出会って5分で使い魔契約
ひよしの地――
そこは雷精霊群の技術基盤機構のたまり場だ。
七日野ようこを筆頭にGMの権限を持った複数の人材が集まる酒場。
「でさー。ロロたん。そのときタッキーがさー」
その酒場で、ようこは見事に飲んだくれていた。頬が朱色に染まっている。
――ちなみにようこは容姿は中二だが年齢は100歳Overであり、そもそも妖狐であって人間ではない。
法律? 大丈夫だ問題ない。
「って、またタッキーのことなの? ようこってば最近さぁー、人間にのめり込みすぎなんじゃない?」
そのようこの相手をするのは魔王ロロ・イエンヘー・アスター。
ちなみに飲んでいるのは日本妖怪にあるまじき所業、外国産黒ビールギネ○である。
いや、ロロはもともと外国産妖怪だが。
二人とも2パイント以上すでに飲み干しており、かなり出来上がっていた。
「えー。いいじゃない。かわいいよタッキー」
「だから、なんでそんなにタッキーのことが好きなのさね。
もしかしてようこってば既にタッキーと使い魔契約とかしてるんじゃないでしょうね?」
「え?」
「え??」
驚きで目が見開かれるロロ。
「えへへー」
はにかむ笑顔のようこ。
「まさか……。ようこってばやっちまった?」
「出会って5分で使い魔契約しました何か?」
ようこはいわゆるドヤ顔で言い切った。
「――あきれた。
ようこってば何考えているのよ。というかタッキーが鬼畜?
契約はすると恒常的に魔法使いを好きになっちゃうんでしょ? そんなことして……」
「いやぁ。だって運命を感じちゃったんだよ。ベートーベンのBGMが聞こえたんだよ」
「だからそこでベートーベンはないって。じゃじゃじゃじゃーんってどんな運命だよ。そこはせめてもっと甘い系のBGMにしようよ。日本の曲とか知らないけど」
「えーっとほら。僕は普段は魔王資格認定の仕組み提供者としてお願いされることはあっても、俺の使い魔になってくれーて言われたのってなくて、なんだか新鮮な気がしたのです」
「だからってさー。あぁ、それで『魔王になろう』で公式勇者の魔法使いとかエコヒイキしてるわけ? でも、だとしたら勇者をこっちに召喚したのは私は失敗だと思うな――」
「なんでよぉ? 面白いよね? おかげでタッキーと継続して付き合ってられるしぃ、毎週タッキーの家に突撃してるんだよ、僕」
「付き合うだけだったら別に召喚までする必要ないじゃない」
「いやー。あそこはインパクトが欲しくって! つかみ肝心よ? つかみ!」
「ふーん。で? それで掴んじゃって、もしタッキーが勇者――ジアちゃんだっけ――に本気になったりしたらどうする気ぃ?」
「いやだな。だって勇者って結局2次元じゃん? タッキーも本当に異世界から召喚したなんて考えたりしな――」
「そこで勇者召喚が問題になるわけ。タッキーは実物目にしているんでしょ? だったら2次じゃなくてジアちゃん3次元の人だってタッキー思うよ。『魔王になろう』の画面越しのジアちゃんじゃなく、目の前のジアちゃんを見て、きっと彼はこう思うはず。
『ジアちゃんはこっちの世界のどこかに中身がいて、グラフィックはモーションキャプチャーかなにか。受け答えは彼女がしているはず』
って」
「う、うわぁぁぁ。それ困るぅぅ。なんとかしてだまくらかさないといけないのです」
「無理だと思うナー。タッキーが『本当のジアちゃんに合わせろ』とか言ってきたら黄色信号だね」
「そんなことになったらマジ泣いちゃうのですぅ」
「あと、逆方向も気をつけた方がいいよ。ジアちゃんがタッキーに本気になったら、こっちの世界に≪瞬間転移≫で飛んできちゃうから。あっちと行き来」
「うわー。どうしよう。ロロたん助けて――」
「(あきれている……)えーっと……。手としては――」




