↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
42/53

恋人を討ち殺したあの日

プチ残酷なシーンがあります(意味:戦闘シーンがあります)

 ヴァリエール公爵家。


 その令嬢である、プロト・ヴァリエールはジアが次々に有力王子を手玉に取っていくのを横目で睨み付けるような勢いで眺めていた。


(スルターナ公爵家め。4公爵家の中では最弱なくせに。ますますいまいましい……)


 本来ならあの場に立っているのは自分であるはずなのに。

 なぜこうも差がついてしまったのか。


 策謀のすべは父より授かってはいるが、満足に使いこなせていない自分。

 それを先日も父から指摘されたばかりだ。


(ちょっと、少しあのスルターナの女をやりこめてきなさいよ)


 プロト・ヴァリエールは近くの部下に視線を送る。


 だが部下は戸惑うばかりだ。


 ジアが最初に話しかけたのはネーム・ゲイード家の嫡男である。

 格だけで判断すれば次に話し掛けるのがプロトの部下ではあまりに釣り合わない。

 合うとすればプロト自身だがジアのことが気に食わず、自分が行くのはなんとなく躊躇われた。

 スルターナ家にはジアの他、ジアの父であるワリィ・スルターナもこの場には来ており、プロトが何かを仕掛けるのであればワリィと接触するという手も実はあったのだが、プロトはジアだけに着目しており、その手は思い浮かばなかった。


(ならば……、外部のものを使うか?)


 ヴァリエール公爵家は『何か』あったときのため用に子飼いの冒険者を給仕として忍ばせている。『何か』を子飼いの冒険者に起こさせる、ということもありか、と考え始める。彼らはプロトの部下ではなく、ヴァリエール公爵家に仕えている者なので、命令して動くかは分からないが。



(飲み物に下剤でも飲ませて退場させてみようか……)



 ほとんど嫌がらせでしかない行為で、ばれたらどのようなことになるか分からないプロトではなかったが、そこは公爵家。揉み消すことくらい簡単なことだ。程度の意識でいた。


 いけ、と目で合図を送る。だがその女給仕は――女性の給仕の格好をした盗賊の冒険者は――、プロトに近づくとプロトの脇腹をいきなり刺した。


「「キャー」」


 あがる悲鳴。

 崩れ落ちるプロト・ヴァリエール。

 流れ落ちる血。

 騒然とする舞踏会。

 刃物を持った給仕と、崩れ落ちたプロトを中心に人が離れ空間ができる。


「何ヤツ!」


 あわてた衛兵がプロト・ヴァリエールを刺した女暴漢を取り押さえようと動く。


「動くなぁ――。動けばこいつを殺す!」


 暴漢がプロトに蹴りを入れた。

 プロトは苦痛の声色をあげて苦しむ。

 それを見た衛兵の動きが止まる。

 明らかに致命傷だ。これからさらに打撃を与えれば確実に――死ぬ。


 女暴漢は左手の短剣をジアに向けて叫ぶ。


「勇者ジア! 聖戦(PVP)モードを宣言せよ! さもなくばこやつを直ちに斬る!」


「なぜこんなことを! いきなりこんな無体ことをするなんてポイント配布しませんからね!」


「ならば暗殺するまで――」


 女暴漢はプレーヤーだ。

 ステータスウィンドウが目に写る。


『名前:アカハ・アーカード

HP:534/674

MP:18/50

SP:208/248

種族:人間

性別:♀

職業:盗賊 (Attack burglar) Base.Level.20 Job.Level.20

ジョイント:吸血鬼 Lev.10

称号:派閥:最強線リングマスター』


 女暴漢――アカハ・アーカードは指を鳴らす。


 それが合図であったのであろう。

 同時に窓ガラスを壊す音が立て続けに響いた。

 窓から侵入する黒の迷彩服の男達。

 目や手など、どこかが欠損した異業の者達だ。


 刹那、ジアの侍女であるリナは貴族達を下がらせると持っていた手提げカバンから小さな生き物を取り出した。


「妖精族(フェアリー)だと!」


 コーリン・ウェイバーが今しがた話していた妖精族(フェアリー)の姿を見て驚く。

 異業の者達に対応すべく妖精族(フェアリー)は炎の魔術で男達を焼き払った。

 しかし、それにも係わらず突入を図る異業の者達。


「≪聖戦(PVP)モード!≫」


 リアは犠牲を出さないようPVPを宣言する。

 だが、それは新たなる殺戮の始まりを示していた。


「これで心おきなく殺せるなぁぁぁ!」


 女暴漢はプロト・ヴァリエールにさらなる蹴撃を加え一撃で仕留めた。

 光となって消去るプロト・ヴァリエール。


「だからなぜこんなことを! 垢BAN(アカウント剥奪)しますよ?」


「さぁ、なぜだろうなぁ」


 不敵に笑う女暴漢。

 侵入した暴漢達は笑いながら焼き払われていった。



 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


タッキー「あー、これきっとさー」


GM3 「んなぁに? たっきー」


タッキー「このアカハちゃんって以外と良い娘だよねぇ」


GM3 「なんでよ? さすがにこれからその感想文は変じゃね?」


タッキー「これって、PVPモードにして殺されると欠損部位とか部位復活するとかいうオチじゃね? 普通の回復じゃできないし」


GM3 「あー。なるほど。前回の戦争のときにそんなことがあって気づいたのかもー」


タッキー「なら最終的に自身含めて全滅狙いか? なら全身爆弾背負っているとかないよね? 盗賊職って自爆スキルある?」


GM3 「自爆はロマンだねー。盗賊職 (Attack burglar)にはないけど生産職 (Worker Holicer)なら作れるよ?」


タッキー「俺がこいつの魔王だったら絶対やるよね自爆(それ)」



 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・



「リナ! 彼女を攻撃してはダメッ! ここで自爆するつもりよ!」


「くッ」


 女暴漢に飛びかかろうとしたところをすんでの所で回避し横に反転するリナ。


「ばれたか」


 舌打ちする女暴漢。

 ジアは女暴漢を接触せずに止めるべく公式勇者のスキルメニューから、アカウント・バーン(垢BAN)を選択する。


『アカハ・アーカードのアカウントを剥奪(BAN)しますか? (Yes/No)』


 そしてYesに手を伸ばそうとして――


タッキー「おいやめろ!」


 タッキーに止められた。

 びくりと手を止めるジア。


タッキー「PVPモードで倒されそうだからって、垢BANするとか運営としてどんだけ心が狭いんだよ!」


 いままでにない強い調子で言われジアの手は震える。

 人が、死んでいるのに――

 ショックで立ちすくむジア。


「来ないのか、では更なる手を打とう」


 パチン。

 さらに指を鳴らす女暴漢。


≪The School of the Unlimite of the Multi-Archer ……≫


 どこからかスキル詠唱の声が聞こえる。

 あわせて奏でられるJob.Level.50以上で約束された処刑執行用の攻撃BGM。


 それは、弓兵スキル最終奥義。

 その名をロケット(Role)ラン(Playing)チャー(Game)


 唐突にジアの右下にウィンドウが開く。

 視界外からの遠隔攻撃が行われた際に表示されるウィンドウだ。

 映し出される赤のトレンチコートの弓兵。姿を隠す気あるんだろうか。

 続く発射音は聞こえないが弓兵から煙とともに何か(RPG)が射出されるシーン。

 何か(RPG)は舞踏会の開場に一直線に飛ばされてくる。もう避けようがない。

 このウィンドウが表示されるとき、大抵の場合は死がその者に訪れるのだ。


 発射された弾道は女暴漢、ジア、全てを巻き込み周囲を粉砕した。


タッキー「あれ? もしかしておれのせいでやっちまった?」


GM3 「うん。タッキーのせいだね。タッキーの。怒鳴ることないじゃん。ジアちゃん硬直してなかったら≪瞬間――」


 そこでようこの手が止まる。

 後方で聞こえる、どさりという音。


「まさか……」


 タッキーは振り返って見てしまった。

 全裸のジアの姿を――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。