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小学校に入学して、一ヶ月経った。

人脈は私の容姿と性格の良さのおかげで「優しくて可愛い男の子」として広まっている。

困っている子がいたら助けたり、大人しい子に声をかけたり、勉強を教えたり、マナーも難なくこなしたり…努力した。

頑張ってる、私。


「お前、ウィーク・シークエンスだろ?おれが仲良くしてやっても良いぞ」


ある日、中庭を通り教室へ行こうとした時に偉そうに声をかけてきた男の子がいた。

実際に偉いのか、ニヤニヤと笑う取り巻きを連れている。

背はもちろん私より大きく、服も良いものを着ている。

あのブランドの子供服、新作出来たのか。

んー、顔はぱっとしないな。

この手のガキはあまり絡まない方が良いな。


「はい。よろしくお願いします」


にっこりと笑って流す。


「お前は顔は良いからな。おれが使ってやるよ」


「……」


顔は、ねぇ。

使うって、やっぱり友達としてじゃないか。

私は笑ったまま聞いている。


「…ウィル」


メアリーゼが心配なのか声をかけてきたが、首を横に振る。


「先に教室へ」


メアリーゼに教室に行くように促し、後ろ姿を確認する。

心配そうにしていたが、私の目を見つめてから歩いていった。

私の考えが分かったようだ。

ライトもこの場に居なくてよかった。

彼は職員の手伝いをしている。


「まぁ、おれには負けるがな。頭の良さも、おれの方が良いだろ。年上だしな」


え、見た目は私の方が上ですが?

頭、良さそうに見えませんが?


「チビだし、弱そうだしな。ま、頑張れよ。おれに釣り合う位にはな」


小さいのは本当だが、お前に私は釣り合わねぇよ。

頑張るのは、お前の方だ。


嘲笑いながら見下ろす上級生に私は変わらない笑みを浮かべる。

ざわめく周りが五月蝿いな。


「お前も脳筋家族で大変だな。チビだし、弱いのにどうすんだよ、なぁ?」


「僕の両親は騎士で確かに強いですが、頭は良いですよ?」


笑みが消えるのが分かる。

両親を馬鹿にするのは許さないよ。


「僕のことはどうとでもおっしゃってください。それが僕の評価ならば、いくらでも受け入れます」


体の周りが冷えていくのが分かる。

けれど、体は怒りで燃える。


「ですが、両親や僕の周りの人を貶すならば、僕は容赦しません」


淡々と言葉を紡ぐ。

こんなに冷たい声出したの初めて。

良かったな、私の初めてだぞ?


「そもそも、人を馬鹿にし、貶し、蔑むような性格をした人の方がよっぽど頭が悪いのでは?こんな目立つ場でご自分の評価を下げるようなマネをして、どんな教育をお家で受けたのかは分かりかねますが、とても良いお家柄なのでしょうね?学校ではマナーとして“貴族は慎みあれ”と教えていますから。頭の出来が分かりますね?」


貴族は傲りは没落の種火だとされ、慎み深い良心がある貴族ほど繁栄し長らえるとされているのだ。

故に、マナーとして幼い頃から教えられる。

悪い芽を摘むのは若いうちから。


「そんな人と関わると火の粉が降りかかりかねないので、僕はあなたとはお友達になれません。申し訳ないのですが、他を当たってください」


周りの取り巻きも怪訝な顔で傲ってる男の子を見る。

こんなガキと絡むと良いことないよ?


「では、失礼します」


ガキの脇を通り抜けてスタスタ歩く。

しまったな。流すつもりがつい両親のことになると感情的になるな。

子供らしくない言葉も使っちゃったし。

顔も直さなきゃ。

家柄上みたいだからちょっと厄介だなー。

ま、なんとかなるか。


「調子乗るなよ!」


ガキが後ろから走って拳を握っている。

暴言の次は暴力か。低脳が。


相手の勢いを殺さないように拳を作っている袖を右手で素早く掴むと半身を懐に入れ、肘を相手の脇に入れると体を回転させ背負い投げる。

左手には本を持っているからだ。

取り巻きに荷物を持たせるガキとは違う。


「調子に乗っているのはお前だ。片腕で倒されるんだからな。弱いのに調子にのんなよ、ガキが」


倒れていることに驚きを浮かべるガキに冷ややかな目を向け、言葉を投げ付ける。

うまくいって良かったな、下手したら受け身取れずに骨折してたぞ?

今度こそ通り過ぎて教室へ行く。


正当防衛で通るかしら…。

言い過ぎたかな…。

両親に責任問われたらどうしよう…。



 

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