決戦の時(後編)
多少グロイ表現があります。
GM3 :「いやぁ。ぜんぜんダメだったのです」
タッキー:「そらまぁそうだろう。だってやっていることはPVPモードにしただけだもん」
GM3 :「後はメイドのリナちゃん vs 王子ケインの戦闘だけなのですね」
タッキー:「というか、リナちゃんとのレベル差酷くね? 無理ゲーじゃん?」
GM3 :「えーと、どうなんだろ? タッキー発案のあの武器を渡しておいたから……」
タッキー:「あぁ、あれか……(遠い目」
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≪次元の壁≫
その空間に広がる透明なる魔法の壁は、どのような攻撃であっても防ぐことができる。
ジアは魔王ロロ・アスター・イェンヘーの熱核爆撃弾を防ぎ切った。
しかし防ぎ切ったのはジアの周囲だけだった。
大地は一瞬のうちに焦土と化し、草木などの構造物は跡形もない。
だがジアは安堵した。
人や妖精族がいた場所からはたくさんの光が煌き、各人が故郷とする場所に帰っていく光景が見えたから。
「我が攻撃を防ぎ切ったか。さすがは勇者だな」
不意に耳元で声を掛けられ振り返るジア。
背後に魔王ロロ・アスター・イェンヘーが立っていた。
「攻撃しようとしても無駄だよ。
空間魔法の最終奥義は次元の壁からの『壁ドン』。
壁の内側に入ってしまえばもう、使いようもない」
空中にむなしく浮かぶ透き通る、透明な魔法の壁。
壁としては優秀だがこうなってしまえばもう攻撃を防ぐことも、ましてや攻撃することもできない。
「さて、勇者を倒した報酬として我はケインに何を望もうか……」
魔王ロロ・アスター・イェンヘーは左手を振り上げた。
それを振り下ろせば一瞬でジアは死ぬ。
実際には右手でスキルをクリックすれば死ぬ。
「ふふ……」
だがジアは小さく笑った。
「何がおかしい!」
小馬鹿にされたと感じて魔王ロロ・アスター・イェンヘーは怒る。
「≪瞬間転移≫」
ジアは一瞬にして姿を消した。
(逃げたか?)
魔王ロロ・アスター・イェンヘーは気配感知スキルでそれが間違いだったことに気づく。
ジアが瞬間転移したのは空中に浮かぶ魔法の壁の向こう側――
「しまっ……」
ジアは自身が落下するのに併せ魔法の壁をドンと叩いた。
地面と壁の間の空間が一気に埋まる。
魔王ロロ・アスター・イェンヘーは完全に挟まれた。
再現するゴブリンと同じ状況。
広がる血の赤い大地。これが、壁ドンだ。
魔王ロロ・アスター・イェンヘーは死んだ。
「さて――、停戦交渉とかどうやればいいのかしら?」
エンパイヤ帝国軍がいた場所にはもう、ジアしか立っていなかった。
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手を出した者は瞬殺された。
メイド服に血で塗れた短刀。
返り血を浴び、凄惨な雰囲気をまとうリナ。
スラッシュ王国軍に単身乗り込んだメイドを誰も止めることができない。
そうこうするうちに道が開かれた。
それは国王ケインによる指示だ。
やがてリナは軍の最奥でケインと相間見える。
ケインもすでに抜刀し、油断なく身構えている。
「Level.40か……。なかなか腕が立つな。姫さんの護衛さんよ?
でもお前、俺らの間者じゃね?」
「えぇ、ですが因果なもの。姫にはまだバレておりませんので。
バレるまでは指示に従うものでしょう?」
「は。ぬかせ (姫にはステータスバーの称号が見えているだろうに……)」
「それに本国の上司から指示もありませんし。
といいますか。上司が内乱で命を失ったようですね。
確かに、そんなに良い上司ではありませんでしたし、なぜそんなことが起きたかも知っています。
仕方がないと割り切らないといけない。
えぇ、割り切りますが。
私ことリナはこう言いたいのです。
『一発殴らせろ』と。」
レベルなりだが最大の奥義を放つ気だ。
リナは剣を捨て身構える。
ケインは知っている。
それはリナが愚かにも剣を捨てたのではなく、アイテムボックスから強力な何かを出すための予備動作であることを。
ならば、こちらかの応答は一つ。
剣士スキルの最終奥義を持って屠るまで。
ケインは空間の何かに触れた。
『竜破・魅核凍陣!!』
巻き起こされた黒き波動。
城を破壊したケインの攻撃がリナに迫る。
リナは慌てず1本の鈍器を取り出した。
白銀に輝くその武器は、戦場に散っていく儚き夢の象徴。
毎週土曜、およそ1時から2時に放送され続け、関西地方の人々の心に染み付いた伝説の武具。
聖なる白き紙を7つ折り半。柄部を黒き包装で抱く。
異世界工業規格―― Z8141:2001-5603――
「約束された鉄板の笑い」
一閃。
その武器は、ケインの攻撃を一撃で断ち切った。
切り裂かれる黒き波動。
『『あははは…』』
付随するおばちゃんたちの呪いに似た笑い声。
その重なりあう不自然な笑いは直接打撃を受けた物にお笑いキャラへの人格変更を行うのだ。
あの攻撃を受けたら……。ケインは戦慄する。
あの攻撃を受けたものはこう言う他ないのだ。
「なんでやねん」
と。
ケインは警戒し、後退しつつ剣を新たに正眼に構えなおした。
あの攻撃には後の先では勝てない。
先制あるのみ――




