術力はすごいけども」
「それにこの馬車? 馬もないのに動いて……」
「いやいや、ただの自動車じゃん。本当に凄い自動車っていうのはホラそこの黒塗りのリム○ンみたいな……」
タッキーが指差した黒塗りのリム○ンがタッキーの正面に止まる。
「え?」
そして後部座席のドアが開かれる。タッキーはそこにかなり見たことのある顔を見つけた。『魔王になろう』で思い切り見たことがある顔だ。画面上の人物は本人そっくりだった。
「魔王ロロ……」
ジアが警戒した。
「やぁジアちゃん。そしてタッキー? 始めまして。まずは乗って?」
こんなのに乗って連れて行かれたらタイヘンなことにしからならいと思うのだが。
いったい、ロロは何物なんだろうか?
と話している間にようこは前部座席にさっさと乗り込んでしまう。
「さぁ……」
急かされるように言われ、仕方なくタッキーはリムジ○に乗り込んだ。




