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新たな家族となった妹はラフリナーテと名付けられた。
まだ短い髪はダークブラウンで、瞳は深緑だ。
「ラーナ、お兄ちゃんがご本を読んであげるよ」
ラフリナーテは短い腕を伸ばして、小さな紅葉の手を目一杯広げて、きゃうきゃうと笑う。
かわええのう。かわええのう。
紅葉の手に私の左手の人指し指を握らせながら右手で本のページを捲る。
「すると、おおきなヤダラがでてきたではありませんか」
「うー!あー!」
今、読んでいるのはヤダラという蜘蛛に似た魔物を退治する勇者の話だ。
ヤダラはグレーの六本の細い脚に丸い胴体、3つの小さい目が体の先にあり、その下に小さい口を持っている魔物である。
本来は1cm程度で家に巣を作り、昆虫を食べる身近な魔物として有名だが、あくまで魔物だ。
私は読みながら突然異変というのはやっぱりいるのかなと考えていた。
「ウィル君、またあなた絵本を読んでいますのね。しかも、そんな男の子が好むのを…女の子に合う可愛らしい絵本にしませんこと?」
アリエルはまだいる。
そろそろ私の夏休みも終わるというのに。
もしや、クビになって…ないか。
優秀ですもんね。
「でも、勇者の話が好きなんですよ?強い勇者のことが好きなのかもしれないんです」
私が勇者の話が好きなだけである。
「…まぁ、まだ言葉も理解出来ていない赤子ですから。良いですが…」
「はい。言葉を理解出来るようになれば別な本を読みます」
別な勇者の本をね。
この本は読まないよ。
「んっぎゃあ!んっぎゃあ!んっぎゃあ!」
アリエルと話をしているとラフリナーテが泣き出した。
どうしたの?と抱き上げれば布おむつが湿っているようで、私はテキパキとおむつを換える。
「良いお兄様ですわね」
「そうですか?ありがとうございます」
妹ちゃんは宝だからね。
家族が増えるって、嬉しいな。
諸事情により、次回の更新は8月上旬になります。
お待ちいただけると幸いです。




