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おぉ勇者よ。死んでしまうとは情けない

(残酷かもしれない)表現があります。

 そもそもジア姫は無防備すぎた。

 復活した魔王ロロ・アスター・イェンヘーが手渡した空中庭園。

 その場所に始めて来たとき、執事長は度肝を抜かれた。


 一国に匹敵するほどの土地の広さ。

 いったいどれだけの人を住まわせることができるだろうか。

 どれだけの農作物を育成でき、どれだけの富が生まれるのか。

 他国から侵略される心配のない、敵となる魔族もいない、安全な世界。


 執事長は空に浮かぶ大地を見渡した。

 そう、まさに≪秘境≫グンマーは異世界だ!


 ジアは、そのような偉大な存在である空中庭園≪秘境≫グンマー≫を、あろうことかぞんざいに熱かった。執事長にその庭園への侵入のキーとなるアイテム(かぎ)を簡単に手渡し、「管理は頼んだわよ」とのたまったのである。


 まったくもってお嬢様の所業といわざるを得ない。

 この新世界(グンマー)にどれだけの価値があるのか、このジア姫はまったく、これっぽちも理解していないのだ。

「さすがにこれだけの土地です。一人では難しいと思われます。お姫様」

と返せば、ジアはさらにアイテム(かぎ)を執事長に無防備にもいきなり十本も手渡した。


 1本あればその所有者は何人でもそのグンマーに人を送り込むことができる。そのかぎ(たから)をだ。

 そう、それは新たにグンマーで働かせるための労働力を簡単に輸送できる手段の要となる。


 その鍵は魔法的なもので出来ているのだろう。

 見た目はもすごいくごつい、形状だけはかぎに見えるものであった。

 それを天に掲げ「グンマー」と叫ぶだけでその地へと移動できる。移動もかなり便利だ。


 ジア姫はその複製が可能のようだった。

 そしてその複製ができるのはジア姫のみ。

 彼女がいなくなればだれも鍵は作れない。


 そう、彼女がいなくなれば侵入者等の問題がなくなる。

 独占できるのだ。この≪秘境≫グンマーを。

 それらは直接、ジア姫から聞いた。


 これを使えは帝国の間者であった私でも――

 邪まな考えが執事長の脳裏に浮かぶ。


 魔王は一体、何を思ってジア姫にこの新世界(グンマー)を渡したのか。

 あるいは魔王はこの騒動を見越して新世界(グンマー)をジア姫に渡したのか――



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 ジアに忍び寄る影。

 ジアの屋敷のマスターキーを持つ執事長。


 ジアの寝室の扉をマスターキーを持って開ける。

 男は音を立てないように慎重に扉を開いた。

 マスターキーをしまい、代わりに料理用の短刀を取り出す。


 ジアを起こしてはならない。


 今なら起こしたとしても言いつくろうことは可能だ。

 だが、これから取る行動時に起きられたら面倒だ。

 ジアの使う魔法はいまだどんなものか知らない。

 ジアが言うには空の属性の魔法だそうだが、そのようなものは執事長はそれを知らなかった。

 詳しく聴きだそうとしたが、公爵家のヒミツと言われてしまえばそれ以上は聴きようがない。

 もし、ジアが目覚め反撃されたら執事長が初見でそれを回避することはできないだろう。執事長もそれなりに体術(Tai)を習得しているが、なにしろ魔王を倒すほどの力だ。

 それゆえの慎重。

 だが慎重しすぎだったのかもしれない。

 ベットの上で仰向けに眠る姫は、これ以上なくぐっすりと眠っていた。

 可愛い寝顔だ。だがその寝顔もあと少しで見れたものではなくなる。

 執事長は短剣を振り上げる。それでもジアは起きない。

 悲鳴をあげさせないよう、執事長は左手でジアの口を抑えた。


 そして心臓を一突き。


 鮮やかな鮮血がジアの服を汚す。

 それはベットに広がっていった。

 短剣は抜かない。

 抜けば血が吹き出て返り血を浴びることになるかもしれないからだ。

 そして証拠として残しておいた方が後々楽にもなる。それはリナが使っていた料理包丁。

 執事長はしばらくして確実に息の根が止まったことを確認し、瞼を開いて瞳孔が完全に逝っているのを確認した。


「ふははー。ついに殺った。殺ったぞ。俺が。この俺が、新世界(グンマー)の神になる!」


 ジアは執事長によって殺された。


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 ジアは死んだ。


 だがエアリやエンパイヤ帝国軍兵士達が死んだ時のようにすぐに光となって消えたりすることはなかった。

 もしすぐに光となって消えればジアを殺した執事長は気づいたかもしれない。


 各人が故郷とする場所(セーブポイント)。


 プレーヤー(スキル使い)は殺されても簡単にセーブポイントで復活することを。

 ジアのセーブポイントはようことタッキーが召喚した魔法陣のあった場所に移動していた。



 メッセージウィンドウに流れる黄色いメッセージ。

 これがもし見えているのだとしても危なかった。

 だが、ただの現地人(NPC)である執事長にそれが見えるはずもなかった。



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ジア・スルターナ・スクールはHP0により行動不能になりました。


セーブポイントに戻ります。

[警告]セーブポイントに戻れませんでした。

[警告]セーブポイントは異世界に指定されています。

[警告]装備およびアイテムは持ち込めません。

あと30分でセーブポイントへ強制帰還します。転移停止には承認が必要です。

あと25分でセーブポイントへ強制帰還します。転移停止には承認が必要です。

あと20分でセーブポイントへ強制帰還します。転移停止には承認が必要です。

あと10分でセーブポイントへ強制帰還します。転移停止には承認が必要です。

あと5分でセーブポイントへ強制帰還します。転移停止には承認が必要です。

あと1分でセーブポイントへ強制帰還します。転移停止には承認が必要です。

あと50秒でセーブポイントへ強制帰還します。転移停止には承認が必要です。

あと40秒でセーブポイントへ強制帰還します。転移停止には承認が必要です。

あと30秒でセーブポイントへ強制帰還します。転移停止には承認が必要です。

あと20秒でセーブポイントへ強制帰還します。転移停止には承認が必要です。

あと10秒でセーブポイントへ強制帰還します。転移停止には承認が必要です。

全ての装備品を失いました。

全てのアイテムを失いました。


セーブポイントに強制帰還しました。



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