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「ラーナ。さ、お兄ちゃんとお父さんと一緒にノアの散歩に行こう?」
「はぁい、お兄ちゃん!」
「走ったら危ないぞ、ラーナ」
時が流れるのは早く、ラフリナーテが産まれて6年、私も小学校6年生となった。
来年度からは魔法学園に行くことになっている。
魔法学園といえば、アリエルは毎年の夏休みを私達と過ごしている。
ラフリナーテにも私にもデレデレである。
オバデレ。新しいジャンルだ。
それでも、お母さんは別格らしく、お父さんと相変わらず犬猿の仲で目が合えばケンカしている。
実は仲が良いだろ、二人とも。
ラフリナーテはお兄ちゃんっ子になった。
甘えさせ、お菓子を与え、教え、遊び、尽くしたのだ。
人見知りと猫被りだが、私や家族やメイドちゃんずの前では元気な可愛い、ちょっとわがままな女の子である。
それでも私好みの賢い子だ。
将来はお兄ちゃんのような人と結婚する!と言われれば、私も没落するというもの。
チョロいと自分でも思う。
氷魔法は、マリちゃんと改良を重ね、以前作った水鉄砲から魔法で凍らせた弾を発砲させることが出来るようになった。
今はどうすれば弾がより早くなるのか研究している。
探求心はイスタルトの頃から変わらないようだ。
知らないことを学べるのが楽しい。
そんな楽しい異世界生活を送っている私だが、悩み事が多々ある。
身長も体も変わらず小さいのはもちろん、恋愛の面で悩んでいるのだ。
貴族だから戦略結婚を、というのは私には当てはまらないのだが、前世の記憶で縛られて、誰も好きになれない。
親愛や家族愛はわかるのだが。
まだ幼いからと思うかもしれないが、心のどこかで今のままだと誰も愛せないと言っている自分がいる。
前世、私は、ある人に救われた。




